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希望の薬  作者: たなはかなかに
2/2

絶望から絶望へ

「……」

20時30分自宅の自室に到着。先ほどのことを振り返るとずしん頭が重くなったような気がした。ズボンのポケットを探ってあるものを取り出した。インチキくさいピエロからもらった白い錠剤。

これを飲んで強いイメージを思い浮かべるとそのイメージが具現化すると説明を受けたが全く意味がわからない。そんなことはありえないことでファンタジーの世界観だ。よく聞く言葉は「無から有は生み出さない」ってことだ。


「……」

バカバカしい薬だとゴミ箱の前に行き捨てようとするとピエロの言葉が甦る。


女の裸


本当にバカバカしい話だがもし本当なら試すべきか……?

薬を飲んでイメージすることで目の前に好きな女子の裸を見る事ができるのか……?


「……ぐっ!」

自分の手の甲をぎゅっとひねり痛みを走らせる。痛みを走らせる事で愚かな考えをリセットさせて反省する。手の甲が真っ赤になってしまい今度は癒す為にスリスリと擦り痛みを緩和させる。

改めて考えよう。ピエロから貰った薬はいわゆる麻薬に違いない。無料で薬を飲ませてドラック依存症に陥れて金を貪るつもりに違いない。そう考えると怒りが湧きおこり、手に力が入り、くしゃっと白い薬を握りつぶす。そしてゴミ箱に捨ててベッドに眠りについた。


「……」

またしてもピエロの言葉が甦る。


「この世に絶望してる人に配ってまーす!」


僕はベッドから起き上がり、ゴミ箱の元へ行き白い薬を拾い上げる。

考える必要性なんて無かったんだ。これこそバカバカしくて愚かな考えだな。

僕は絶望しているんだ。だからこれ以上の絶望なんて軽いもんだ。例え白い薬が危険ドラックだとしても何ともないんだ。とことん堕ちてやろう。


白い薬を一錠飲みイメージさせる。

「朝比奈さん……」


クラスメイトでとても明るい存在の朝比奈さんをイメージした。強くイメージし、細かく、正確、姿を思い浮かべた。

しかし途中で眠気が襲いかかりベッドに倒れこむように眠りについた。


「……」



翌朝、7:00

目覚めると妙な違和感を感じた。背中にのしかかる重さと温かさを感じ取った。うつ伏せの状態からちらりと後ろを確認すると、今までにない光景があった。

夜、思い浮かべた朝比奈さんの裸が目の前にある。僕の背中に寄り添っていた。

トウービーカム

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