屋内実験場
手野武装警備ではいかなる状況でも武装が扱えなければならない。
だが、そのためにはいかなる状況であっても稼働する信頼性の高い武装が求められる。
小笠原諸島の南に手野島という島がある。
所有は、全土が手野武装警備と登記されている。
ここでは陸海空の三次元立体演習のほか、手野武装警備の本社が置かれており、武器庫や実験場もある。
屋内実験場、屋外実験場、射爆場、航空機実弾演習場などなど。
全ての状況を再現することを目的としているため、大都市から村落までを再現できる地下設備もある。
このうち、屋内実験場は、手で持ち運びする程度の重さがある銃火器のための実験設備である。
ここでは、初期実験として、性能が設計通りであるか、また、他の銃との比較が行われる。
試験を受けた銃のうち、次の試験場へといけるのは10分の1程度とされていた。
その最終試験は、手野武装警備社長、通称武装社長による試射である。
ここまでくる時点ですでに半分に減っている。
「では次の試験です」
秘書が銃カタログを見ながら武装社長に言う。
「ほう、軽いな」
「仮称W-H20161101です」
この番号は実験のための仮番号で、2016年11月に登録された実験銃のうち、1番目ということを意味している。
「手に持ったまま、走っていく。そして、ライフルのように狙撃することを目的とされているそうです」
「ライフルか、では遠距離の的を」
「はい」
秘書にいうとあっというまに200メートル、500メートル、1000メートルの3つの的が、武装社長の前にある実験場に現れる。
「立って使うのか、それと腹ばいか」
武装社長の質問に秘書はカタログを見ながら答えた。
「腹ばいが推奨ですが、少々ブレますが立っても使えるようですね」
「では2回しよう」
言うや、立ったまま3つの的を射抜いた。
「今度は腹ばいで」
すぐさま体勢を変えると、現れた的の星を、なんのためらいもなく射抜いた。
「いいな、これ。次の実験場に回してくれ」
「承知しました」
これが屋内実験場で、月に2回行われている。