第1章9 旧ルートの不思議な奴ら
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「――以上が、この一週間で勇者レオンの一行が行った『徴収』の全容です」
14歳の少年商人、ゼクスが差し出したボロボロの帳簿を、僕は【知恵】の権能で瞬時にスキャンした。小麦百俵、乾燥肉五十束、そしてこの村の命綱である種籾。それは「救済」でも「徴収」でもない。ただの「略奪」だった。
「よし、決めた。レオンたちが奪ったこの『負債』、僕が債権者として回収する」
僕は村の広場に集まった人々を見渡した。
「峠下村の諸君。僕は市ノ尾村とこの村を合併し、一つの『経済圏』とする。ゼクス、君に頼みがある。市ノ尾村へ戻り、僕の指示書を届けてくれ。あそこの薬草と素材を担保に、金貨三十枚を融通させる。それを軍資金にして、この村に物流の拠点を作る」
数日後、村に王国の「徴収官」の代理人が現れた。レオンたちが奪い尽くした後に、さらに税を毟り取りに来たのだ。僕は彼の前に立ち塞がり、一通の書面を突きつけた。
そこには、不当に奪われた物資の市場価格に、法的利息と「機会損失分」を上乗せした莫大な額の「請求書」が記されていた。
「これを持って王都へ帰り、レオンに伝えろ。――『君たちの正義が積み上げた赤字を、僕が回収にしに行く』となーー
言霊の権能もあり、役人は震え上がって大急ぎで門を出て逃げげ帰っていた。
「これで、僕を邪魔する者はいなくなった。 【定義、市ノ尾村から峠下村までの道は、非常に往来やすく足元は崩れない】」
「タクマ様、道が……光っています!」
僕たちが切り拓いた市ノ尾村から峠下村へ続く断崖の道。そこには、僕が【言霊】で定着させた「物理補強」と「道標」の魔法が、青い光となって地面を這っていた。ここは今、二つの村を繋ぐ「物流の動脈」へと生まれ変わった。
「ゼクス。君をこの『旧ルート物流網』の責任者に、任命する」
「えっ……!? 僕が、責任者?」
「あぁ。君にはその価値がある。僕の留守中、この二つの村の流通を回し、略奪から村を守る『防壁』の管理を任せたい」
少年は震える手で辞令を受け取り、深々と頭を下げた。
旅立ちの朝、村人たちは感謝の印として、ミユにはロック・バードズの羽を加工した「飛羽の軽装鎧」を、僕には魔鉱石を練り込んだ「黒鉄の盾」を贈ってくれた。
「行くぞ、ミユ。ここから先は、本格的な『未開拓市場』だ」
「タクマ様、行ってしまうのですね」
峠下村の入り口で、ゼクスが僕の前に立った。
「タクマ様が言った『奪い合うより、作り出す方が儲かる』っていう言葉、信じてみたいんです。僕、この物流網を絶対に守ります。戻ってきた時、『最高の責任者だ』って言わせてみせますから!」
「いい意気込みだ、ゼクス。……いや、我が『仲間』」
僕は彼の手を強く握った。この少年は後に、僕の商会の重鎮となり、無二の親友となるのだが……それはまだ先の話。
僕とミユはついに人里を離れた。西へ向かうほどに、空気は重くなっていく。
「タクマ様、見てください。あちこちに、キャンプの跡が」
ミユが指差した先には、魔族たちの移動した痕跡があった。【知恵】で解析すると、彼らは著しい「飢餓状態」にあることが判明した。
その時、茂みの奥から三体のオークが現れた。痩せこけ、目は虚ろだ。
「……ニンゲン、食イモノ……持ッテイルカ……?」
ミユが短剣に手をかけるが、僕はそれを制した。
「待て、これは『商談』だ。……君たちが欲しいのは僕たちの命か? それとも、明日を生きるためのエネルギーか?」
僕はカバンから燻製肉を取り出した。
「僕は君たちの腹を満たし、その代わりに『魔王の元へ続く安全ルート』を買いたい。……取引しないか?」
絶望の淵にいた魔族たちの前に、かつてない「投資家」が現れた。
一瞬、肉をみて理性を失いそうになりながらも、オークたちは、コクりと頷いた。
「取引成立だ。」そう言って燻製肉を3枚取り出し、1人ずつに渡していった。
それを嬉しそうに、泣きながらオークらは食べていた。「オ…イシイ…」と呟きながら。
どうやら村の人が教えてくれた、魔族らの国は、食糧難、物資難に襲われていてその原因が、王国のせいということは。
食べ終わって、3人のオークのリーダーのような者が言った。
「食べ物心のそこから感謝いたします。私は、この国のNo.3的な存在の者。名乗るほどの者ではないが。どうか、あなたら恩人様のお名前をお聞きしたい。」そう流暢に話し出した。正直言っちゃうと話通じるとは思わなかった。ゲームとかじゃほぼ絶対あり得ないからね。
「申し遅れました。知恵の勇者の一条拓真と言います。」「私は、知恵の勇者の仲間のミユと言います。」
そう言うと驚いたように言った。
「勇者様ですか…。でしたら、あそこで私たちを殺せば良かったじゃないですか。」
「話をすればわかるような人と対話を放棄するなど、それは勿体ないことではありませんか。」
そう言うと「不思議な人もいるものですね。ですが,私らを救ってくれた恩人様。ご恩として魔王様の所までお連れいたしましょう。」
「ありがとうございます。」そうぼくらは、頭を下げた。
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