三話
三話
「らんらんらん、おててつないであるきましょー」
子どもは確かにそこにいた。
でも、なんか変。
よくみたら、手に手を持っている。
その持っている手はかびていて、いかにも不潔そう。
しかも、子どもは笑顔。
「あーん」
危ない!
俺は咄嗟に手を奪った。だって腐ってる手を食べそうだったから。
明らかに不衛生。今度こそ死んじゃう。
「なんで?なんで奪うの?なんで全部…」
と言って子どもは泣き出した。
…ヒス構文。
その後、顔を上げて、
「お兄さんはどこからきたの?」
と言った。
俺は急に泣き出したのであたふたしながら「潮舞絵町」と言った。
こんなやばい会長がいるのに、そこそこ綺麗だろ。
うちの町の名前。
子どもはしばし考えてから、
「僕はあっちからきた!」
とあらぬ方向を指差した。
指もぷらぷらぷらぷらしてたから、どこを指してたかわからなかったけど、ここの町出身じゃないことはわかる。
「じゃあ、えーと、、お前、立て。」
子どもは、
「立てばいいの?」
と聞いてきた。
「ああ、とっととこの街から出るぞ。」
え、と子供は不思議そうな顔をして言ってきた。
「お兄さんは、消えたくてきたんじゃないの?」
は…?
子どもの言葉が俺の脳で反芻する。
お兄さんは…消えたくて…
は…?
お兄さんはここから出たいよ。
子供は無邪気そうに笑った。
「あ!あぶないよ」




