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人と魔族と獣人と竜と・後

「へぇ……」

ひらけた場所に出た。

広場の中心に斜めに立った大樹があり、枝の上にいくつも家が建っている。

どうやら獣人達はこの大樹を一つの村として生活しているようだ。

獣人がどう生活しているのか全く知らなかったから、一種の感動を感じた。目移りばっかりしてしまう。

「今から長の所へ行く。失礼のないようにな。」

大樹を上に、上に登っていく。

幹の一番上らへんに大穴があった。僕達は男の先導でそこに入っていった。

「長、竜について知る人間達を連れてきました。」


「そうか……入れ。」

穴の中のドアの前で、男は頭を下げカーテンらしき布をめくり、中に入っていく。

「よく来なさった、客人よ。」

キツネの顔をした、初老の男が正座をしてそこに座っていた。

小柄の割には体付きが良く、長いあご髭が特徴的だった。

「まあ、そこに座るがいい。」

僕とシオンは彼と同じように正座で座った。虎の男は立ったままだった。

「して、お主等の名前は?」

長が聞く。だが、シオンは不敵な笑みを浮かべてこう返した。

「人に名前を聞く時は先ず自分から、ってどっかで誰かがよく言わなかったか?アンタ達から名前を言えよ。」


「貴様っ……!!」

虎の男がシオンに殴りかかろうとする。

「つっても俺はそんなの別に気にはしないからな。俺の名はシオン。こいつはリアだ。アンタ達は?」


「ほう…、中々面白い青年だな。だが、少々礼儀知らずな所がある。気を付けなされよ。」


「気分を害したのなら謝ります。すいません。」

僕は焦り、長に頭を下げた。シオンにも頭を下げさせたが。

「ハッハッハッ。別に良い。私はオロド。彼はガロンじゃ。」

ガロンという名の虎の男は腕を組んでそっぽをむいていた。

「シオン……。」


「ん?」

僕はシオンに小さい声で聞いた。

「竜の事について知っているって言っていたけど、本当?」

その事が、かなり不安だった。

「……いや。」

不安的中。

「ど〜にかなるだろ。心配すんなって!」

心配になるに決まっているだろう。全く。

「さて、竜について詳しく聞いてもいいだろうか?」

オロドがかなりBADなタイミングで僕達に聞いた。

「あ、ああ。この森で俺の仲間が竜に襲われたんだ。それでその仲間の内一人が……」

そこでシオンが大きな声をあげた。

「そうだっ!キセラ!あの集落跡にいたはずの女性を知らないかっ!?」


「ああ、ガロンが見つけたあの人間の女か。彼女ならガロンの家で休んでいる。怪我をしていたが命には別状はないだろう。」


「そう…か。」

シオンは心底安心した様子だった。その顔を見て、なんだか僕もホッとした。

「……っと、話がそれてしまったな。竜の話だったっけ。」

シオンが黙り込んだ。……さて、どうやってシオンは誤魔化すんだろう?

「リア、お前何か知ってる?」


「は……!?」

僕に振るか、コノバカシオン。

後で何かねだってやる。ふぅ、と一息ついた。やれやれ、面倒だな。

「詳しくは知りませんが……、人間の間での竜についての伝承ならあります。」


「ふむ、興味深いな。我ら獣人は人間とは関わりを持たないから、そういう情報は嬉しいものだ。教えてもらおう。」


「わかりました。では……」

僕は一つ、深呼吸をして話し始めた。

「一般的に知られているのは、竜は竜族とも呼ばれている事。誇り高く、人よりも何倍、何十倍をも上回る力と知識を持つ存在だという事。そして数十年前に絶滅したと言われている事ぐらいです。」

「……やはり人と獣人とは伝えられている事に少し違いがあるようだな。」

オロドはゆっくりと口を開いた。

「先ず、竜は滅んではいない。確かに数は減ったものの、秘境や未開の地にはまだ沢山の竜がいる。だが、その力も薄れているだろう。神に限りなく近い力を持つという、竜の力が。」


「神、か……。まんざら冗談でもねぇんだろうなぁ……。」


「勘違いはしないことだ。竜は我ら獣人に近い存在。それだけでなくお前たち人や、魔族にも同じ事が言える。」


「つまりは、この世界の主四種族、人間・魔族・獣人・竜は似ている、と?」


「しかし、異なる存在だ。少なくとも、我らとお前達はな。」


「確かにな。そうじゃなけりゃ、俺達は共存できるハズだからな。」


「フン。見た目の割にまともな事を言うんだな、お前は。」

シオンに突っ掛かるガロン。

「ンだと?」

挑発にのるシオン。

「こら、シオン。喧嘩なら後でやる。今は話の途中だよ。」


「ならお前がやっといてくれよ。もともと俺達はキセラを探しに来たんだろ?」


「全く……。わかったよ。ならシオンはキセラさんの所に行きなよ!!」


「お、怒ることはねぇだろ、怒ることは。」

つい感情的になって叫んでしまった。

僕らしくない。でもシオンが悪いんだ。僕は悪くない。うんうん。

「はぁ〜、わかったよ。俺はキセラの所に行く。話が終わったらお前も来いよ。」

シオンはガロンと一緒に部屋を出ていった。

「さて……話を戻そう。」


「はい……すいません。シオン、ちょっと沸点が低いもので……」


「こちらこそすまぬ。今のはガロンが悪い。後で謝らせよう。にしても、お主はまるであの青年の保護者の様だな。年歳の割に落ち着いていて、大人びている。」


「そんな事ありませんよ。一時の感情で動いてしまう事だって何度もありましたし……」

(そして、沢山の人を殺してしまった事だってある……)それが、僕の消えない罪に共通する事。忌まわしい過去と共にあるモノ。

「……どうやら言ってはならん事だったようだな。すまない。」


「いいえ。それより竜についての話を。」

僕は姿勢を正し、オロドを真っすぐ見据えた。



「いい目だ。お主の様な人間は嫌いではない。」




オロドが語る。



「と言っても我らの間に伝えられている伝承は、もうほとんど言ってしまったがな。後は、この森の太古の名が竜と関係があるといったところか。」





「この森が、竜と関係がある……?」





「ああ。この森の太古の名は"ドラゴンズ・パス(Dragons・Path)"。別名、"竜に続く道"と言われていたそうだ。」

「"ドラゴンズ・パス"、か……」



不思議な響きだった。


「名前には言霊というモノがある。名は体を表す、と言うだろう?その名のとおり昔、竜はこの森にいた。」



「そして絶滅したと言われる竜が復活、もしくは隠れていたか、ただ単に見つからなかったのが今になって発見された。それがオロドじ〜ちゃんの今の悩み事♪」



背後から声がした。

僕は腰の剣を抜き放ち、立ち上がって声の主の首元に突き付ける。


「わ、わわっ!?」



それは少女だった。僕と同じくらいの歳みたいで目の高さが同じだった。


「うぅ〜、怖いから止めてよぉ〜。」



彼女の目には一粒涙が溜まっていた。


「リア殿、そのぐらいにしてやってほしい。ティアも、脅かすような真似をするから。」



「はい……ごめんなさい……」



「いや、こちらこそごめんね……」



彼女が悲しそうな顔をしたのを見ると、少し自己嫌悪。すると彼女は急に微笑んだ。


「君っていい人間なんだね。君なら、お友達になれそうだな。」



「確かに、彼は他の人間とは何か違う雰囲気がある。親しみやすいというか、何というか……」



「実は、人間じゃなかったりして。」



――ドクンッ。


「……どうしたの?」



「いや、ちょっとね……」



動揺、した。彼女の冗談混じりのその言葉に。


(人間じゃない、か。ハハッ。何でこんなにも動揺しているんだろ……?)


もしかしたら、本当に僕は人じゃないのかもしれない。

そう思った事もある。実際、今も少しそう思っている。でも……


(それなら、今ここに人間として存在している僕はどうなるんだ!?)


「少し、外に出てきます……。少ししたら、戻ってきます……。」



そう言い残し、頭を右手で抱えながら僕は外へと出た。

幹の壁にもたれかかり、そして大きく息を吸い込み、吐き出す。空気が綺麗だと思った。


多少、目の前の景色が霞んでいた。

せっかく綺麗で雄大な景色なのに。

もったいない。なんか頭だけでなく目も熱く感じた。


「……ふぅ。」



落ち着いてきた。

多分、もう大丈夫。

スッキリはしないけど、我慢ぐらいはしよう。二人を待たせちゃいけないし。


部屋の中に入ろうと、幹に空いた穴に入っていこうとした時だった。


バキバキッ、という木々が倒れていく大きな音が聞こえた。

僕は振り返り、周りの森々を見渡す。


「あれは……!?」



先程までの話に出てきていた話題である竜が、その向く先にいた。

日本一ソフトウェア、万歳!永遠のアセリアが4月28(のハズ)発売です!無条件で買い〜!つっても日本一ソフトウェアの作品は携帯のアプリのマール体験版しかやったことありませんが。だからアセリアが初日本一(どーいう言葉だ)になる予定ですね。ゲームのシナリオライターって格好イイと思うのは俺だけでしょうか?最近のロープレとかはグラフィックなどに力入れすぎて、なんかストーリーが微妙なのが増えてきたような……。リバースはどうなんだろ?借りるの待ちだからなぁ……。シンフォニアはキャラがよかった。特にプレセアとゼロス君が。うん

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