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空牙  作者: 海鮮巻き
第一章 闇に堕ちた英雄編
11/14

戦いは終わる。

「ここはどこだ?」



ソラは目を開けると、周りが真っ白い空間にいた。



『よう、ソラ。』



背後から呼ばれたソラは振り向く。そこには髪が白い男が立っていた。



『改めて自己紹介する。俺は空牙って言うんだ。現実世界で言ったよな?』

「あぁ、聞いたよ。で、ここはどこ?」

『ここは、お前の夢の世界だよ。お前の心の中。』



ソラは少しずつ空牙の言っている事を理解していく。



「俺の心の中って事は分かった。じゃあなんで俺はここに?」

『あぁ、グラトって奴と戦ったあと、変な男が来たのは覚えているか?』

「憶えてる。」



小さく頷きながら頷くソラ。空牙は言葉を続ける。



『そんときに俺の力を解放しすぎてな。暴走しちまったんだ。』

「え!?」

『けど、安心しろ。誰も傷付いてないから。』



空牙はソラが心配していたことを一瞬で無くした。

空牙はソラの心の中にいる。つまり一心同体と言うわけだ。だから空牙はソラの心配していたことが分かった。



「よかった。」



ソラはホッとした。直ぐに、ハッとし空牙に聞いた。



「ところでここからどうやって出ればいいの?」

『明日の朝になれば普通に目が覚める。だからそれまで夢の世界を堪能してろ。』

「分かった。」

『んじゃ、俺はそろそろ寝るからな。あ、そうそうあんまり俺の力使うなよ。今のお前じゃ今日みたいなことになるかもしんねぇからな。』

「う、うん。」



空牙はそう言い残し姿を消した。その後すぐにソラは光に包まれ、ある場所に立っていた。周りには幼い、小学生ぐらいの子供が大勢いた。ソラは自身の異変にすぐに気付いた。身体をよく見ると幼くなっていた。



(これは、昔の俺?)



そう、小学生時代のソラだった。周りには数名の男女。幼いソラに暴言を吐きながら、殴る蹴るの暴行を加える。ソラは何も言えずになすがままにされていた。夢の世界なので痛くはないが、精神的ダメージがどんどんと減っていく。そんなソラは一人の女の子と目が合った。



(彼女は………。)



ソラは自分の表情が変化しているのが分かるくらいに歪んでいた。心の中で複雑な気持ちになっていた。すると、再び光が現れ、ソラを包んだ。


次に見えた場所はソラがよく見知っている場所だった。サンディアス学園。今、ソラが通っている学園だ。そして、今いるのは学園の庭園だ。この庭園はそこそこ広く、多くの生徒が利用している。そこにソラはいる。そしてもう一人、ソラの前に一人の女子生徒が立っていた。その女子生徒は軽蔑したような目でソラを見ている。その女子生徒の名前はミカ・フレディア。ミカはソラの中学校からの友達である。そして、ソラの鍛練相手の一人であった。実はと言うと、二人は両想いだった。しかしそういうことには鈍感な上に勇気が無かった二人はお互いの想いを告げることが出来ないでいた。するとミカが唐突に口を開いた。



「あんたは私達の期待を裏切った。もう、あんたとは鍛錬もしないし、友達でもないから。」



ソラがこのセリフを聞いたのは二回だ。一番信頼していた友達からも見放されたソラは人間不信に陥った。今ではだいぶましになった。


ソラは裏切られたと思い、そのまま立ち尽くしていた。何故、そんな事を言ったのかと理由を聞けずにいた。今でもその真相が分かっていない。

ミカはソラに背を向けて、立ち去った。そして、再び光が現れてソラを包んだ。




—————————


———ガバッ!!



と、起き上がったソラは汗をかきながら「ハァハァ」と、息を切らしていた。拭く物を取ろうと立ち上がろうとした時、異変に気付いた。よく見るとサクラがソラの寝ているベッドに上半身を乗せ膝を正座のように曲げて寝ていた。



「え?あ、ちょっと………あのー………。」



気まずそうにするソラだった。するとサクラが目を覚ました。



「「あっ。」」



二人の驚きの声が重なる。そして、沈黙が暫く続き………



「ふぁ///」

「ふぁ?」



サクラは顔を赤くしながら腑抜けた声をあげる。ソラはサクラの腑抜けた声を復唱するかのように言った。そして次の瞬間…………



「ふぁぁぁぁぁ//////!!!」



サクラは腑抜けた声のまま悲鳴を上げた。その悲鳴を聞いたのか、三つの足音がソラの部屋へと近付いてくる。



———バンッ!



勢い良く扉は開かれる。



「何、今の悲鳴!?」

「大丈夫か!?」

「どうしたんだい?」



入って来たのは、クレーディアとグラトとサディスだ。

その後、ソラは大変だった。三人にはサクラに何かしたのかと疑われ、その誤解を解くために必死に弁解した。何分かすると三人は納得した。


気絶していたサクラが目を覚ますと、顔を真っ赤にしながら



「さ、さっきのは、す、少し横になってたら、いいいいつの間にか、ね、眠ってしまったんだ!!!!」



と、必死に言っていた。


グラトとサディスは少し散歩してくると言い部屋から出て行った。ソラの部屋にいるのは三人だ。まず、始めに口を開いたのはクレーディアだった。



「そ、その。ごめんなさい。あなたの事、今まで虐めてきて。」



と、言いながらソラに頭を下げるクレーディア。ソラは、



「あ、頭上げて。別に大丈夫だよ。」



と、言った。そして、クレーディアは頭を上げ、言った。



「じ、実はあなたを虐めてきたのは理由があって。でも、それが虐めをしていい理由になんてならないのは分かってる。けど、もうやめる。」

「理由?」

「ええ。入学式の日のこと覚えてる?」

「入学式?あぁ、そういえば。」



ソラは以前クレーディアと話しをしたことがあった。入学式の日、クレーディアはどうすればいいのか困っていたとき、ソラに声をかけられて助けられていた。その時、自分がベーリッチ家の次期当主だという事を話したが、ソラはクレーディアに媚を売るような真似はしなかった。普通の男子だったら媚を売るために近付いたりするのだが、ソラは違うかった。この後はソラには言っていないが、この時クレーディアはソラに恋をした。しかしそのあとでソラは魔力がゼロの落ちこぼれという事を聞いて、それが信じられなくて虐めを始めることになってしまった。こんな事はソラには絶対に言えないクレーディアだった。



「あの時、私はあなたに助けられましたわ。そして、昨日も。」



クレーディアの顔は今にも泣きそうになっていた。



「べ、ベーリッチさん!?」

「ひ、ひっく…………。」



ついに我慢しきれずに涙をこぼしてしまう。ソラは近くにあったハンカチをクレーディアに手渡す。



「ベーリッチさん、これ使って。」

「ありがとう。ごめんなさい。」



泣きながらソラにそう言った。


クレーディアが落ち着いたところでソラが口を開く。



「おさまったみたいだね。ベーリッチさん。」

「名前…………」

「え?」

「名前で呼んで。」



いきなりの事にソラは焦る。



「わ、分かった。クレーディアさん。」

「さんもいらない。」

「ふぇ?」

「さん付けしなくていい。」

「わ、分かった。クレーディア。」

「うーん……。」



ソラがクレーディアの名前を言った後、クレーディアは少し考えるようにして、そのあとソラに言った。



「やっぱり愛称………。」

「「あ、愛称!?」」



クレーディアの言葉にサクラも驚く。



「考えて。」



さっきと比べてすっかりおとなしくなったクレーディアソラに考えてと要望した。



「俺が?」



ソラがそう聞くとクレーディアは無言で頷く。



「う、うーん。クレーディア………。あ!クレア!クレアはどう!?」

「うむ、クレアか。確かにいい愛称だな。」

「………ありがと///」



クレアは照れながらお礼を言った。



「クレア。うん、ソラありがと!」

「ソ、ソラ!?」

「うん!いいでしょ?」

「ま、まぁいいけど………。」



突然明るくなったクレアはソラがつけた愛称を凄く気に入ったようだ。



「わ、私も名前で呼んでくれないか?」



するのサクラも名前で呼ぶようにソラに言った。



「分かったよ。サクラ。」



サクラと言われた瞬間、サクラは満面の笑みを浮かべる。

その後も色々な話しをしている時に二人が帰ってきた。



「お、昨日よりも仲良くなってる?」

「青春してるな!」



二人が見た光景は、何故かクレアがソラの左腕に腕を絡ませている光景だった。



「「「あっ!」」」



クレアは慌ててソラから離れる。そんな光景を二人は笑ってみていた。








「そろそろサナリスに戻ろうとしよう。」



しばらくしてサクラがそう言った。ソラとクレアはサクラの言葉に同意し、荷物をまとめ始めた。



「お二人はこれからどうするんですか?」



ソラがそう聞くとグラトは「街の人に謝って回る」と言った。そして、五人は宿を出てソラ達はグラトが手配した馬車に乗り二人と別れた。別れる際にグラトはこんな言葉をソラに残した。



「この恩はいずれ返す。元気でな。」



と。


そして、ソラ達を乗せた馬車はサナリスに向かい始めた。こうして、ソラ達はアルティスを後にした。





——————————————



ソラと戦った男と長髪の男は時計台の上でソラ達を乗せた馬車を見ながら話していた。



「覚醒、しましたか。」

「あぁ。とりあえず俺たちの計画は一歩進んだ。」

「えぇ、しかし何故こんなやり方を?」



長髪の男はずっと疑問に思っていたことを男に聞いてみた。



「こうするしかないんだ。もう時間がない。」



男は小さい声でそう答えた。







闇に堕ちた英雄編 完結!

結構無理矢理過ぎた気がする(T ^ T)

てか、俺下手かもな!w

5000PV(アクセス)、1000ユニーク|(人)突破!!!

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