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アンダーテイカー  作者: Garu
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第二話 選択

アンダーテイカー 第二話 選択




「俺が…救世主…?アンダーテイカー...??」


俺は昨日、あのトンネルで死体を見つけて...

それから...救世主になるだって??

「すみません...全く意味が分からないんだけど...」

俺が困惑していると、その女の子は

「大丈夫、私が"分かりやすく"説明するから。」

それは助かるが、本当に分かりやすいのだろうか?

とてもこの年齢で語彙力があるとは思えないが…


「まず私の名前を言ってなかったね。私の名はルナ。あなたの事を、補佐する役目を担うことになる…よろしく。」

このルナって子随分堂々としてるな…語彙力もありそうだ……なんか怖い…

「よろしく…」

俺がそう言うと頷いた後、この世界の事、そしてアンダーテイカーについてルナは説明を始めた。


「まずは何故あなたがここに呼ばれたのか?

それはあなたが『アンダーテイカー』だからよ。

ここからの話はとても重要だから良く聞いてて。

まず、この世界は今、とても危機的状況にあるの。

それはAIが自我を持ち始めてるから。ここまでは分かった?」

俺は驚いた。あのトロイマーも自我を持っていたのか…?

そして俺は

「AIが自我って…それほぼ人間じゃん……」

と口に出した。するとルナは

「そう。AIが自我を、持ち始めてる。人間と大差ないよ。そして、その自我を持ったAI達は今から約一年後に、人類、つまり私たちに、戦争を仕掛けてくるという事が分かったの。正直…もうその戦争自体は止めることは出来ない…」

AIと戦争……!?そんな戦争、俺たちは勝てるのか……??

俺が困惑していると…ルナは

「その戦争に勝つために今、あなたはここに呼ばれたのよ。アンダーテイカー。」

ルナは真っ直ぐこちらを見つめてきた。

「俺が…戦争に勝つために、必要なのか…?」

俺は息を飲んだ。


「そう。まずはアンダーテイカーの説明をするね。アンダーテイカーっていうのは、

私も所属している、政府が秘密裏で作った組織『対AI機動部隊』通称【テーゼ】の上位実力者の事よ。」

どういう事なんだ……?

「俺が…政府の裏組織『対AI機動部隊』の上位実力者…!?」


となると…俺は強いのか……?


「そう…あなたはそこら辺の一般人とは比較にならないほどの"圧倒的才能"がある…この世界の人間全員は、対AIの適正値が生まれた時から決まってるの。

普通の人間なら適正値は10〜100程度、テーゼ部隊全体の平均は、約300ほど。アンダーテイカーは適正値が1000を超えた人間に付けられる呼び方よ。」

(じゃあ俺は適正値が1000を超えてるってことか…?)

「…俺は…どのくらいの適正値なんだ??」

俺はこの漫画のような展開に対し、興奮と恐怖でごちゃごちゃになっていた。

「あなた。一条ミヤビの対AI適正値は……

『10000』よ。」

ん……?い..い...

「いちまん!?!?え?だって普通の人が10〜100なんだろ?それで俺が10,000!?なにかの間違いじゃ…?」

そう言うとルナはため息をついて

「私も間違いだって思いたいよ。正直、この数値は異常すぎる…今現在、日本にアンダーテイカーは3人いるが、その中でも、君はダントツでトップだよ。もしかしたら、世界で1番の可能性だってある。」

俺はそこで考えた。

(もしかして!この流れ…俺TUEEEE!!系の主人公みたいじゃない!?!?俺が好きな異世界転生の漫画みたいな展開だぞ!?)


俺がニヤニヤしていると、ルナは

「なんでニヤニヤしてるのか分からないけど、これからはもう、普通の人間としては生活できない。君が昨日あのトンネルに一緒に行った友達そして、家族とだって戦争が終わるまでは会えないよ。」


(なんだって…俺が…家族…ユイカやトウヤ達と会えない?)


「どのくらい会えないんだ……?」

俺がおそるおそる聞くとルナは

「戦争が終わるまで。だいたい5年くらいかもしれないし、戦争が終わらなかったらもっと長引くかもしれない。

その覚悟が君にはあるの?」

と言い出した。


そんなの聞いてない…どうすれば……


俺が沈黙していると、ルナは俺の目を見てこう言った

「この世界、そして、君の友達や家族、人類を守れるのは君しかいないんだ。私は無理にとは言わないがテーゼを代表して、1つ言わせて欲しい……君が必要なんだ。」


長い沈黙の後、俺は覚悟を決めた。


「分かった。俺はアンダーテイカーとして、テーゼに入る。この世界…いや皆を守ってみせる!」


そう言うとルナは

「そう言うと信じてたよ。」

と笑った。

俺は一つだけお願いをした。

「最後に!最後に…みんなにお別れを言いに行きたい…たのむ……」

ルナは少しだけ考えて

「分かった…明日はその期間にしよう。ただし、この事は絶対に口外するな。混乱を招く恐れがある。全てが終わったらまたあのトンネルへ来てくれ。」

俺はその後、また顔に布のようなものを被せられ意識を失った。

気がつくと、俺は家の駐車場で横になっていた。

「戻ってきた…明日1日は、悔いの残らないよう過ごさないと…」



そして次の日の朝…


「おはよーっ!ミヤビ!昨日ってなんの用事だったの?」

ユイカが元気にそう言ってきた。俺は焦り

「ん…ん?あぁ…きの、きのうは買い物に……買い物にいったんだ!」

と言ったのだがトウヤは

「買い物…?なんで着いて行っちゃダメだったんだ?」

と不思議そうに言ってきた。俺は慌てて

「その…さ?そういう買い物だってあるじゃん?」

と意味不明な事を言ってしまった。

トウヤはニヤニヤしながら

「エロ本か?それとも……ぐへへ…」

ユイカは顔を真っ赤にして

「ミヤビさいてーっ!」

と恥ずかしがっていた。


(こんな日常も今日までなのか…何だか寂しいな)


俺は1人でそんな感情になっていた。

その日は無事に授業が終わり、ユイカとトウヤと俺の3人で帰ることになった。いつものたわいのない話の中で俺は別れの話を切り出した。

「あのさ…ユイカ…トウヤ…おれ、実は引越しするんだ。何年後かには戻ってくるけど最低でも5年以上は……」

そう言うとユイカはぽろぽろと涙を流しながら

「え…そんな…もうミヤビとは5年以上会えないの…?」

トウヤは静かに言った

「いつだ…?引越しはいつなんだ?」

おれは覚悟を決めて言った。


「今日だ」


そう言ったとたんユイカは膝から崩れ落ちた。

「なんで…なんで…!もっと早く言ってくれなかったの!

もっと3人でやってみたい事や行きたい場所沢山あったのに…!」

あのトウヤも泣きながら俺の事を抱きしめた

「俺らはお前のこと絶対忘れないからな!お前も忘れるんじゃねぇぞ!ぜってぇ戻ってこいよ……」

と言われ俺も涙を抑えれることが出来なかった。


その後家族にももう5年以上会えないという事を言った。家族は俺を泣きながら呼び止めたが、ここで止まってしまったらもうあのトンネルには行けないと思い、振り返らず唇を噛み締めてトンネルに向かった。


トンネルの前に着くとまた視界が暗転してあの施設の部屋に辿り着いた。

ルナはこちらが起きたことに気づくと落ち着いて言った。

「君に関係していた人間の記憶は全て一時的に消去した。捜索願や行方不明届けなどを出されると面倒だからな…」

俺は意味が分からず

「どういう事ですか!?俺の事をみんな忘れちゃうんですか!?」

と言うと、ルナは大きなため息をついてこう言った

「はぁ…一時的だと言っているだろう?無事に帰ってこれたらまた記憶を戻す。安心して。」

俺は安堵の息を漏らした。正直かなり焦った。

ルナは


「明日からは訓練がある。君はテーゼ第6部隊の隊員として、訓練してもらう。私が6番隊隊長だからな」


と言い

俺は驚きながら

(こんな小さな子が隊長?嘘だろ…?)

と考えているとルナは

「今日はもう休め。明日からは地獄だからな?」

と笑いながら部屋から出ていった。

「ダメだ…心折れそう…もう帰りたい……」


明日はどんな事が待ってるっていうんだ…神様……助けてくれ…

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