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空牙  作者: 海鮮巻き
第一章 闇に堕ちた英雄編
7/14

標的

ソラは今馬車に揺られて移動している。何故馬車に揺られているかと言うと………


—————————————


「次の休日に北にある街、アルティスに行く。」


ハヤトが小屋に着いたソラに唐突にそう言った。


「この間の事でですか?」

「あぁ。」

「でも、俺は行かなくてもいいんじゃ………。」

「修行を兼ねて行くんだよ。」

「分かりました。」


ハヤトの言葉に納得したソラは頷きながら言った。


————————————



それから一週間後の今日、ソラとギルド“黄昏の騎士団”のメンバーは馬車に乗っている。因みに身元バレ防止に全員フード付きのコートを羽織っている。


「そろそろ着くぞ。」


ハヤトが全員に告げる。少しすると馬が「ヒヒーン」と、言う鳴き声を上げて馬車が止まった。


「よし、降りるぞ。」


全員がハヤトの言葉に頷く。そして皆が降りて、最後にソラが降りた。


———ゾクッ


全員の背中に寒気が走る。


「もう気付いたのか?」

「多分な。」


ハヤトとマイクが話している中、ソラは一つの視線を感じた。ソラはハヤトの近くに行き、耳打ちをした。


「誰か見てます。」

「みたいだな。」


ハヤトも気付いたようでソラの言葉に同意する。


「取り敢えず各自聞き込みをする。コートは脱いでもいい。着とくなら流石にフードを被ったままだと怪しまれるから被るのはやめとけ。でも、少し変装はしとけよ。」


そう言われると各自にフードを脱ぎ、変装をする。ソラはサナリスで購入していた、度が入っていない眼鏡をかける。そして、真っ先に街の人に声を掛けに行った。


「すいません、少しいいですか?」


ソラが話し掛けたのは老婆だ。老婆はソラの方に向いた。


「おやおや、お若いのー。旅人かい。」

「まぁ、そんなところです。」


老婆の言葉にソラは適当に返した。


「何かようかい?」

「はい、グラト・アーマルドと言う方を探しておりまして。どこにいらっしゃるか分かりますか?」


ソラの質問に老婆は少し怒ったようた表情で答える。


「あんなバカ息子知らん!!!」


そう言って家に入ってしまった。ソラは取り敢えず次の住民に話しを聞くべく歩き出そうとする。しかし、突然後ろからナイフを突き付けられる。


「何を探っている?」


後ろにいる男性が聞いてくる。ソラは両手を挙げながら答えた。


「何を探っているって…………。何の嘘ですかアイラルさん?」

「バレたか。」


ソラがやれやれといった雰囲気で、ソラにナイフを突き付けたアイラルに言った。


「『バレたか。』じゃないですよ。バレバレですし、声で分かります。」

「それもそうだな。」


アイラルは笑いながら答える。そして、すぐに表情を変えた。


「それよりも、奴は一体何なんだ?」

「そうですね。ずっと俺達を見張っているみたいですね。」


アイラルの言っている事が分かったソラはその人物の方を見ながら言った。その人物はすぐさま細い道へと入って行った。


暫くすると、他の四人もソラ達と合流した。


「ソラ、お前は一人で帰れ。俺達はもう少し調べるから。」

「分かりました。」


ハヤトの言うとおりにソラはアルティスを出て、サナリスに戻り学園の自分の寮へと戻った。風呂に入り明日の授業の準備をして、ベットに入り眠りについた。


翌日、ソラはいつも通り授業を受けるべく教室に向かった。教室に入るとやはり嫌な視線を浴びる。暫くすると教室の扉が開いた。入ってきたのはSクラスの女子生徒だ。


「ソラ・リアンティールはいるかしら?」


そう言って入ってきたのはクレーディア・ベーリッチだ。彼女は有名な貴族、ベーリッチ家の次期当主らしい。そのせいかは知らないが随分と人を見下す性格で有名だ。


「はい。」


ソラは直ぐに立ち上がりながら返事をした。立ち上がったソラを見て悪そうな笑みを浮かべた。


「じゃあ少し時間いいかしら?」


ソラは何があるかは分かっていた。だけど、それでもソラは無言で頷き教室を後にするクレーディアの後を追うように教室から出て行った。


—————————————


ソラは今、屋上にいる。クレーディアとその取り巻き達はソラを取り囲むように立っている。


「何故ここに連れて来られたか分かる?」


クレーディアが唐突に口を開いた。ソラには連れて来られた理由がわかっていた。いや、いつもと一緒なので分かっていて当たり前だった。


ソラは軽く頷き口を開いた。


「『学園を辞めろ。』でしょ?」

「分かっているじゃない。そうよ、あなたはこの学園に居るべきじゃ無いわ。」


理不尽すぎる。と、いつもソラは思っていたが口には出さない。


「俺は学園を去るつもりはない。」

「じゃあ、私達がこの学園にいたくないって思わせてあげるわ。」


クレーディアはニヤリと笑い周りにいた取り巻きに指示を出した。取り巻き達はソラに近付き、暴行を始める。しかし、その瞬間に屋上の扉が勢いよく開かれた。


「何をしている!」


現れたのはサクラだった。その顔は凄く起こっているようだった。


「何ですか、サクラさん?あなたには関係ないでしょ?」

「ある!ソラ・リアンティールは私の友人だ!」


その場にいた全員が驚いている。ソラは少しだが、取り巻き達は「あの落ちこぼれが友達?」などと言っている。


「行くぞ。」


サクラはソラに近付き、そう言って手をとり屋上の入口へと向かった。サクラに手を引かれながら、ソラはクレーディアの方をちらりと見る。クレーディアは何処か悔しそうな、それでもって悲しい表情を浮かべていた。その表情にソラは疑問を抱いたまま屋上から出た。




放課後、ソラはサクラの屋敷に来ていた。もともと約束していた鍛練の為だ。


「今日はありがとう、アルディーシャさん。」

「大した事はない。」

「そんな事ないよ。俺は感謝してる。ありがとう。」


ソラの素直な感謝の言葉に何故かサクラは頬を紅潮させた。そんなサクラにソラは気付かない。


二人で鍛練していると一羽の鳩が飛んで来た。


「何だ?」


飛んで来た鳩にサクラは疑問を抱いた。ソラは鳩の足元にある物を見つけて手に取りつつ、サクラに説明した。


「伝書鳩か。」

「うん。っと、内容は………」


“標的はソラ、お前だ。”その内容を見たソラは嫌な予感がした。


「誰からだ?」


サクラがソラに聞くと、ソラは笑顔を作って言った。


「う、うん。父さんからだ。」


だが、サクラはソラの異変に気が付いたみたいだった。


「嘘はよくないぞ?笑顔を作っているのがバレバレだ。」

「ご、ごめん。………今日はもう帰るよ。」


ソラは軽く謝り、帰る支度をした。サクラもそれ以上は踏み込まず、ソラと屋敷の門の所まで一緒に行き、見送った。


その夜、ソラはサナリスの近くの森、“アヴェルの森”の秘境の小屋に来ていた。


(やはりこの件が終わるまで学園には行かない方がいいな。)




side サクラ


ソラに手紙がきた翌日、サクラはいつも通り学園で授業を受けていた。演習授業を受けるため移動していたとき、Gクラスの教室を横切ったとき気になる話を耳にした。


「今日はリアンティール来なかったな。」

「あぁ、もう学園を去るんじゃないか?」

「かもな。」


男子生徒数人がハハハ、と笑いながら話していた。


(去る?そんな事はないはずだ。もしかして、昨日の手紙が何か関係あるのか?)


そんな事を思いながら演習場に向かった。


演習場に着くとサクラは後ろから声を掛けられる。振り向いたサクラの目の前にはソラを屋上に呼び出し、いじめようとしていたクレーディアだった。


「あらサクラさん、今日はお友達が来ておりませんでしたね。寂しいですか?」

「そんな事はない。それに何か用事かなにかあるのだろう。だが、何故君がそんな事を気にするのだ?」

「私はいじめの標的が休みだから暇つぶしですに聞いてみただけだわ。」

「そうか。」


サクラは呆れたように言った。


(それにしても………心配だ。)


side END



——————————————



今日は授業がある日だが、狙われているのが自分だと分かっている為行かなかった。狙われている理由は分からないが狙われているのにわざわざ他の人を巻き込むような事をしには行かない方がいいと昨日時点で決めていた事だ。


(!?…………五人、か。)


遠くから来る気配を察知して小屋から出た。そしてそこから少し移動した所で再び気配を察知する。だが、次の気配は先程の気配とは違った。先程より数が多かったのだ。


ソラは耳をすますと大人数の気配の方の会話を聞いて“まずい”と思った。ソラはすぐさま五人の気配の方へと走り出した。少しするとその集団が見えた。そして、先頭を走っていた奴の短剣とソラの刀が“キンッ!”と、交じあった。


「俺に何かよう?」


ソラは聞くが相手は口を開こうとしない。


「答えろ。何故俺を狙う。」


ソラは再び聞くが、答えない。しかしすぐに男は口を開いた。


「お前は我々の計画に必要な人材だ。いずれその時が来たら迎えにくる。」


そう言って男達は闇系魔法を使いその場から立ち去った。


side Sクラス


演習場に着いて、すぐに特別演習をすると言うことを聞かされたサクラ達Sクラスはアヴェルの森に向かった。そして今はアヴェルの森の少し奥のところを歩いていた。


「匂いがする。六人だ。こっちに向かってくるぞ。」


唐突にそう呟いたのはバイハント・フォルダングと言う生徒だ。友人たちからはバインと呼ばれている。バインは獣人族で鼻がよくきくという。


「あ?一人が来た道を戻ろうとしているな。戦ってるみたいだ。」

「ほっとけバイン。面倒ごとに巻き込まれるだろ。」


バインが解説していたがフォーマットが一言言うとバインはそれ以上は言わなかった。


side END



——————————————



(逃げたか。あっ、師匠に連絡しないと。)


ソラは手紙を書くために小屋へと戻った。書き終わると鳩に手紙を巻きつけ、飛ばした。


「取り敢えずサナリスに戻るか。」


と、ソラは呟き小屋を出た。サナリスに向かっている途中、聞き覚えのある声が聞こえた。


「珍しいな、君が私を誘うとは。」

「聞きたいことがあったのです。」

「ほう、なんだ?」


ソラは声の主は分かった。サクラとクレーディアだ。ソラは聞かない方がいいと思い、少し離れることにした。その直後、物凄い音が森に響いた。辺りを見回すと一つの影があった。それはかつて英雄と呼ばれていた男、グラト・アーマルドだった。グラトはソラをみて言った。


「勝負だ、ソラ・リアンティール。」


ソラは刀の柄に手を持っていき、抜刀の構えをした。グラトも大剣を構える。そして、二人が同時に前に踏み込み互いの刃が交わった。

少し遅くなりましたかな?新キャラも登場しました!これからどうなることやら………

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