表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/13

"英雄王"の面影

とりあえずパンをいっぱいもらい、宿に戻ろうと思ったが、その前に闘技場の様子でも見ていこうと寄っていこうと中に入っていった時だった。

――ワァァァァァッ!!響き渡るかのように、観客たちの歓声が起きた。

僕は闘い合っている二人を見た。

(――え!?)似ていた。

(ジーク……!?)風貌は荒々しく、ジークとは全く違うが、顔つきやその雰囲気はまるでジークそのもののように思えた。

「あのっ!今闘っている…あの大きな剣を持った剣士の名前、わかりますか!?」

僕は近くにいた人に聞いた。慌てていたみたいで多少早口になってしまった。

「ああ、アイツか。アイツの名はシオン。セカンドネームは無いみたいだよ。」

シオン――。

その名前が僕の心に響いた。

僕は何故か確信していた。

彼はジーク……もし違っていても関係がある、と。

――オォォォォッ!!今度は咆こうのような声がコロシアムに響き渡る。

シオンという名の剣士から発せられていた。

力の差は圧倒的だった。

相手の太刀を全て受け流し、シオンは相手の鎧ごと体を砕いた。

その一撃で闘いは終わった。

シオンはまだ物足りなさそうに一、二度空を切ったがすぐに剣を背に抱えた鞘に納め、控え室へと続く通路へ向かっていった僕はその彼の姿を追った。

ロビーに戻り、そこから控え室に続く廊下で。彼はいた。

「シオンッ!」

一度も言ったことのない名前を呼ぶのは抵抗があった。

胸が、緊張で高鳴っていた。

初めて会う相手に呼び捨てで声をかけたのを後悔してもいた。

「誰だ、テメェ?」

振り返ったシオンのその鋭い眼光を放つ緑の瞳に僕は一瞬、背筋が凍るような感じがした。

「僕はリア。君に少し聞きたい事があるんだ。」


「ヘェ…。それで?お前みたいな子供が俺に何の用だ?」

シオンは何故か楽しそうにしていた。

言葉遣いも少し、ほんの少しだが柔らかくなった気がする。僕は、彼に問うた。

「君は……ジークなのか?」


「……かの"英雄王"サマの名前か。他人の空似だな。俺はアイツによく似ているって言われるが全然違ぇ存在だ。」


「でも……」

そう言った瞬間、顔に風が当たるのを感じた。彼の大きな剣が目の前にあった。

「でももクソもねぇよ。俺の名はシオン。ただそれだけの存在だ。」

シオンは剣を持ったまま僕の横を通り過ぎようとしたが、誰かが彼を呼び止めた。彼は振り返る

「ナズナ……それにハギか。」


「シオン、そんな小さな子にそんな態度はないんじゃない?」


「久しぶりに貴女と考えが同じだ。」

確か彼女らは今日会った……そういや名前聞かなかった。

えーと、彼女がナズナで彼がハギかな……?

「それに私は薺[なずな]。ちょっとイントネーションが違うよ。萩[はぎ]もね。」


「そんな事どーでもいいンだよ。なんの用だ、ナズナ?」

僕にはシオンが少し機嫌が悪そうに見えた。

というか、昔の恋人に会ったような、そんな感じだった。

「んっとね、どっちかというとリア君に用があるんだけど……」

彼女の視線がこちらに向けられた。

「ねぇ?リア君。前の時に名前言い忘れてたね。私の名前は薺[なずな]。そしてこっちが私の式神の萩[はぎ]。」

はぁ、と曖昧な返事をする自分。……ん?式神?

「あの…、式神って……?」


「あ、こっちじゃ聞かない言葉だよね。式神っていうのは、私がいた国特有の"術"っていうので生み出される存在のコト。幽霊みたいなものもあれば萩みたいに人みたいな身体をもったのもいるよ。」

薺さんは親切に教えてくれた。

初めて会った時は変わった人だと思っていたがいい人そうだ。

「……用はそれだけですか?」


「まっさか。もう一個。明日、私と闘ってよ。君さえよければ、だけどね。」

彼女は前に聞いた時のような笑顔で僕に聞いてきた。

明日、僕には用事はない。答えはひとつだった。

「わかりました、明日ですね。僕が手続きしておきます。」


「ありがとう。お願いね、リア君。」


「あと、"君"付けはやめて下さい。あまり"君"付けで呼ばれるの、慣れていませんから。」


「了〜解。じゃあ、私のことも薺って呼んで?片方が呼び捨てなんてフェアじゃないでしょ?」


「そうですね。……それじゃあ薺、また明日に。」


「また明日ね、リア。」

薺と(さん)はロビーへと向かっていき、外に出ていった。

ここに残るのは僕と、シオンだけだった。

「オイ。」

シオンがぶっきらぼうに僕を呼んだ。

「お前はジーク・フリードの事を探してるみてぇだな?」

シオンの問いに、僕は答える。



「ああ。」





「諦めろ。」





「何っ……!」





「アイツの事を追い掛ければ、必ずお前は後悔するだろうよ……」




シオンは背を向けて歩いていった。

その背中は、どことなくジークに似ていた。

これを読んでくれた人たちにお願いがあります。アドバイスや評価などをしてほしいです。この作品をもっともっとレベルアップさせたいので、そうしてもらえると嬉しいです。なんかさっきからデスマス口調です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ