プロローグ1 気がついたら魔王になっていたので自分の安寧のため、ひとまず世界征服する事に決めた。
ぬるい風が頬に触れて目が覚める
瞼をゆっくりと上げる
するとそこに広がっていたのは一本道のド真ん中で森に囲まれているようだった
痛い程に眩しい日射しと木葉の擦れる音
反射的に光から逃れる仕草をするように手で顔に影を作って顔を背ける
ここで不思議な感覚に晒されていた事を実感する
しっかりと自分の2本の脚で立っていた事に今更ながらに気づいている自分が居たからだ
そこで初めて自分の身体に力を入れていなかった事を認識してしまう
次の瞬間には倒れそうになる
膝からガクッと前のめり、になって焦る自分と冷静な自分が防ぐために遅れて体へと意識を割いて倒れないように指令を脳が送る
そのおかげで何とか尻もちを着かずに済んでホッとする
ここ迄に経って冷や汗を掻きながら、やっと仁王立ちから頭を左右に振って周りを確認する余裕が出てきた
何処にでもありそうな平凡な山中の緑にポツリと佇む自分以外は変な所は今は特に見受けられない………………が、ここでふと疑問に思う
覚醒と共に、この状況を全く理解出来ておらず、事態も不明で分からない点だらけ、そもそも自分が誰なのかも知らない
‥‥‥‥‥これは思案しなければならない
そう思った瞬間の直後、全身に電気ショックのような痛みが走って踠きながら崩れる
余りの事に声さえ出せずに走馬灯のように想起するフラッシュバックは脳内を駆け巡ってパンクするように這いずり廻る
この痛みが1秒でも早く去るのを願いながら苦しくて息も出来ずに地面の土を握って5本指の引っ掻き痕を作りながら終わるまで堪える
やっと出来たのは悶え苦しみの悲鳴だけだった
森に轟いた残響では何も変わらない痛い陽射しに照されるだけで何もしてくれない
時間にして20秒間程の時間は体感時間は1分間から5分にも感じた
電気ショックが止んで仰向けになって天を仰いで浅く深呼吸する
電気ショックを受けたような痛みと引き換えに思い出したのは───神との邂逅そして契約───だった
これは以前の自分に因る使命(指命)にも似た呪い染みた一連の全ての記憶
電気ショックの激痛とフラッシュバックで脳を触接、弄られたような不快感に耐えながら得た記憶は混乱と悲観で付随して伴ったのは苦しみのみ
今は呼吸を荒く繰返す事でしか、この綯い交ぜの感情を誤魔化す事は出来そうにない
不安は行き場を失って体の近くを浮遊していそうだ
以前の自分は、いや彼は飛んでも無い置き土産を残してくれたものだ
過去の自分を今の自分が、ぶん殴れるなら迷わず殴りたい、そんな衝動に駆られながらも実感する
確かにある───この現実感と他人事のような人事感───と産まれたばかりの自分
そして、つい先ほど起きたで有ろう
過ぎただろう出来事を、よろめきながら漸く立ち上がるまでになって思い出す
やっぱり異世界の日差しは、やけに眩しくて痛い気がするから嫌いになりそうだっと産まれたばかりの感情がボヤいていた
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思い出せるだけでもっとも最古な記憶の舞台は上も下も、左も右さえも何も無く只々、白くてバカ広い空間だった
そこに左肩を壁に預けて首をキョロキョロと動かしながら他にも同じような人がいる事を眺めて安堵したりと忙しなくしている自分が居た
それだけで彼がそれなりに混乱しているのが分かる
位置情報的に自分はそんなに人影から離れても居らず尚且つ、それでいて前と後ろの確認が出来る場所にいるようだ
自分は左部分の壁に陣取り、誰にも話し掛けられないように距離を保っているようだ
100以上500未満の人間は確実に居るであろうことが少し見渡しただけでも分かる程には集められているようで、それだけを許容できるだけの広さを誇る、この謎の建造物の場所も気掛かりになってきた頃合いで先頭の方から騒つきを起こしているのを察知して自分の首は周囲と同じようにそちらに向いた
前列では発光していてシルエットが暈けた人の姿形の謎の存在が降り立って人垣を裂いてノソノソと進むと中央で止まると咳払いを1つしてから喋りながら、ゆっくりと浮遊していく
声は男性や女性に老人から子供にも聞こえて、それでいて幾つもの声が重なりそのどれもが機械で加工したような音声のようでもあり時にはノイズさえ聞こえてくる
「「「ワタシが君たちをココに喚んだ。
そして君たちを贈る(送る)モノでもある。
そうだな、面倒だが1人1人要望は聞こう。
そしてその要望に沿った能力を得た君たちは今までとは違う別の世界にて生きてもらう必要にある。
悪いが拒否権はありはしない。
それに、そうだな、、、、もう無理だ。
ココに来ている時点で元の場所には戻れない、例え戻れたとしても身体が無い。
時間・時代が違うなど要因は塵のようにある。
今、言っただけでも問題点は山積みなのだが、そうだな、だからと言う訳ではないのだが君たちの要望には出来る限り善処すると約束しよう。
そうだな、分からない事の質問にも答えようかな。」」」
神?のようなモノが喋り出すと悲鳴が聞こえたり怒号や泣き出す者、皆が皆で、それぞれの反応を見せていた
そこで勇気のある青年が手を上げる
いや違う、あれはスクールカースト等で謂う所の上位にいるであろう風体の好青年が知り合いや、この場の他の全員を代表して颯爽と挙手してる感じを醸し出してる気がする
なんかいけすかないな、気に入らない
そんな自分の思考を知る良しもなく好青年は質問を口にし始める
ここで自分が疑問に思ったのは自分は1人だったが中には知り合いと同時なのか或いは、それもとここでたまたま知り合いと合流したのだろうかという問題だった
分からないが一先ずそれなりに知り合いと塊っている者もいるという事が知る事が出来た
その後、神らしき存在と他の人物達も質問をしていく流れへと変わっていった
それには確かにあの好青年が最初の勇気ある行動が一役買っているのは大きいだろう
最初は恐れ恐れだったが徐々に会話はスムーズへと変化して受け答えは一対一から一対多の会議のように、それで居て和やかに進んで行くのには自分も困惑して苦い表情を浮かべているのが伝わってきた
それらの話の要点を纏めると以下の通りになっていた
1、私のことは神と思ってくれていい
2、パラレルワールドとも又、違う世界に何の弊害もなく無事に送り届けると誓う
3、その際に超常的な力を授ける
4、要望は個々に聞き入れ・加護も授ける
5、能力の確認方法などは我々に最もポピュラーなゲーム等の仕様にした事と、これは人によってはイメージでデザインが違ってくるかもしれないが大した違いや仕様の変更は無く問題はないらしい
6、別の世界では神は基本干渉しない
7、その世界で生きていく中で使命などは、こちらから特に与える事は無く、用意もしていないので好きに謳歌していい
8、ただしその世界にとって害悪のある事象・行動を起こすと看過できない
9、その場合、ステータスから加護までの全て失効される
10、最後になるが、ここでの時間はそうだな、君たちの知っている現象と異なっているのでいくら経過しても問題ない
もちろん、そうだな霊体のようなモノと思ってくれていい
お腹も空かず、ゆっくりと能力なんかについて熟考してくれて大丈夫だ
相談も各々で引き続き行って良し的な事を言っていた
簡単にまとめるとこんな感じで案外優しい
そんな感想が今の自分には浮かんだ
神対応だ、神だけに
しかし過去の自分には笑える状況では無いのは当然で、微動だにせずに質問大会に参加する事なく聞く事に専念して終わっていた
あれからどれだけの時間か経過しただろうか質疑応答や沢山の、のんびりとした騒動が、やっと終わって一息ついているとテンションを上げた一団が目に入ってくる
自分の視界にはメガネを掛けた芯の細い男が仲間内で早口に巻くし立てながら喋っているの見えて会話も漏れ聞こえて来ていた
内容はチートだのテンプレだの異世界転生だーーっと聞こえてはくるが要領は得ない
確かに、そんなのが流行っているのを見聞きした気がするな~と感じたのが伝わって来たが深くは思い出せない
興味を無くした自分は周りを観察して一つでも多くの情報を得ようと務める行動に出たようだ
そうこうしていると場面は進展した様で神に対して一つの列を作るように指示されたようで並び始める
中には列に並ばずに静観してる人達も一定数いるようで
その中には自分も含まれていて移動せずに様子を見ていて列には並んでいないでいた
蟻の行列を思わせると感想を抱きながら状況を整理する
今、並んでいるのは1人1人が思い思いのステータス等の希望を神に訊いて貰っているからと予想して間違いないだろう
それが終わると何処かに転送されて消えているのが遠くからでも見えた
中には仲間を待って一緒に送られている人達までいる
奇っ怪な光景だ
どうやらこのまま此処に居ると神との会話が聞き取りつらい位置になってきてしまったようだと焦ったのか自分は少々名残惜しい感情を露にしている
こうして肩や背中を預けたこの場所と、お別れする事にしたようで会話がある程度聞こえて来る場所まで移動するため背を浮かす、同じようなスポットに居座ると又、会話を盗み聞き始めた
他の人達の仲間内での会話を盗み聞きした結果から予想するに元々の知り合いや、ここで初めて知り合った者同士だったするようだった
奇怪しな状況にいきなり放り困れてお互いに、この心細い状態を少しでも緩和・落ち着かせようと本能的に取っている行動なのだと1人、首を頷けて納得している自分がいた
それぞれの集まりを作ってキャンプのように囲んだりして時間を潰して自分達の番を待っていたり、他の集団同士で交流しているのを自分は楽しそうに、それでいて悔しそうにし見詰めて待っている
中には自分のように情報収集している人もいるのが確認出来たが単独行動をしている者は全体からしたら少なかった
少し寂しい思いをしながら自分は行き遅れた後悔や焦りと共に1人、聞き耳を立て続ける
やがて異世界に転送される人数がまばらに減っていく
列も止まったり、一旦終わって又動き出すのを何度か繰り返して残りはあと自分を入れて数十人になっていた
そんな時間経過で予習と計画の妄想は完璧と言って良いだろう右腕を胸の前で握り絞めて一歩、前に出る
そろそろ頃合いだと覚悟を決めると唾を飲み込んで喉が鳴る
この空間では空腹を実感出来ないのは確かだったのに、なんだが今は無性に水を飲みたい気分に至る
そんな緊張のような中にあるまま、自分はもう一歩、もう一歩と踏み出して神の元へと進む
次の更新は本日の午前です。