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りたーにんぐ!  作者: 消しカス
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22 ゴブリン村編 エピローグ

短いです。


 わたしがその人に、……フチさんに会ったのは秋の終わりの頃。


 その頃のわたしは、もう体があんまり動かなくて、お父さんや、お母さん、里の皆は大丈夫って言うけど、たぶんこのまま死んでしまうんだろうなって思ってたの。


 ときどきシルビアさんとトアちゃんがきて治癒術をかけてくれるんだけど、そのときはお父さんが言ったの、シルビアとトア嬢ちゃんに会いにいくぞって。


 お父さんと里の大人の人達4人でゴブリンさんの村に行くことになったの。お父さんがずっとおんぶしてくれた。里の外に出たのは初めてだったから楽しかったし嬉しかった。でも自分の足で走り回ったらもっと楽しいんだろうなって、お父さんに言ったら、悲しそうな顔になっちゃたから、ごめんなさいって言ったの。


 ゴブリンさんの村について、お父さんは、シルビアさんと話をしてくるっていって、その間、ゴブリンさんのお家で待ってたの。

 トアちゃんとお話ししたいなって思ってたら、お父さんとシルビアさんが来たの。それで、私の病気は治るって言ったの。シルビアさんも同じこと言って、よかったねって言って泣いてた。ほかのドワーフの人たちも泣いてたし、お父さんはもっと泣いてた。


 動けるようになるのって聞いたら、シルビアさんが、なるよって。


 嬉しかったなぁ。


 それでね、お薬の元の薬草をトアちゃんとフチさんていう人間の人が見つけたんだって。それで、そのフチさんっていう人が、いっぱい頑張って採ってきてくれたから、薬がつくれるんだって。だから、トアちゃんとフチさんって人にお礼を言いなさいって言われたの。


 しばらくしたら、トアちゃんがきて、同じことを言ったの。

 それで、フチさんを待ってたんだけど、だんだん心配になってきたの。

 もしかしたら、夢かもしれないって思って。病気が治る夢、何回も見たから。


 でも、いままで、人間が夢に出てきたことは無いから、不安だったけど、フチさんって人に会えたら夢じゃないかもって思ったの。怖かったから寝ないで待ってようって思ったんだけど、ちょっと寝ちゃった。


 それでね、トアちゃんに起こされたの。フチがきたですって。

 想像してた人と全然違ったの。細くて、背が高くて、髭がなくて、黒い髪だった。全然強そうじゃないけど、優しそうだった。


 それでね、聞いてみたんだ、夢じゃないよね?って。そしたら、そうだね、って。


 それでね、思ったんだ。夢じゃないんだって。だって夢だったら、もっと私が言ってほしい言葉をいうはずでしょ。夢じゃないんだ、とか、君の病気は治るんだ、とか。でもフチさんが言ったのは、そうだね、の一言だけ。


 そのあと、トアちゃんに怒られてた。気が利かないって。

 わたしもちょっとそう思ったけど、でも、おかげで夢じゃないって思ったの。だからそのあとは安心して寝ちゃった。



 シルビアさんがつくった薬を飲んで、治癒術を受けたらすぐよくなったの。ぜんぜん思いどおりに動かなかった手とか足とかが動くようになったの。ためしにちょっと歩いてみたら、お父さんが泣いてた。わたしも嬉しくてちょっと泣いちゃった。


 そのあと、フチさんとミラさん、ギルバートさんとたくさんお喋りしたの。

 フチさんが、元気になったら何をしたい?って言ったから、やりたいことを言ったの。

 お父さんみたいに鍛冶屋さんになりたい。森で魔物をやっつけてみたい。トアちゃんみたいに魔法を使ってみたい。シルビアさんみたいにお薬を作りたい。人間の町に行ってお買い物してみたい。


 フチさんが、他には?他には?って言うから、いっぱい言ったの。したかったこと、出来なかったこと、してみたいこと。


 でも、わたしが、女の人は魔物と戦ったり、鍛冶仕事はしないんだよって言ったら、フチさんは、じゃあ、リジーが女の人で初めての鍛冶屋さんだねって言ったの。いっぱい勉強していっぱい練習すれば今言ったこと全部できるよって言ったの。わたし、ドキドキしちゃった。


 それでね、フチさんはなにかやりたいこと無いのってきいたの。そしたら、故郷に帰りたいっていってた。とっても遠いんだって。人間の町より、海を渡った先にある魔人族の町より遠いんだって。

 でも、そんなに遠くだと会えなくなっちゃうね。っていったら、また、そうだね、って。


 フチさんは気が利かない。トアちゃんも言っていたけど、わたしもそう思う。


 ミラさんはわたしと同じ病気の妹さんがいるんだって。じゃあ、わたしと同じで病気治るねって言ったら嬉しそうだった。それで、妹さんのこととか、ミラさんの家のこととか、町の人たちの暮らしとかいっぱいお話ししたの。フチさんの故郷のことを聞いたけどわからないっていってた。そんなに遠い所なのかなぁ。


 ギルバートさんは物知りで、色んな話を教えてくれたの。最初の頃はギルバートさんと一緒に治療を受けていたから、たくさんお喋りしたの。おとぎ話とか、帝国の歴史の話とか、ミラさんが昔お転婆だった話とか、楽しい話をたくさんしてくれたの。でもやっぱりフチさんの故郷は知らないっていってた。


 それでね、トアちゃんに聞いてみたんだ。そしたら、皆には内緒ですって言って教えてくれたの。フチさんの故郷に一緒に行く約束をしたんだって。それでらーめんっていう紐みたいな変な食べ物を食べるって。


 いいなぁって思った。らーめんっていうのはどうでもいいけど、わたしも行ってみたいなぁって。


 しばらくそんなふうに過ごしていたんだけど、ある日森に竜が現れたんだって、みんな慌ててた。

 トアちゃんが、鳥さんになる魔法を使って見に行ったら凄い竜なんだって。


 それでね、みんなで相談して竜をやっつけることになったの。フチさんがね、いっぱい作戦を考えて、森の手前に大きな穴を掘ってそこに落とすことになったの。わたしもお手伝いしたんだけど、竜がくるから、村に戻れって言われたの。子供だから危ないから帰れって。トアちゃんも子供だよっていったら、あの子は特別だって。もしかしたらもうシルビアさんより強いかもしれないって。


 いいなぁって思った。


 わたしも強かったら、フチさんと一緒にいられるのかな? トアちゃんみたいに。


 それでね、竜はやっつけたけど、フチさんが大怪我して帰ってきたの。

 トアちゃんが泣きながら治癒術をかけてた。わたしのせいですって。ずっと魔法を使ってて、シルビアさんにもうやめろって言われても使ってて、わたしは見てるしかできなくて、くやしかったなぁ。


 それでね、わたしの病気の治療も終わって、里に帰ることになったの。その前にミラさんにお願いしたんだ。


 春になったらミラさんの家に遊びに行くから。


 約束通りミラさんの妹さんに会いに行くから、それまでフチさんをミラさんの家に引きとめておいてって。


 それまでにわたし少しでも強くなる。そして、自分の気持ちを確かめておくからって。


 わたしが本当にフチさんに付いていきたいのか、ついていっていいのかって。


 ねぇ、アルティアナちゃんは何かしたいことってある?



 わたし?……わたしはね……



 


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