第10話 バイ菌が入っては大変だ
2週目
8/4に第2話の追加・修正の加筆をしました。
本編の本筋には影響ありません。
8/8に微量加筆修正しました。
前回までのあらすじは
魔王は倒れた。
少年は魔王を受け継いだ。
主人公は名前を手に入れた。
{新コーナーI.A.のワンポイント解説のおまけがスタートします。}
『I.A.の異世界臨床講義。
ここでは既存の情報から新規、初出しの情報を取り扱いますので御注意ください。
皆さん初めまして。
お久し振りの方も居るかも知れませんね?
それでは早速始めていきます。
最初に取り上げるのはボスについてです。
《第一回 ヴァレンとは?》
ボス、つまりはヴァレン様は創造魔法と膨大な魔力を駆使し生み出したユニークスキル【I.A.】にステータス等の管理を全て統合させたため同時に召喚された勇者達とはステータス・システムに於いて、一線を画してしまった異質な存在と成り果ててしまいました。
例を上げれば思考と直結に繋がっているため指で操作しなければならないスキルやアイテムの出し入れが脳内で考えるだけでイアとの会話でスムーズに行える等の省略。
視界の拡張や建物内の赤外線スキャンでの透視無踏破マッピング等が披露されています。
他にもヴァレンに起こる、あらゆる現象を助力範疇を超えて膨大な情報の処理や計算を随時行い彼の行動を学習して導くナビゲーション。
常に高速同時演算処理と行動予測からアップデート進化を繰り返す事で実現範囲を許容しています。
簡単に言うのならヴァレンのワールド・システムをユニークスキルI.A.が管理制御改造していると思えばいいでしょうか。
イアを創り出した事で並列思考を得ていると言えます。
これらを可能にしたのは神との取引で記憶・人格を代償に強大な能力を得たためです。
特に魔力量はズバ向けて高くレベル1の初期値を差し引いたとしても種族の関係も相まって意図的に犯した荒業と私は予想します。
初期からスキルツリー・魔法一覧などがポイントを無視して使用可能状態に解放されていますが反面に苦手な項目も多く解放されて折らず或いは永久に使用不可の状態が存在するのは当初から魔王になるための片寄ったビルド設計だったからでしょうか。
スキル・魔法を使用可能にするにはポイントを支払う事で初めて行使する事ができるのですが通常は難度やレア度でポイント数が変動する所を魔王(大魔王)に就任、称号等を獲得した事でポイントが低コストになりスキルツリー等も通常から架け離れた変化を遂げているようです
神との相談から得意不得意に著しい差が生じる設定に否応無くせざる負えなかったようですが、それを鑑みても総じて高い初期パラメーターと成っており1種の優遇と取れる離れ技を成し遂げたと挙げられるでしょう。
その分、融通を通す代償を支払うための試行錯誤の中には今後一切取り戻す事の出来ない記憶が含まれている訳です。
以上を踏まえた上で吸血鬼の能力も加わっているのでボスの異世界での現時点での経歴が異常を期した物を可能とした誘因となった訳ですね。
長くなってきたので今回はここまで。
次回お会いしましょう。
お相手はI.A.がお送りしました。』
✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕
秒針が示すは丑三つ時。
世界は静まり帰り夜風に木々は擦れては揺れる。
子供も神様さえも眠る夢の時間。
そんな、一時であっても今日に限って言えば唾を呑み込むのも忘れる神様たち。
世紀の決戦を見守りながら新たな魔王の誕生に震えあがっていたのかも知れない。
今この時から魔界・魔王軍は破天荒な新たな道標の舵切りに転換期を迎えてしまう。
彼の誘す影は世界をどう暗まし光が照らすモノとは?
漆黒城の崩れた城壁に吹き抜ける風と下階に抜ける風穴。
騒がしい音の中にあって世界は変わらずに動いてゆく。
普段と同じように草は、そよぎ。
虫は唱って遠くでは獣が啼く。
その声を耳に傾けて魔王は思う。
───まるで彼等の声が僕を迎えに来ているようだと───
今、自分が彼等に伝えられる、全ての想いと経験を願いのように託すかの如く遺言として言葉を紡いでしまう。
あぁ、それでもまだ言いたい言葉は喋れば喋る程にクチから溢れてくる。
まだまだ伝え足りない。
───エマ?君達は、まだまだこれからだ。解らない事も沢山の、一生の冒険の中で考えて成長して今、出せなかった答えを探してごらん───
今更に、ほん少しの未来と生に未練が出てしまったのかもしれない。
あと少し、あと少し、ほんの少しで良いからと。
心で溢しながら、それでも何時かは予見していた光景に身体の方がボクよりも素直に受け入れているのか目を開ける力や腕を伸ばす力も弱くなって言いたい事も難しくなってきて冷たい風を憎むけれど慈しむように喉を震わせて最後の力を使い切って残し閉ざした。
そうして魔王は深い眠りに就くように亡くなった。
◯ ◯
[第10話到達記念ヴァレンの前回のあらすじ]
魔王との熾烈を極める死闘はステゴロにまで及んで最後は呆気なく本当に終わった。
束の間が訪れると思った矢先に変なのが居て変な事になって変な感じで変に、ごちゃんこ、になって場を荒らすだけ荒らして消えてった。
けど魔王になることを認められたら大魔王になってた。
あと名前決まったよ。
その名もヴァレン!
……………ぶっちゃけ、バレンタインとヴァンパイアを混ぜただけである!!
ぶっちゃけって、なに?
ブッチャーさんの毛ですか(真面目)
ブッチャーって誰よ?
以上、前話回想終了!
『右眼・右腕及び付近の痛覚を遮断しました。』
おっ?
マジで!
◯ ◯
オレの失った片目を恐る恐るといった感じで覚悟を決めて見る。
でもやはり痛々しかったのか手をアワアワさせてしまうがエマは頭を振って意思を今度こそ固めると、しっかりと視線を合わせ直した。
「痛々しいな、見るのが忍びない。
それにバイ菌が入っては大変だ。」
言ってエマは袖を捲るとスカートを破ろうとしたが、しようとする事を察したオレと執事長が止めたのは同時だった。
女の子が、そんな事しちゃいけませんよ端たない恥じなさい。
いや?女の子だからスカートを破る特権とか萌え要素があるのかな?
「エマ様、いけません。
差し出すのございましたらハンカチ等の布にして下さいませ。
はぁ‥‥良いお歳の淑女なのですから。
仕草をいい加減はして貰わないと困ります。」
「ジャック、ヴァレン殿の前だぞ!
言うな、恥ずかしいだろう。
そもそもワタシには姫なんて柄じゃないんだ!
う、うむ。コッホン。そうだな隠すのに使ってくれ。
‥‥‥オロ?
足りないか、どうしよう。」
一瞬、執事長を睨んで愚痴を溢してからポケットから取り出されたハンカチを渡そうとして長さが足りないと思ったのか見えない空気に触れると、そこから長い布を取り出して今度は、しっかりと渡すように指す出される。
ホームメニューのアイテムボックスとかのだろうか。
この世界でも収納系のスキルはレアで現地人はあまり持っていないと胡散臭い電球から聞いた気がするがエマさんは持ってるらしい。
王族だからかな?
後で訊ねてみようっと。
渡された、ふわふわ布の御高そうな生地を取ろうとして右手が失くなっていた事を忘れて動作が変になって転けそうになる。
エマさんに支えられて長いタオルみたいので眼帯みたいに右目を隠してもらってしまった。
後ろに移動する時に良い匂いがして~
ふぁ~なんか嫌じゃ無い気分、落ち着く。
「今は此で我慢してくれ。
ちゃんとした物や腕の方も治療班と相談しよう。」
「ううん、ありがとう。
でも充分だよ。
自己再生も効かないみたいだから、こっちでも色々と解決策考えてるんだけどね。
だからって訳じゃないけどハンカチ?かな、ホントに嬉しい(●^o^●)」
「そっそうか?
なら良かったワタシも素直に嬉しい。
僥倖だ。
感謝を受け取ろう」
っと、そこで半壊ってか、7割は崩壊してしまった至る所や外が視界の、いっぱいに見えてドン引く。
壁は今もちょっとずつ壊れていっているし、床は大穴にクレーターだらけに溶け途中の黄金とかで凸凹してる。
酷たらしい血の痕はオレと魔王さんのだし。
……………これはマズいな~でもどうしたモンかな~
うむむ、困ったぞ。
おっ?
ははん!
よーーーーーし!!
こ~んな時は( ̄▽ ̄)bピッコーン!
創造魔法でイマジネーションをクリエイティブに爆発させよう!!
そうだな~基本設計はハガ○ンとかのアニメでリアルな所とかは洋画映画とかをベースに実用性なんかはイアに委ねるとして城の修理とかの特化型で土魔法を覚えさせるとして多分なんとかなるでしょ?
イケっるしょ!
外見イメージは完璧だからステータス面をしっかりと補強するしても要りそうなのを色々見繕わなきゃっ!
あとはイアがやっていいよ~マルナゲ~タッピッザァ( `・∀・´)ノ
いっちょ、お待ち!
『了解しました。
ー。
ーー。
ーーー。
ーーーー。
設計図及び造形と魔方陣の制作が完成しました。
発動準備の前にシュミレーションに掛かります。』
なんか、事有るごとに数十秒で何億通りのテストするね。
好きなの?
あれ?ものっそい魔力が抜かれると思ってたのにそんな感覚ないね?
『召喚されたばかりで私を創った時とはステータスが大幅に増加していますからね。
MPもマイナス値に到らず自動回復のみで全快に戻っています。』
そりゃ大分激変してるな~なるほどね!
なんなら自動回復でもう元に戻ってるまであるのが凄い。
シンプルにヤビゃ( ゜д゜)
『シュミレーションの結果から微調整等の修正しました。
不具合をオールクリアしました。
成功しました。
実行は何時でも開始出来ます。』
ほうほう。小さくウインドウ内に表示されてるのは500回以上の検証実験確認で時間経過に進んでいって爆発したり暴発とかの失敗に稼働時間から故障原因なんかの沢山の事だった。
ってか、まだやってる。
何千回するのよ?
んで何々?
成功した奴をやればいいのね?
魔法を新しく1から作るにはイメージが大事らしい。
想像を実現するための手順は設計と構築があって魔法陣に組み換えて描いて設定・起動の工程があるとか。
本来は、もっと細かい段階の説明は、そのうちI.A.がするし、そん時に聞こう。
*
魔法陣に刻まれてる魔法文字の機構とか構造チェックは終わってるからオレが発動するだけ。
詠唱はオレには要らないらしいから省くとしてもココからは魔方陣の維持と安定から供給と操作って大変だ。
オレ、これはイアさん諸々のサポートに頼み、任せます!
("`д´)ゞ敬礼
『了解しました。
目標は壊れた壁と床に空いた空洞。
崩壊の危険がある天井や魔王城全般等ですね。』
すると操られて左手が動いて少し先に手を向ける。
破壊アンド構築!
自分で暴れて壊した場合も使っていい言葉だっけ?
どのみち直すんだけだけど~
オレから2メートル先の距離の床から黄色の魔方陣が4つ出現する。
そこから西洋風の全身甲冑が次々にゾロゾロと続々に出てくる。
中は空洞になっていて誰も着ていないのに動いているようにガシャンガシャン、カチャカチャと音を鳴らしている。
鎧の表面上には薄い黄色が塗られていて頭・胸・手・腰・くるぶしの部分に黒いラインが描かれている。
それはまるで工事中の作業者に見え、、何でもない。
(´ε`;)ゞ
まんま手にはスコップとツルハシが持たされているのだ!
イメージ頼りで作ってしまったかな~
要らないよな。
何なら使わないし~
だって魔法で直すもんね。
まぁいっか~。
「な、ななっ!?
ヴァレン殿!!
これは一体なんだ??」
驚き方が昭和みたいなリアクションと動きに、二度見をする魔王令嬢さま。
身構えなんていいから。
刃物を仕舞いなさい。
更に小声で魔力の淀みも詠唱も無いとか言ってる。
一様は説明しときましょ。
「彼等は城の修理なんかのために作った即席の魔法騎士になるかな。
名前は黄色騎士(仮)ステータスなんかは抵当(適当)なんだけどね(゜∇^d)」
右手を動かそうとして思い出して悟る。
そういや失ったんだと。
右手でがないので左でGooっと!って、やっとく。
「クリエイトスキルや魔法のナイト・サモン系の騎士召喚とも違うようでしたが?
これは如何に………。」
目をパチクリされているエマに執事長が補足して説明すようとして閊かえ、させてしまっている。
ごめん、力技でメチャクチャやってるから既存のと違うと思う。
「おぉ、えぇ?
ハイでもウン、そんな感じの奴だった気がするよね多分。」
誤魔化すように激しく顔を振って頷いとこう。
あぁ目痛い。
「これは畏れ入ります。
自己紹介が遅れておりました。
私はジャックと申します。
気軽に御呼び下さい。
老骨の身なれど貴方様、ヴァレン様に御仕えさせて戴ければと存じます。
詳しい、お互いの紹介は後日にでも。
早朝からは私も先代様の事や他の雑事に駆け回ると予想されますから」
「おん、そうだね~だな!
ジャックさん( ・`д・´)キリッ」
何気にちゃんと会話したの今が初めてじゃないですかねジャックさん。
ごめんよ。
忙しくさせた原因、オレだよね?
そこで、ようやく理解が追い付いたのか話に入ってくるエマさん。
「しゅうり?
っと言う事は城を直すのだなヴァレン殿!!
それで、こんなにも大量に召喚しているのか。
可愛いらしい見た目で、とても頑丈そうだ!
父上の甲冑を参考にしたのか?
うむ!
ワタシは気に入ったぞ!!」
あぁその発想は無かったけど闘いながら、ずっと見てたわけだし知らず知らずに影響受けてたのかも!
「そう?ありがとう。
彼等も喜ぶよ。
んで彼等の今ンとこの仕事はオレと魔王、、、先代魔王さんとの戦いでこの部屋とかも、なんなら城中から門まで壊しながら進んで来ちゃったから。
オレのせいだし~直さない状態ってのもまずいでしょ?
それにこのまま放置ってのもマズイし、敵に攻められて来られても困るしない急がないとだよね。
流石に穴だらけも外聞、悪いし良心が痛むからさ。
あと寒い。」
「おぉそんな事まで考えてくれていたとは!!
やはり十二分にヴァレン殿は優しい心の持ち主なのだな。
それは父、、亡き先代魔王のお墨付きだったモノな!
最後のが本音の様でもしないでも無いが。
‥‥‥確かに寒い。
だが、かたじけ無く忍びない。
何かワタシに手伝える事があったら何でも言ってくれ!」
腕を捲って、やる気十分、眼から炎が燃えてるみたいになってる。
また空振りしなきゃいいけど。
「いいよ、オレが悪いんだし。
うーん。
城全体って考えたら、この数じゃ足りないかな?」
早速さっき創った魔法騎士の覧をタップする。
1度創った創造魔法は新魔法はオレ・オリジナルとしてスキルの、一覧に載るようになる。
500体と匹も居れば取り敢えず何とかなるか。
さっきの魔方陣の近くに6個、新しいのが出現して計10個の魔法陣がある事になる。
「こ、こんなに同時発動を簡単に成功されるとは、、、それにさっきから魔法を多用している様子だが大丈夫かヴァレン殿?
父上との戦闘でも消費して疲れてもいるだろうに?
無理しなくていいのだぞ?
もう休んで作業は明日の朝でもいいんだ。
部屋なら空き部屋が1つあるからソコを使ってくれて構わない。」
「ん?
あぁ何か丈夫なんだよね~。
今のところはなんとも無いし(´ε`;)ゞ」
絶対、能力解放したヴァンパイアとレベルアップのせいだけど。
「本当に本当に大丈夫なのだろうか?
いきなり倒れでもしたら事なのだぞ!!」
積め寄ってくるな~、これはマジに心配してくれてるのが伝わる。
ヴァンパイアとか召喚者事とかの本当の事は伝えた方がいいのかな?
でも今って感じって雰囲気じゃないし。
その内には話さないとだよな~
「大丈夫、大丈夫!
大丈夫だよ。
レベルアップしたりして元気有り余ってるし!
心配してくれてありがとう、えつとエマ、、さん」
後退りしながら声に出して名前を呼ぶのが初めて過ぎて照れてしまった。
「そうか~。
な、ならば良いのだ。
しかしレベルアップしても体力が回復したり疲労が治ったりはしないのだから注意は必要だぞ?
その、ヴ、ヴァ、ヴァレン殿~?
ヴァレン殿!
そうヴァレン殿だ!」
彼女にもオレの緊張が電波してまったようで、さっきまでは普通に呼んでたのに露骨に詰まりながら恥ずかしげにオレの名前を呼んでは照れているエマさん。
彼女はリアクションが大きいから分かりやすい。
他の比較対象との遭遇から少ないから比べよう、あんま無いけど。
ジャックさんは口を手で隠しながら俺たちに微笑んでいる。
気まずいので誤魔化す意味も込めてオレは黄色騎士たちに指示を出す事にした。
この巨大な大広間の修理班と城や門なんかの班とに別けて大きく3班で問題ないかな。
魔法騎士の班の1つが魔王の広間から出ようとしていると入り口の方面から騒がしい音がしてくる。
正面入口はオレが入って来たのとは別の鉄の扉が複数有って、その1つが勢いよく開くと甲冑の華奢な男が慌ただしく現れるやいなや怒号を張り上げながら抜剣して掲げる。
んにゃ?
どっかで見た事あるような~??
ドコだっけな?
ごく最近な気がするけど思い出せない~
何でだろ?
うん、ヴァレンちゃん記憶喪失だから分かんない(・ωく)ミ☆てへぺろ
マジで誰だ。
ブッチャーさんですか?
[次回予告]
ヴァレンの前に現れた謎の騎士。
戸惑うヴァレン少年に老騎士は有無を言わさずに襲い掛かる。
黒城は静かに佇み、少年は動揺しない。
少年は命について学び、魔王は託した。
想いに応えるように少年は心に誓い魔王になった。
そんなヴァレンに秘策はあるのか?
次回、俺的な吸血鬼と異世界で大魔王叙事記σ(`・・´ )
第11話「ファントムとスペクター」
さ~てこの次も瞬殺ッ瞬殺ぅ~!!
お楽しみにね♡