プロローグ
ほんの二ヶ月ほど前の事である。彼らは殺人事件に巻き込まれた。その事件は犯人の自首という形で幕を閉じたが、猪狩康平をはじめ、矢式奈美香、藤井基樹、新川怜奈が事件に貢献した事は否定できない。そして彼らはこう思ったはずである。
「もう、このような出来事に巻き込まれる事はないだろう」
しかし残念ながら彼らはもう一度殺人事件に巻き込まれるのである。そして、何の因果か彼らを巻き込んだのはまたしても藤井基樹の一言であった。幸運にも矢式奈美香と新川怜奈は直接関係する必要はなかったのだが、持ち前の好奇心で自らその渦中に入り込むこととなった。
事件が解決した暁には各々が違った感想を抱くだろう。
「ああ、そうだったのね!」新川怜奈は素直に感服するだろう。
「俺、何かに憑かれてるのかなあ?」またも自分の発言で事件に巻き込まれた藤井基樹はそう言って首をひねるだろう。
「もう! また康平に先を越された!」頭脳明晰で自信家の矢式奈美香は悔しがるだろう。
その矢式奈美香を悔しがらせ、事件を解決する張本人の猪狩康平はこう言うだろう。
「もうこりごりだ」
お久しぶりです。
前作よりはかなりマシになっているはずです。
たぶん、
恐らく、
……そう思いたいです。