第6話 魔女、歯医者に行く ~治療編~
<登場人物>
魔女:半人前の魔女。名前はまだ無い。初期虫歯を患った。
スカーレット:歯医者である不死鳥の女性。歯医者としての腕は確かだが、性格に難がある。
場所:歯医者の診察室
(歯科診療用の椅子の上で魔女が仰向けになっている)
スカーレット(以下『ス』)「はい、じゃあこれから治療を始めます。体調は大丈夫かしら~?具合が悪かったら教えてね」
魔女(以下『魔』)「えっと…体調は大丈夫なんですけど……」
ス「ん~?どうしたの?」
魔「先生が、その…鳥…大きな鳥っていうか…神々しい大きな鳥の姿というか…」
ス「そうよ~?私は不死鳥だもの♡」
魔「あ、そうなんですね……それで、その姿で、治療するのかなって、ちょっと…思ったりして…」
ス「そうよ~?それがどうかしたの?」
魔「ほんの少し生命の危機を感じてます」
ス「あらあら、私の前ではそんな危機なんて存在しないわよ~?」
魔「…不死鳥って、たしか治癒魔法のエキスパートですよね」
ス「あら、よく知ってるのね~。こんなに若いのに、偉いわ~」
魔「…その魔法で、虫歯を治せたりとかは…」
ス「できるわよ~」
魔「えっ、できるんですか」
ス「でも、そんなのに頼っちゃダメよ~。生きていく中で皆何かしらの病や怪我を負うものなんだから、時には耐えることも必要なの」
魔「たしかに…それはそうかも…」
ス「そうよ~。特にあなたは初期虫歯なんだから、すぐ治療できるもの~。痛くしないから、頑張りましょ?」
魔「はい…」
ス「さぁ、それじゃあ始めましょ♡(クチバシでドリルを咥える)」
魔「えっ、あの、先生、クチバシでドリルを咥えて使うんですか!?」
ス「そうよ♡」
魔「いやあの、ドリルがすごい震えてるんですけど、先せ……えっ?」
(魔女の両手両足が椅子に拘束されている)
魔「あああああ!?いつの間にか拘束されてる!?」
ス「ごめんね~。暴れると危ないから~」
魔「いやいやいやいや危ない!この状況が一番危ない!」
ス「大丈夫よ~。ちゃんと麻酔もしたし、何かあっても私の力で治してあげるから♡」
魔「それ大丈夫じゃないですよね!?」
ス「はい、口を開けて~。あ~ん♡」
魔「わあああああああああ!?」
ス「な~んちゃって♡」
(スカーレットが人の姿に変身する)
魔「えっ……」
ス「うふふ、安心して~。治療はこの姿でするから」
魔「え…じゃあ、今までのは……」
ス「ドッキリよ、ドッキリ♡患者さんが怖がってリアクションしてくれるのが嬉しくって、やめられないの~♡」
魔「こ…怖い……」
ス「大丈夫よ~。痛みもなくすぐ終わるから」
魔「…この、手足の拘束は…?」
ス「終わるまで解きません♡」
魔「怖すぎる……」