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第5話 国王を護衛

 迅雷が、国王に迫る。


 カイトはそこに割り込んで剣を一閃。


「魔法を、斬った……!?」


 呟いたのは、魔人かそれとも国王か。


 本来、魔法とは斬れるものではない。


 人が炎を斬れないように、炎魔法を斬ることもできない。


 しかし、カイトの魔眼と、魔法に対する正しい認識が、魔法を斬るという曲芸じみた芸当を可能にする。


 魔人は、魔眼こそ持っているが、魔法に対する正しい認識を持ってない。だから、カイトの炎魔法に一掃された。


 しかし、カイトは魔法の原理を知っている。


 それは、偶然としか言いようがない。


 カイトの故郷ではゴミとして扱われる、魔導書の内容。


 カイトの故郷には魔法を使える者がおらず、外界とも深く繋がっているわけでもないことから、長らくゴミとして扱われてきたが――その内容は、魔法の原理から詳しく説明された、いわば究極の魔導書。


 一撃防いだカイトは、魔人のもとへ駆ける。


 魔人は、魔法が斬られることを理解して、迂闊に魔法を使えない。


 カイトが剣を振り上げる。


 魔人はそれを防ごうと、剣を掲げる。


 だが、フェイント。


 がら空きになった胴に、カイトの斬撃がクリーンヒットし、魔人は呻く。


 魔人が再び動き始めるより早く、次の斬撃。


 それは、双頭竜で行っていた波状攻撃を、たった一人で行っているかのような戦法。


 カイトが一閃する度血飛沫があがり、魔人は瞬く間に命を失う。


 カイトは一度剣を鞘に戻し、国王のもとへ駆け寄る。


「国王陛下、大丈夫ですか」


 普段他人に敬意を払うことが少ないカイトの、精一杯の敬語。


「ああ、大丈夫だ。私を守ってくれてありがとう。名はなんという?」


 カイトは、国王を相手に偽名を名乗るべきか逡巡する。


 しかし、素直にホークと名乗って王都で話題になることは避けたい。


「カイトです」

「名字はないのか?」

「はい」

「庶民の出でその腕、素晴らしい」


 貴族は皆名字を持っているが、庶民はそうとは限らない。


 名字を持たないということは、庶民だということがその時点で確定する。


「よければ、王都に戻るまで私の護衛をしてはくれないだろうか」

「……」


 またも、迷う。


 国王の護衛をしてしまえば、カイトの名が知れ渡ってしまうかもしれない。


「報酬は払うから」

「もし、私が国王陛下の護衛をしたということを秘密にしてくれるのであれば」

「そのくらい容易いことだ。これからしばらく、よろしく頼んだぞ」


 カイトはお金に余裕があるわけではない。臨時収入が入るのは魅力的だ。

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