終わり、から始まり
やぁ、こんにちは、執筆初心者のぐーるです。至らないところも多々あると思うけど、よろしくね。誤字とか間違えてるところあったら教えてくださいマジで。
「ーーり、ーーかり、ーー光っ!」
真っ暗だった視界に、暖かい光が滲んでくる。それを理解した瞬間、その男ーー鬼道光は、1日の始まりを理解した。
「ほら、起きなさいな、そんで早く下に降りてきな」
パタパタとせわしなくカーテンや窓を開けながら母、
峰子が声をかけてくる。それに逆らう理由もないの
でーーー逆らったら飛んでくる拳が怖いこともある
ーーーのそのそとベットから這い出る。
言われた通り一階に降り、まだ少し霧がかかっている頭を目覚めさせるために洗面所に行き、冷たい水で顔を洗う。
完全に思考が覚醒した光は、朝食を食べるためにリビングへ向かった。
「おはよう」
「ああ、おはよう」
「おはよー」
「おはよう、光♪」
上から、光、峰子、父の浩一、姉の奈々美である。
朝の挨拶を終えた光は自分の席に座り、朝食を食べ始めた、ちなみに彼は朝はご飯派だ。
鬼道一家には食事中は喋らない、というルールがあるため、なんの会話もないまま、穏やかな時間が流れていく。
光が朝食を食べ終え、席を立とうーーーとした時に、既に食べ終わっていた奈々美が声をかけてきた。
「ねぇ光、今日から高校生なのよね?」
「あぁ」
「ちゃんと友達作りなさいよ〜?中学校の頃でさえ片手で数えられるくらいしか友達いなかっんでしょ?青春最後の高校生活ぐらい、エンジョイしなきゃ」
「・・・わかってる」
光は苦い顔で頷く、しかし、自分の顔が怖いことも自覚しているし、体格などでも一層第一印象が悪くなるのだから、友達が少ないのも自然だった、まぁ、他に一つ理由があるのだが。
「・・・」
「アッハッハ!」
父はもともと無口なので何も言わず、母は朝の情報番組に夢中なのでこちらの会話は聞いていないようだ。
姉以外からの追求を逃れた光は、内心ホッとしながら、登校の準備をするために階段を多少急ぎ足で逃げるように登りながら、自室へ戻った。
そしてその後は特に何も起きず、そろそろ登校しなければ遅刻しそうな時間帯になったので、家にまだいる家族、峰子と奈々美に行ってきますを告げ、玄関を開けると
「おっはよ〜!光!今日も元気かい?」
「・・・」
目の前に幼馴染ーー桃峰友妃 ーーがいた。
光は友紀の突然の登場に驚き、固まってしまった。
「ん?なんだいその顔は?今までも何回かあっただろう、玄関の前に私がいたこと、全く、少し失礼じゃないかな?」
「・・・すまない確かにこれまでも同じようなことは何回かあったが・・・やはり驚く」
「む〜、まぁいいか、光の驚いた顔なんてあんまり見れないし、これはこれで楽しいからね♪」
「・・・」
「まぁそれはいいじゃないか、じゃあ、学校に行こうか」
そう言って先を歩き出す友紀、そのマイペースな彼女性格に、いつも光は振り回されている、が、それはそれで楽しいし、一緒にいて退屈しない、何よりかなり長い付き合いだからか、自分を怖がらず、真っ直ぐ正面から見てくれるので、彼女との時間はコミュニケーションが苦手な光にも、とても楽しいものなのだ。
「それでこのあいだねえ、友達のちーちゃんがーー」
「・・・ふむ」
そうして暖かい空気のまま道を歩いていた、二人、だがーーー
「ん?」
「?」
何かが、騒音を撒き散らしながら近づいてくる、違和感を感じた二人は、その音が後方から聞こえてくるものであると分かり、後ろを向くと、一目見ただけも分かるほどのスピードを出した車が走ってきていた、当然、端に寄ろうとする二人。
しかし
「あれ?う、わぁ!」
隣を歩いていた友紀が突然体勢を崩し、倒れかけた、そう、高速で走ってくる車の進路上に。
原因は、友紀の履いているローファーだ、新品のローファーはまだ硬く、履きなれないため、足をもつれさせてしまった。
二人が通っている道は狭く、車一台と人二人が横に並び、ギリギリ並べる、と言った程度の広さしかない、
そこに倒れこんでも当然車が避ける場所もなく、そもそも車が止まりきれるかすらわからない。
光は倒れかけている友紀の腕を反射的に掴んだ、光はとても体格がいい、身長もあるし筋トレも好きなので筋肉もある、なので人一人倒れこむ時にかかる負荷など軽いものだ。しかし咄嗟に手を伸ばした時に前傾姿勢になっていたため、倒れこむ際にかかる衝撃を腕一本で、バランスを崩したまま受けた光は当然。
「・・・っ!」
「うっ!」
前へ倒れこんでしまう。わりと近くまで車が迫っていた、止まる気配もない、ここから立て直すなんて無理だ。
自分が引っ張った時にコンクリートの壁に強かに打ち付けられてしまった友紀を見る、その顔は、絶望と恐怖に染まっていて、目には涙が浮かんでいた。
死を予感したからか、死を前にしながらもどんどんと冷え込み、冷静になっていく思考、研ぎ澄まされる五感、随分と時間が経ったような気がするが、まだ車にはぶつかっていない。
その数瞬の間に、過去の思い出が脳を駆け巡る、走馬灯だ、浮かんでは消えていくそれらを見ている自分の思考は、やはりつまらないドラマを見ているかのように冷静だった。
ああ、もう車は目前だ、ほんの少し後、自分は死ぬだろう、死に対する恐怖はなぜか無い、ただただ自分が死ぬという事実のみを受け止めていた。
「光‼︎‼︎」
絶望の色に染まった友紀が自分の名前を叫んだのを最後に、全てが黒に染まり、何も見えなくなった。