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第3話 ノーゼンハイレンちゃんは血が嫌い

<登場人物>

魔女:半人前の魔女。名前はまだ無い。魔法薬の調合を勉強中。

ノーゼンハイレン:血が嫌いな吸血鬼の少女。一人称が「わらわ」。常に腕に点滴が刺さっている。

場所:ノーゼンハイレンの家



魔女(以下『魔』)「ノンちゃん、この前あげた滋養強壮薬、どうだった?」


ノーゼンハイレン(以下『ノ』)「アレか。めっちゃ不味いからほとんど飲んでない」


魔「ええ…そんなに不味いの作ったっけ」


ノ「不味すぎてこの世の全てを呪ったわ」


魔「そんなに?今度フーちゃんに飲ませてみよう」


ノ「魔女は調合薬の試飲のしすぎで味覚が麻痺してるだろ。主に苦味の部分が」


魔「うーん、その可能性は否定できない」


ノ「薬を作るならせめて錠剤にしてくれ。それかカプセルだ。いや、やっぱカプセルは怖いからナシで」


魔「カプセルの薬が苦手なの?」


ノ「お前が作るカプセルは消化できなさそうで怖い」


魔「じゃあカプセル作るね」


ノ「こっこの野郎…!」


魔「ちゃんと消化しやすいものを作るから安心して。ノンちゃんに渡す前に私も試飲するし」


ノ「どこに安心できる要素があるんだ?」


魔「安心できる要素しかないでしょ。というか文句言いながら栄養剤や点滴に頼るくらいなら、ちゃんと血を飲みなよ」


ノ「それは言わない約束だろ」


魔「そんな約束は知らん」


ノ「だって無理だよ、血を飲むなんて、キモいしグロいし鳥肌立つし…」


魔「吸血鬼の本能はどこ行ったの?」


ノ「そんなのはわらわが知りたい」


魔「ちなみに、血のどういうところが嫌いなの?見た目?」


ノ「見た目と味と匂いだな」


魔「つまり、視覚と味覚と嗅覚を消せば飲めるってことか」


ノ「おい、今とんでもないこと言わなかったか?」


魔「視覚は目隠しでいけるとして、味覚と嗅覚を一時的に封じる薬を作れば…」


ノ「おい!わらわを放置して危ない話を進めるな!」


魔「うーん、でも難しそう……そんな薬の調合方法なんてどうやって調べれば…」


ノ「おいこら!魔女!わらわの話を聞け!」


魔「…ん?なに?ノンちゃん」


ノ「五感を消すだなんて恐ろしい薬を作ろうとするんじゃない!そんなことをするくらいなら、血の見た目と味と匂いを変える方法でも考えてくれ!」


魔「あー…なるほど。そっちを変えるのね」


ノ「だが、仮にお前がその方法を見つけたとしても、わらわは絶対に血なんて飲まんぞ!血を飲むくらいなら死んだ方がマシだ!」


魔「ええ……」


ノ「分かったか、魔女よ。わらわに血を飲ませようなどとは考えるな」


魔「じゃあこれあげる。トマトジュース。見た目が少し血に似てるから、まずこれで練習してみたら?」


ノ「む?……(ひと口飲む)ふむ、悪くはないな(続けて飲む)」


魔「それ、ちょっとだけ私の血が入ってるんだけど」


ノ「ブフォッ!(ジュースを吹き出す)…げほっ、げほっ!…ぐっ、貴様ぁ!なんてもんを飲ませるんだ!」


魔「悪くはないって言ってたじゃん」


ノ「ぐぬぬ…」


魔「割と簡単に血を克服できそうだなこれ」



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