初めての手紙
私は文通の提案をしました。
男爵様はそれはいいと直ぐに了承下さいました。
最初の手紙は男爵様が預り、責任を持って息子に渡すと言ってくれたので、失礼して退室すると簡単な挨拶とこれから手紙で交流をお願いする旨を書いて、再び部屋を訪れました。
男爵様は直ぐにワグナー共和国へ送ってくださるそうです。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
それから急ピッチで領地の復興がすすみました。
ある程度の村改め町の形や畑の場所など、変わってしまった地形を考慮して新しく作っていったみたいです。
各領民の家は簡単なため殆んど出来上がったようで、ひと安心です。
後は町の主要機関の建物や教会などの建築を急いでいると聞いています。
北の領地もやっと目処がつきそうで本当に良かった。
1ヶ月後、男爵がテオバルド様からの手紙を持って来てくれました。
男爵様はまた私にいっぱいの贈り物を置いて帰っていきました。
男爵曰く、義理の娘へのプレゼントだそうです。
さて、部屋でゆっくり手紙を読むことにします。
侍女にお茶の用意をしてもらい、早速封を切ります。
拝啓
取り急ぎ、ご挨拶申します。
丁寧なご挨拶を頂き感激いたしました。
この度は父の非礼とも言える申し出を受けていただいたそうで、お礼申し上げます。
しかも、このように前向きに私との関係を作ろうとしてくれるなど、感謝の念に堪えません。
父からも手紙でリディアーヌ様の美しさや、人柄の良さを聞き及んでおります。
私はなんとも運のよい男だと、喜んでおりますれば、少しでもあなたに相応しい男になるべく精進しようと、決心したところです。
また私の都合で直ぐにお会いできず、誠に申し訳なく思っておりますが、これからはお互いの気持ちを通わせるべく、できる限り便りを出す所存でおります……
と、この後も続くんですが、こんな感じでとても気を遣って下さっているお手紙が頂けました。
あちらも親が決めた相手を嫌がってはいなそうで、ホッとしました。
顔も気になりますが、やっぱり性格が良さそうな方が良いですもんね。
これなら、心配はなさそうです。
まだ2年間は自由にジャルジェ家のお手伝いもできそうですし、お父様に相談して、そろそろ自分のお仕事の様子を見に行きたいと思います。