ALTER
(目覚めろ……)声に応えるかのように、僕は目を開けた。
そこはいつか見た、暗闇の空間。光の無い、宇宙の果ての様な場所。
「確か、僕は胸を突き刺されて……。そうか……これが死んだ後の光景か……。案外、僕は先に見ていたんだな。」
「死んだ訳では無い。」
僕と同じ声。
しかし何か威厳に満ちた声が聞こえた。
声のした方を向く。暗闇から、人の姿が現われる。
「仮死に近い状況と言えようか。この体に眠る力によって、死にはまだ死に至ってはいない。」
「僕と同じ姿……!?」
ここまでくると、悪い冗談だ。
だが、不思議と怒りの感情はこない。むしろ清々しさがある。
「今度は否定しないのだな。まあ、今まではかなり歪んだ接し方をしていたからな。」
「おかげで僕はずいぶん苦しんだよ。」
皮肉さえも言える余裕さえあった。
「そうか……。ごめんね。」
急に話し方が変わった。あの威厳に満ちたモノではなく、僕と同じモノに。
「でも君には受け入れてもらわなきゃならない。僕を……<アルター>としての力を。」
「<アルター>……?」
「人を越えた存在。その力は、神にも悪魔にも劣らないと言われているよ。そして歴史から抹消された、禁じられた存在だともね。」
淡々と話続ける、もう一人の自分。
「受け入れてくれないか?僕を。<アルター>を。」
「……イヤだ。」
僕は否定した。
「何故?」
「当然だろ?恐いんだよ!あの姿になるのが!化け物になるのが!<アルター>だって?僕はそんなのじゃない!僕は人間だ!!」
胸に溜まっているものを吐き出すように、叫ぶように、僕は大声でそう言った。
「そう……だよね。」
目の前の僕が、僕を抱き締めた。
暖かさと冷たさを合わせたような、不思議な感覚が僕を包んだ。
「そう思うのも当然だ。けどね、これだけはわかって欲しい。僕は君だ。受け入れたくないのなら、せめて触れて欲しい。今みたいに。」
「……勘違いしないでくれ。僕は君を認めない。」
「……」
「だけど君を受け入れようとしなきゃ、何も始まらないみたいだ。」
「リア……!?」
「だから……力を貸してくれ、<アルター>。君の事をよく知る為に、今は君を受け入れる。」
もう一つの自分の体を抱き返す。ちょうど、抱き合った様な状態になる。
「わかった、リア。じゃあ戻ろうか、君の世界に。今度は君を恐がらせたりしないからね。」
僕達の体が光に包まれる。
優しい光だった。そこから消えてゆく僕達。――そして僕は目を覚ました。
リアの精神世界でのお話です。わかるとは思いますが、一応念のため。ここでリアの秘密が出ましたね〜。話が飛んでますね〜。ごめんなさいですぬ〜。ですぬ〜ってなんじゃい!?……はい、変なテンションの俺でした