2人の終わり
悲しいのはわたしじゃない、
あなただから。
わたしは泣けない。
『もう終わりにしよう。』
愛美の突然の一言に
修二の顔が凍りつく。
嫌いになったわけじゃない。
弱さが似た者同士の2人、
生き方が不器用な似た者同士の2人。
2人一緒にいるとダメになるから…。
愛美は修二がバラバラに壊れてしまう気がして
修二の頭をぎゅっと抱きしめた。
修二は動かない。
必死に愛を注ぎ、
愛を繋ぎとめようとしてきた修二。
結婚して、月日が流れるとともに、
少しずつ気持ちがすれ違ってきていることに
修二が気づいていなかったわけじゃない。
終わりがくることに怯えながらも
愛美への愛を止めなかった修二を思えば思うほど、
いつか終わりにしなくては、
そう愛美は強く思うようになった。
愛美の中に
確かにあったはずの気持ちが消えて無くなった、
どこを探してもみつからなくて、
息もできないほどに苦しい。
愛しているのに苦しみが生まれる。
その愛は、
もう、愛じゃない…。
そう考えるようになった愛美は
修二との関係を終わらせることにした。
どこに向かっても悲しくて、
胸が痛くてたまらない。
言葉もない、
悲しい悲しい空間が
バラバラに砕けた2人を包み込む。