まだですか?
次の日朝から準備を整えて、馬車に乗って総領府へ向かいました。
目の前に現れた、総領トレビス・カレール様は思ったより若い方で驚きました。
国の代表だから、もっと壮年の方だと思っていたら、私と十も離れていないのではないかしら?
赤みがかった茶色の髪に、翠の瞳で穏やかな笑みをたたえた顔は人を惹き付ける力がありました。
「ようこそ、リディアーヌ・ジャルジェ伯爵令嬢
いや、ロエベ夫人とお呼びした方がいいかな?」
「どちらでも構いませんわ、
トレビス様は、私達の事をよくご存知のようですが、旦那さまとも親しいのですか?」
「ああ、聞いていませんでしたか?
テオバルドと私は学友でね、私は留学生だったんだけど、彼には世話になったんだ。
そして、今も私の片腕として頑張ってもらっている」
「まあ、それでテオバルド様はこの国でお仕事をされていたのですね」
「ええ、共和国になってこの国はまだまだ不安定な所が多いのです。
今の体制が落ち着くまでの約束で手伝ってもらっているのですよ」
やっとテオバルド様がワグナー共和国にいる理由がわかりました。
ただ、ロエベ商会の為と言う訳ではなく、お友達に力を貸しておられたのですね。
「折角、奥様に来ていただけたのに、旦那を地方へ行かせてしまって申し訳ない」
「そんな、私の来訪が予定外だったのですもの。
仕方ありませんわ」
「早く帰ってくるように、伝言は送ったから、ゆっくりとこの国に滞在していてくれ」
「ありがとうございます」
◇◇◇◇◇◇◇
数日たちました。
ワグナー共和国とのお取引に関する契約や取り決めも順調に進み、そろそろ終わりも見えてきました。
あれから、旦那様に関しての情報は入ってきません。
何となく聞くのも、悪くてこちらからも言えません。
どうしよう、まだお帰りではないのかしら?
仕事が終わっても、帰らずに待ってた方がいいのかしら?
って言うか待っていてもいいのかな?




