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プロローグ2 気がついたら勇者になっていて総大将を任されたので仲間を守るため、なんやかんやで魔王討伐を決めた。


      【勇者(たける)視点】



2023年6/24に、この空間の名称を徐量修正しました。



 僕、真壁(まかべ) (たける)は少し後悔していた。

いつもそうだ、視線や雰囲気に流されて毎回毎回、損な役回りをしてしまっている。


しかも今回は(たち)が悪過ぎた。

それを知っていながら僕はゆっくりと、それでいて一刻も早く手を上げて確認しなければならない。

鼓動の心臓が鐘の音を鳴らして邪魔をする。

うるさくなるのを無視したいのに躊躇してしまいそうになる。

特にこれまでで今日は一段と脈打つ鐘の音(こどう)が速い気がした。

でもダメだ。

あの謎の存在としっかり話さなればならないのだから。


□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□



いきなり足下(あしもと)に魔方陣が現れて溢れんばかりの輝きに目を瞑った次の瞬間には見知らぬ場所に居た。

ふと隣を見れば、さっきまで一緒に下校していた同級生の咲希(さき)陵一(りょういち)が目に入り安堵したのも束の間。

自分達と同じようにココに飛ばされたのか続々と時間が経つにつれて人数は増えていくばかりで不安を拭う事は出来ずにいた。

あれからどれくらい|何分経ったのだろうか?

不安がる咲希を慰めながら、自分自身の恐怖の感情を無理やり無視(ころ)す。

男の僕でも不安なんだ、咲希が不安じゃないわけがないんだ。

僕がしっかりしないと、、、、。


そんな僕達を知ってか知らずか凌一いつものテンションで話し掛けてくれる。

平然を装って巫山戯(おちゃらけてい)るが、その凌一の額には汗が伝っているのが見えていた。

それに時たま近くの人に接触しては会話をして何か新しい状況の発展にならないかと情報を模索している程だ。

僕と同じで何かしていないと自分自身さえ紛らわせないのかも知れない。

凌一にはいつも驚かされていてばかりだ。

改めて覚悟を決める。

咲希の背を撫でていた方とは反対の手で握り拳を作っていた。

少し、して周りが落ち着きを取り戻しつつあった頃に急に騒がしくなり始める。

僕達は、いきなり奥の方から押されて、よろけしまう。

どうやら人垣を分けて(だれ)かが、やって来たようだった。

そこからは驚くことばかりの連続が続いた。

身体の表面が光って本当に人間なのかも怪しい、そんな存在がそこには現れたからだ。


「「「ようこそ、卆穹(はて)外境()守鶴天宮(おおぞら)へ。

君たち地球人(にんげん)を、この場にて案内する事になったモノだ。

短い間になるから挨拶はこの辺でいいだろう。

君たちは……………………………………………。」」」


そんな彼の説明は淡々と続いた。

僕達の気持ちは余所にして。置いてきぼりにして、そんなのは関係無いと言わんばかりに。

光るシルエットの彼?もしくは彼女の並べる羅列でフッと頭の何がが理解してしまった。

無意識に考えないようにしていたソレが、急に真実となって頭上に気軽に出てきたみたいに。

僕は此処が何処なのかが益々不安になって行く。




そうか、、、、死んだのか、、、、、。



そんな、、、、、、?、、、、!。


□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□



あの無機質な機械のような声と脈略のない棒読みは僕達の不安を加速させるのが絶妙に上手かった。

隣の咲希が、とうとう限界に達したのか崩れ落ちて泣き出してしまった。

反対隣にいた凌一はどうしたら良いのか解らず困った顔しているだけに見えて人一倍に動揺しているのが長年の親友の僕には分かった。

見上げた咲希の顔と僕の目と目が合う。

その視線には不安を押し退けて涙を追いやるように期待の光を灯していた。

助けを求める瞳、そんなのじゃ無い。

僕達の関係性はそんな享受するだけの偽善じゃないからだ。

彼女の瞳からは覚悟を決めたから貴方(たける)も私に着いて来なさい。

手助けして上げるから協力しなさいよねっと言ってるのが分かったからだ。

僕は有無も言わずに力強く頷いていた。


それだけで隣にいた凌一も分かったはずと振り向くと凌一は僕の肩に手をやり、もう一つの手でサムズアップをしてくる。

どういう意味なんだろ?

凌一もツラいだろうに我慢して空元気なのかも知れない。

これにボクは無言で笑顔を返す事にした。

そうして僕は顔を謎の存在である《発光人間》に向き直した。

決意をしようとして、生まれてこの方の逃れられない悲しい(さが)走馬灯(おもいだして)しまうのだった。

全く、いつもこうだ。

子供の頃から何かあると僕が間に入って仲裁をしていた気がする。

ケンカを止めたり、委員長になったり、告白を断ったはず、、、なのに、、、、。

君がやった方が良いんじゃないの言葉やオーラに流されてしまう。

クラスの友達と上級生の言い合いから発展したケンカでボディブローをモロに(くら)い倒れた小5の夏の公園。

投票で決まってしまった成りたくもなかった委員長。

そして自クラスから他クラスの事と沢山の事を任されて、部活をする事も出来なくなり、あっという間に何故か生徒会長になっていた中3の放課後。

やんわり断ったはずなのに、その女の子とその友だちの中で付き合っている事になっていた高1の春先。

なんだがいつも結果(さいご)に僕が貧乏くじを引いているような。

思い出して悲しくなって来た。

でも、くよくよしても要られない。

謎の人物の話が途切れた、今がチャンスだ。

意を決して問いかける。


「スミマセン、まず貴方は誰ですか?

神だと思っていいのでしょうか?」


「「「ん?

そうだな、君たちが想像する神に類似する存在かは疑問だが概ね“神”と呼ばれる存在と認識してもらった方が話は早く進むだろうから、、それでいいかな」」」

僕が話し掛けると神らしい存在は僕の元へと浮遊したまま近づいてくる。

それに合わせて人垣も開けていく。


そんな神様の思いの外に最後は諦めたような気もする物言いに。

それでも敬語で大丈夫そうかなと思った。


「「「敬う必要は皆無だ。

そうだな。一通り状況への理解は済んだと認識していいかな?

そうで合っても無くても(はり)は進むものだからね。

次のステップに進もうか!」」」


「次があるんですか?」

次のステップ、急に言われて普段なら怖くない単語も今は異常に怖く感じて口に出ていた。


「「「ふん。先ほども言っただろう?

君たちを案内すると。」」」

案内?

死んだ事と合せると、ここはやはり天国みたいな所で僕達はこれから生まれ変わって赤ちゃんになるとでも言うのか?


「「「では始めから順に説明しよう。

先ほどと被ってしまう内容も含まれるが君たちを見る分には理解していない者の方が多そうたから問題は無いだろう。

君たちは確かに死んだっ、だが新たな生命を与えられて別の世界で生きることが決定事項として用意されている」」」

愕然とした。

いきなりに、いきなり過ぎて何の動作も出来ずに手が身体が震えていた。


「「「パラレルワールドでは無い現代とも異なる、そうだな、分かり安く言うならば、ファンタジーの異世界と言えば良いかな?

安心してくれ、送り届けるに於いて君たちは何の弊害も無く安全無事に転送する事を誓おう。

そして、その際には超常の能力を授ける決まりなので、、、、、この人数を1人でやるのか~~ちょっと嫌だな。

ごっほん。スキルなどの要望は個々に聞き入れて…………………………。」」」

僕は最後まで聞かずに膝立ちになる形で震えていた。

そんな僕を咲希がさっきとは逆に背中を擦ってくれていた。

神様の話は僕を置き去りに続いていく、やがて異世界へ飛ぶための準備としてゲームに出てくるステータス設定の事に移行していた。

僕は凌一と咲希に支えられて人垣から離れる。

僕が落ち着いてからは3人で囲むように集まってステータスの事からスキル事を相談して今度は3人揃って神様に対峙している。



□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□



「「「うむ、了解した。

ならば要望通りにしよう。

では奥にあるアレの上に乗りなさい。

君たちも無事に異世界に送ろう。」」」


何の問題も無く僕達の分が終わって転送されるために魔方陣へと誘導させる。

でも納得は今だ出来ている訳もなく。

それでも他の選択肢が用意されている何て事も無く、残されていないのだから、どうしようもないと諦めてしまう。

やっと開放(っと言ったら語弊がありそうだけど)

されたような安心感からなのか僕は一粒の涙を流していた。

その僕の隣では咲希も頬を濡らしているのが見えて僕は胸を締め付けられる思いがした。

僕は勢い(あま)って振り返ると神様に宣言にも似た決意を表明していた。


「すみません神様ッ!

理由はもう聞きません。

召喚される事も!勇者になる事も!

完全には納得出来てませんが無理矢理了承します!!

ですから一つ、約束して下さい」


□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□



言うことを言ってスッキリはしたが嘆息が漏れる。

前に向き直ると咲希達と目が合った。

咲希は涙を(ぬぐ)ってから、赤い目元を見られるのを躊躇いがちに彼女は笑顔で、やるじゃんと照れながら僕の肩を叩いた。

行くよっと手を差し出されて、僕は照れ臭くなって恥ずかしくないのかな?って思わず聞きそうなってしまう。

出かけた言葉を呑み込みOKの意味を込めて僕も右手()を差し出す。

サキは顔を真っ赤にして手を取る。


「じょ、冗談だったのに」


「えっ本当!?」

巫山戯(ふざけ)て僕も咲希のノリに合せる。

じゃなきゃ恥ずかしくて会話が続かないと思ったからだ。お互いに気丈に振る舞う事に落ち着く。


「うっ、、実は繋ぎたいって思っただけ!‥‥‥ありがとね」

これで少しでも咲希が和んでくれたらならと微笑む。


「どういたし、痛ぁ」

言葉は凌一のチョップに遮られてしまう。

その顔は笑っているが少し怖い。

場を弁えろっと目が訴えている。

咲希も申し訳なく思ったのか余計に照れて顔を赤くして僕達より前に行ってしまいそうになる。

仕方がないから、もう一つの手を凌一に伸ばす。

最初は彼も何の事か分からずに困惑の顔をするが僕の反対の手を見て悟ったのか。

飽きらめたように、ニヤけると呆れたと(ぼや)くと躊躇していた自分の手と僕の手を強引に取ると歩き始める。

咲希と凌一に引っ張られるようにして僕は僕達は眩しく淡いでいる魔方陣の(うえ)に3人で歩いて行く。



魔方陣が、よりいっそう強く光だして異世界に転送されるんだとより実感したその時だった。

ふと少なくなっている人垣の中から少し離れた場所に佇む1人の黒髪を無造作に伸ばして寝癖を付けて跳ねたままなのか手入れをしていない、やけに白い肌の同い年ぐらいのジャージ姿の男子が目に止まり、何故か気になってしまう。

あちらはこちらには気づいていないようだったけど、なんだか無性に惹き付けられてしまう。

なぜだろうか?

会った事が有っただろうか?

親戚?

違う、本当になんなんだろうか。

僕の目線の可笑(おか)しさに気づいたのか凌一が話しかけてくる。


「どうした?

もしかして直前(いま)になって嫌にでもなったか?」

嫌味を言っているようで心配になって声を掛けてくれているのを僕は知っている。

反対側でも咲希がウンウンと赤べこのようになってしまっている。

その頬は泣いたせいなのかホントにちょっと赤い


「いや、大丈夫だよ。

ただあの少年が、、、、。」

続く言葉は僕達を包む閃光と起動した魔方陣の出す、風切り音に掻き消されてしまって誰にも聞こえなかった。




□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※











次の更新は本日の昼頃です。


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