07 最終話
あの逃避行の夜から、一年後。
デイジーはマーガレットになった。
意味がわからない?私もよ。
今、私達は隣国で冒険者をしている。
あのままだと追われる危険もあったので、隣国に渡って冒険者になったのだ。
その後のルイーズの話を噂で聞いた。
私たちが決定的な証拠のネックレスを盗んだ後。
古株のメンバーやシスターからの話、それと周りの評判を聞いた侯爵は、結局養子の話すら白紙にしてしまったらしい。
そして、あの夜に結ばれてしまった私たち。
不満は無い、別に不満じゃないけど!
「リチャード!もう道でベタベタしないで!何気に胸を触らない!周りの目が気にならないの!?」
――デレデレである。こいつ、溺愛どころじゃないくらいにベタベタしてくる。
「だって、俺のマギーだし?かわいい嫁をかわいがって何が悪いの?他の野郎共を牽制できるし一石二鳥」
夜も体力が有り余ってる馬鹿旦那が……。はぁ。
リックの天恵は、相当役に立ち、私たちの旅はスムーズに進んでこの国に辿り着いたのだ。
私達はリチャード、マーガレットとして中々有名な中堅所の冒険者になっている。
でもリックの口癖は「嫁には昔から勝ったことがない」らしい。
夫婦喧嘩をしても、最終的に勝つのはリックなのに。
――「ずっと昔から、デイジーを愛しているよ」
その言葉で毎回許してしまうのに。怒った振りは止めないけどね。彼曰く、私は怖い嫁みたいだから、ご期待に応え続けてあげるわ。




