四話
四話
どどどど、ど
天井から岩が落ちてきた。
「お兄さん、死んじゃうね。」
やだ。
死にたくない。
夢は…?
叶ってないじゃんか。
俺は生きる。
「死にたくない!」
ゴガン、ゴガン、と岩が天井に戻っていく。
最後はスーっと帰って行った。
「あ、あ、あ」
なんか泣けてきた。
俺は号泣した。
子どもは不思議そうにこっちをみていた。
恥をかいちまった。
すると赤黒い煙が子どもの中から出てきた。
「あれ…?」
子どもは困惑したような表情で、そこから動かなくなった。
「え、おい、おい、おい!起きろ!」
しかし、子どもは微動だにしなかった。
畜生。もうしょうがねえ。
俺は昨日寝ていたホテルのフロアに子どもを連れて行った。
喜ぶように、近くに落ちてたクマのぬいぐるみも。
まあ、頭だけだけどね。
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「あれ…?」
僕は目を覚ました。
「あ、起きたか。」
お兄さんは台の上で何かしている。
「なにしてるの?」
お兄さんはちゃーんと答えてくれた。
「料理だ。朝ごはんだよ。お前14時間も寝て…ほんと欲張りだなぁ」
お兄さんは初めて笑ってくれた。
少しずつ、思い出してきた。
でも、おかしい。お兄さんに、なんで、あったのか、思い出せない。
「ん?お前どうした?」
僕の息が荒くなってるのに気づいたお兄さんが声をかけてくれたけど、僕は笑って言った。
「すいみんぶそくみたいだね」
お兄さんは呆れ顔でおいおいまだねんのかよ、と笑っていた。
呆れながら、笑う。
にっこりと。
泣きそうな夜の次には、希望の朝が待っている。
ワニに喰われそうになっても、波に飲まれそうになっても、絶対朝がくる。




