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りたーにんぐ!  作者: 消しカス
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帝都騒乱編 閑話 夢が叶った日

「……という予定になっておりますが、どう?」


「はい。楽しみですね……では」


 エリーはそう言って手を差し出してくる。俺が腕を出すと、軽く絡めてきた。少し気恥しいが、こういうのは雰囲気が大事だ。

 

 ササフギ砦跡での一件の後、俺の都合など全くお構いなしに持ち上がったデートの話は、俺の都合など全くお構いなしに実行される運びとなった。

 まぁそれは別に構わない。エリーの事が苦手という訳でもないし、彼女は何事も無ければいたって物静かな女性なのだ。美人だし。

 それに、女性と一対一でデートするなんて随分と久しぶりだ。この世界にはデートで定番の映画館や遊園地はないが、アンナやミラに相談してプランを練った。エリーには日ごろから世話になっているので恩返しの様な気持ちもある。楽しんでもらえればいいのだが、どうだろうか。


 大まかな予定としては、午前中は劇場へ。今は劇ではなく、演奏と歌のステージをやっているらしい。最近有名になり始めている作曲家の作品を中心に定番の歌や曲をプロが演奏する、というものらしい。

 昼食をはさんで午後はウインドウショッピング。その後ちょっとお高いお店で夕食を頂く。といった感じだ。


 以前〈辺境の英雄〉の劇を観たときはテラスの貴賓席だったが、今回は一般席だ。客の入りはそこそこで身なりの良い客が多い様な気がする。音楽や歌は身近な娯楽ではあるが、お金を払ってまで見る、という感じではないのかもしれない。

 管楽器や弦楽器をメインにした演奏が主で、クラシックの様に洗練されたものや民族音楽の様な独特の雰囲気のものまで様々だった。歌手が歌う歌もオペラの様なものから童謡のようなもの、そして、観客が合いの手を入れるような歌謡曲もあったりして、なかなか楽しく拝聴させてもらった。何より生演奏の迫力とプロの歌唱力に圧倒された。


 二時間ほどの公演が終わり、エリーと二人でオープンカフェの様な小洒落た軽食屋で昼食をとる。

 映画なんかを見た後には感想を言い合うのがデートの定番だ。同じような感想なら距離感が縮まるし、違う感想を持ったとしても、お互いの考え方を知ることが出来る。まぁ、今回は演奏と歌のステージだったが。


「どうだった?」


「そうですね……。楽しく拝見しました。途中の派手な衣装の女性の歌がいまいち納得いきませんでしたが」


「あー、あれかぁ。うーん、歌としてはありがちな題材かなぁ。いい歌だったけど」


 エリーが言っているのは舞台の中盤で登場した女性歌手が披露したバラード調の歌だと思う。歌詞の内容はよくある男女の別れの歌だった。ささいなすれ違いで別れてしまったことを後悔している、とかそんな内容だ。


「めそめそうじうじと、そんなに気になるなら探して会いに行けばいいのです」


「あー、それは確かにわかるような気もするけど、でも、あの歌って死別を匂わせてなかった? まぁ、考えすぎかも知らんけど」


「………なるほど。確かにそう取れなくもないような……。まぁ、それも含めてスッキリしない感じが残ったというか、なんだかモヤモヤします」


「確かにうじうじしてたけどね。でもそれでエリーの心に残ったなら、歌としては成功なんじゃない?」


「……そういうものでしょうか? あまりいい印象ではないのですが」  


「喜劇より悲劇の方が印象に残りやすいって話をどっかで聞いたような……」


 そんなたわいもない会話を楽しみながら食事をしてゆっくり過ごした。


 次に向かったのはエリーの唯一の趣味らしい趣味といってもいい服飾関係の店だ。アンナの話では、その店は腕の良い針子を数人抱えていて、最近評判がいいらしい。

 大きな商店が立ち並ぶ大通りから一本裏に入ったところにある中規模の店だった。衣服だけでなくバッグやアクセサリーも扱っている。

  

「後の予定はあってないようなものだから、ゆっくり見ていいよ」


 本来、女性の買い物に付き合うのは、男性としてはなかなか大変なのだが、最初から覚悟していればそこは頑張れる。というか、実はそれほど苦痛でもない。先ほどの歌や演奏のステージの時もそうだったのだが、俺はその土地の暮らしとか言い伝えや風習、習慣といったものの背景を想像したりする民俗学的な事柄が好きだったりする。

 その点で言えば、この店は商品の種類も幅広く、店の針子が作ったもの以外に、他の領地から取り寄せた物もあり、貴族が身につけるようなような上等な物から、民族衣装のようなどことなくエスニックな雰囲気の物もあったりと、見ていても楽しい。

 確か貴族しか使ってはいけない素材や色などもあったような気がするが、この店で扱っている物はすべて平民が使用しても大丈夫な物だ。

 元の世界なら何時代に当たるのか、とか、衣装や小物にどういった歴史的背景や思惑があるのかを想像しながら商品を眺めるのは意外に楽しい。


 エリーは商品の縫製技術やデザインなどを店員に話を聞いたりしながらじっくりと見ていた。

 一緒に商品を手に取ってみたり、横で話を聞いたりしながら時間を過ごす。途中、エリーから離れ店員に話を聞きながら幾つかの小物を購入したりした。

 

「イチロー様」


「もういいの?」


 その後店内をブラブラしているとエリーが声を掛けてきた。幾つか気になるものを購入したようだが、それは店の者が屋敷に届けてくれるよう手配したらしい。


「はい。勉強になりました。辺境に無い物も多く、私の知らない新しい技術も沢山あるようです。色々と試したいですね」


 エリーは【裁縫】のスキルを持っているが、デザインや新しい縫製技術などは誰かの発明と言ってもいい。流行り廃りもあるだろうし、たとえ専門的なスキルを持っていてもその辺りのことには限界があるのだろう。


「じゃ、次行こうか」


 次に向かったのは商業区のはずれにある問屋街と呼ばれるところだ。その名の通り卸問屋のような店が軒を連ねているらしい。そこの布や皮革を専門に扱っている店に行くことになっている。少し歩くことになるが、途中の雑貨店や魔道具の店を冷かしたりしながらゆっくりと歩く。


「そういえば、この前捕まえた人どうなったの?」


「ああ。アダさんですか? おとなしくしているそうですよ。近いうちに尋問に協力してくれとのお話を頂いています。何かわかったらお伝えしますね」


「あー、うん、あの、ほどほどにね」


 あの人はアダという名前じゃないと思うんだけど。それはまぁいいとしても、あの時は彼の他にも仲間が4,5人はいたようだが、その人たちはどうなったのだろうか。聞きたいような聞きたくないような。そんなことを考えていると、まるでそれを見透かしたようにエリーが教えてくれた。


「アダさんが連れて来ていた聖教徒ですが、何名かは司法取引に応じたようですね。情報と引き換えに犯罪奴隷に落とされるか、帝国のスパイとして働かせるような話も出ているようです。当然首輪はつけるでしょうが、死ぬよりはまし、といったところでしょうか」


「あ、そう」


 うーん、首輪ってどんなのだろう。なにか魔法的なモノなのか、それとも人質的なものなのだろうか。あまり深く考えるのはよそう。 


「ちなみに首輪と言いましたが、魔法王朝時代の技術で、体内に寄生する……」


「わー、ストップ! 言わなくていいから!」


 俺が急に大声を出したので、少し周囲の注目を浴びてしまった。エリーはそんな俺を見て微笑んでいる。笑うと可愛いんだけどなぁ。言動がなぁ。

 

 その後も特に何事も無く予定を消化していく。問屋街の店は流石に専門店ということで、様々な種類の布や素材が扱っていた。エリーはそこでもいくつかの素材を購入していた。

 エリーが何かを欲しがったり買い物をしている姿はあまり見たことが無かったので、今回のデートは成功と言ってもいいのかもしれない。


 そうこうしているうちに夕食の時間になった。


 予約を入れていた小洒落たレストランでちょっと奮発したディナーってやつだ。まぁ、俺の金じゃないけど。

 

「何かつくりたいものがあるの?」


「そうですね……」

   

 豪華な、というよりお洒落なコース料理の様な食事を頂きながら、適当な会話をする。


「とりあえず、皆のパンツを縫わないといけませんね。肌触りの良い布が手に入りましたし」


「あ、それはお願いします」


 肌着関係は皆のぶんもエリーが縫ってくれている。エリーの趣味の様なもので、別にこちらから頼んでいるわけではないが、モノの出来も良いので使わせてもらっている。

 

 普段二人きりになることがあまりないので、何だか新鮮な気分だ。周囲の客もカップルが多いので俺達もそんな風にみられているのだろうか。


「……どうかされましたか?」 


「あー、いや、今日はよく食べてるなって思って」


 いつの間にか見惚れていたらしい。別に誤魔化す必要も無いのだが、何となく思ったことを言ってみる。

 エリーはあまり食事を摂らない。お茶や水分は摂っているようだが固形物はあまり口しないようだ。以前、殆ど食事の必要は無いと説明を受けていた。


「ええ、せっかくですので。必要がないだけで、食べられないわけではないのです。味もわかりますし。睡眠も同じですね」


「えっと、半あすとらる体、だっけ?」


 俺の中では、霞を食べて生きていくという中国の仙人のようなイメージなのだが、いまいちよくわかっていない。


「はい。少し説明しましょうか」


 そう言ってエリーは語りだした。


 アストラル体とは、鉱物や金属が魔素により結晶化するように、長い時間をかけ人体が魔素により変質し、生物と非生物の中間のような状態になったものだそうだ。大抵は変質する前に寿命が来たり、魔素の負担に肉体が耐えられず命を落とすが、それらを乗り越えたものが到達する領域だという。

 エルフの魔法王朝時代にある程度の技術が確立され、人工のアストラル体を持つ者も生み出されたというが、常人ではその肉体の変化に耐えられず、精神が崩壊する者がほとんどだったという。

 肉体の変化にあわせて長い時間をかけて精神を適応させることが必要だということらしい。


 アストラル体になる、ということは、ほぼ不老不死になる、といっていい状態だ。それに伴って、食欲、性欲、睡眠欲などの人が生きていく事と密接にかかわっている欲がなくなっていくという。また、そういう俗な欲望を捨て去ることもアストラル体として安定するための条件の一つとなっているらしい。

 確かに、食事や睡眠が必要ないとなれば、そうなっていくのかもしれない。性欲が無いのも、自身が不死なら子孫を残す必要が無いということなのだろうか。


 不老不死。何となく想像できるような出来ないような。


 欲を満たす、という事は生きていくという事だ。食事や睡眠は生きる上では必須だし、人は性欲や物欲を満たすことに快感や楽しさを感じる。その辺りの欲が無くなる。それはなんというか、生きている、と言えるのだろうか。


 エリーの話についそんな事を考えてしまう。


「そして、様々な欲はそぎ落とされ、人らしさは失われて行き、その者が想う純粋な願いのようなものだけが残るのです。その願いが自己で完結するようなものであればいいのですが、そうではない場合、往々にして厄介なことになります。例えば……」


 例えば、何かを成し遂げたいという目的があったとする。魔道の深淵を覗くとか、この世の真理を解き明かすとか、失ってしまった誰かを生き返らせるとか、それがなんであれ、それを叶えるためならあらゆることに頓着がなくなっていくらしい。具体的には倫理や道徳といった類の観念だ。


 人らしい欲を失い、人らしさを失っても最後に残った願いの結晶。言葉としては奇麗な響きだが、それがもし、何かを犠牲にしないと得られないとしたら。その為なら他人の生死や社会の仕組みなど関係ない、となれば、そんなものははた迷惑なだけのただの狂人だ。


「………えーと」


 思わず言葉を失ってしまった。エリーもいつか人の心を失ってしまうのだろうか。だが、そんなことを口に出して聞けるわけがない。

 

「私はそうはなりませんよ」


 よほど顔に出ていたのか、エリーは俺の目を見ながら優しく微笑んだ。

 

「エリーゼは善良な娘でした。そのエリーゼの心が今の私の根幹です。人の心は遷ろうものですが、魂に根差した芯の部分は変わりません。……ですが」


 エリーはそこで言葉を切り、少し真剣な表情で続けた。


「私はお母様の為なら何でもします。世界を敵に回してもかまわない。お母様と共にあり、そのお手伝いをする。それが私に残った最後の願いなのですから」


「……そっか」


 エリーの言葉は不穏なものの様に聞こえるが、俺はそれを聞いて逆に安心してしまった。


 タマムシがいればエリーは大丈夫だ。これからの長い時間をエリーはタマムシと共に過ごす。一人になることは無い。そしてそれは、誰かの為に、という想いを忘れることは無いということだ。


 タマムシが誰かを踏みつけにしてまで何かを望むことは無い。俺はそう確信している。少なくとも俺が生きている間はそうはならない。そんなことを言い出したら当然止めるし、話し合うだろう。これまでもそうしてきた。向うがどう思っているのかは知らないが、俺はタマムシの事を友人だと思っている。


「なにやら笑っていますが、可笑しかったですか?」


 エリーは少し笑いながら言った。そんなつもりは無かったが、また顔に出ていたようだ。


「いや。そういうエリーだって機嫌良さそうだけど」

 

「……夢が叶いましたから」


「夢?」


「はい、男性とこうして逢引きするのがエリーゼの夢だったのです。神職ではありましたが、エリーゼは年頃の娘でしたので」


 エリーゼが幼いころ、母が病に倒れ生死の境を彷徨ったことがあったという。エリーゼは神に祈り、母は命を取り留めた。彼女はそのことがきっかけで信仰を深め、神職の道に入ったそうだ。

 その宗派は結婚自体は禁じられていなかったようだが厳しい戒律があり、普通の年頃の娘の様に男性と遊びに行ったり、ということはなかなか難しかったという。


「夢を叶えるのに五百年かかりましたね」


 エリーはそう言って笑った。この人、無邪気に笑うと可愛いんだよなぁ。


「でも、ガサの町で永いこと過ごしてたんだろ? その間にお誘いとかなかったの? エリーはモテそうだけどな」


「何度かそういうお誘いを頂いた事はありましたが、あまり興味もありませんでしたし、知らない方にいきなりそういうことを言われましても。そういう意味で言えば、イチロー様は私が興味を持った初めての男性ですね」


「えっと、……喜んでいいんだよね? それ」


「ふふ、どうでしょう? そこはイチロー様のご自由に」


 俺が相手で申し訳ない様な気もするが、夢が叶ったのならきっといいことなのだろう。なんだか、からかわれているような気もするが、ここは素直に喜んでおくことにしよう。


「他にはないのか? その、夢っていうか、やりたいこととか」


「先ほども言いましたが、私の願いはお母様と共にあること。それ以外では、……エリーゼの夢は幾つかありますが、どれも些細な事です。仲の良い友人とお洒落な店で甘いものを存分に食べる、とか。……そうですね。その夢も今叶えてしまいしょうか」 


 エリーはそう言うと近くで配膳していた店員に声をかけた。


「すみません、知り合いが来ているようですので、相席をしたいのです。テーブルを移動してもかまいませんか?」


 食事も粗方終わっていた俺たちは、店員の了承を得て席を移動することになった。俺は事態がよく呑み込めないままエリーの後に付いて行く。

 そうして辿り着いた店の端っこのテーブルには見慣れた顔が並んでいた。


「こんばんは、みなさん」


「ち、ちがうです!」


 そのテーブルに座っていたのは、いつもの面々だった。具体的にはトアとハル、ミラとアンナだ。


「偶然です! わたし達は偶然この店で食事をしていただけです!」


「そうですか。朝、私達が屋敷を出たときからずっと付いてきていましたが、偶然ですか」


 えーと、朝からずっと? マジですか? ……こいつら暇だな。


「……もう、だから僕はやめようって言ったのに」


「なっ! ハル!? お前、ノリノリだったじゃねーですか!」


「そうだぞ、トア。フチ、私も止めたんだが、強引に連れ出されてしまった。なぁアンナ」


「そうだねー」


「おめーらもです! わたしが声を掛ける前から行く気満々だったじゃねーですか! 信じられねーです! 今、酷い裏切りを見たです!」


 何やら四人で言い合いを始めてしまった。言い合いというよりじゃれ合いの様にも見えなくもない。

 まぁ、この世界には娯楽が少ないし、友人のデートの後を付けて様子を見るなんてのは確かに楽しそうではある。途中で飽きそうだけど。


「エリー、邪魔をするつもりは無かったんだ。気を悪くしたのなら謝る。すまなかった」


 ミラがそう言って軽く頭を下げると、流石に皆もバツが悪かったのか、それぞれが謝罪の言葉を口にした。


「まぁ、かまいませんよ。確かに邪魔はされませんでしたし、イチロー様は気づいてもいませんでしたしね。ところでアンナさん……」


 エリーはそう言いながらテーブルに着く。俺だけ立っているのも変なので、席を詰めてもらい座らせてもらった。 


「私としては満足だったのですが、今日のイチロー様の立ち振る舞いはいかがでしたか?」


「うーん。……80点。もう少しイチャイチャしても良かったと思うなー」

 

「そうかな? 私だったらあのくらいの距離感がよさそうだが。初デートなわけだし」


「いーなぁ。僕もイチローとでーとしたい……」


「買い物が長すぎです! もっと珍しい物を見たり食べたりするのがいいです!」


 いつもの様に勝手な事を言い出した面々の話を適当に聞き流しながら、店員に人数分のデザートを注文した。アンナの話ではこの店は甘味も評判だという話だったので、少し楽しみにしていたのだ。

 話の内容はデートの批評から、午前中に見た歌曲の感想や、俺達が買い物をしていたとき、皆どうしていたのか、という話に変わっていった。

 女三人よれば姦しいとはいうが、彼女たちの話題は尽きそうにない。俺とのデートをかけて、次はどんな勝負をするのか、という話をし始めたのには、流石にため息が出そうになったが、もし次あったとしても、デートの批評は俺のいない所でやって欲しい。いや、その前に付いてくるなと言うべきか。


    

 ドライフルーツをふんだんに使ったブランデーケーキのような菓子を頬張りながら、仲間たちとの会話を楽しむ。しかし、こうなると言いつけ通り屋敷で留守番しているメイが少し可哀そうな気がする。それに、ユキは何してるんだろう。


「私とのデートの最中に他の女性の話ですか? これは減点ですね」


 エリーは冗談で言っているのだろうが、この状況はもうすでにデートではないし、メイは女性型ではあるが、はたして恋愛対象の範疇に入るのだろうか。


 何を言っても藪蛇になりそうなので笑って誤魔化しておいた。


 女性陣の話はまだまだ終わりそうにない。少なくともケーキのお代わりを平らげるまでは。


 まぁ、こういうのもいいのかもしれない。エリーは楽しそうだし、夢も叶ったわけだ。二人でゆっくり話も出来たし、気晴らしにもなっただろう。俺もそれなりに楽しんだ。特にトラブルも無かったし終わってみれば上々の出来だったと思う。


 皆と楽し気に会話しているエリーを見てそんな事を考えていた。そしてもう一つ、俺ってもうこの場にいなくても良くない? 


 湧き上がってくるそんな思いを意識的に打ち消しながら、俺はただひたすらに空気を読んで相槌を打っていた。


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