いちばんのところ
キミのそばで「いちばん」と言った
懐かしい思い出もこれからの思いもすべて
キミに向けて
『いちばん好きだよ』と言った
すぐにはキミの表情
見ていられないでいた
キミが「うん」と
たしかに
うなづいた感触だけは
なんとなく覚えている
そのあとのキミの表情を
やっぱり見られないでいた
懐かしい気持ちは
今もそれほど変わらなくて
あの頃は
大事なことから
わざと逃げ出そうとしていた
振り返ることができる、
ちょうどの距離のところで
キミを探していただけ
『普段通りっていうのがいちばん難しいんだ』
キミがそう言ったあと
わたしがすぐにうなづいたのは
ふたりの中でも
共通な思いでいたから
懐かしい思いは
すぐにでも引き出せると思ってた
『わたしの思いは
はるか彼方から
キミの方へ・・』
遠回しの恋のほうが
いざと言うときには
傷つかない
そう言ったほうが
カッコよかったから
そして、きみが納得してくれるまで
何度か振り返った
あのときのこと
普段通りでいられたのは
いつも、わたしが
涙を流したあとくらいのこと
嬉し涙かどうき
キミは気づいていたのかな
キミがうなづいたときの感触を
わたしは
恋に置き換えることが
もうできないのかしら