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かってない闘い

僕は走った。

あの竜の下へ。

理由はない。ただ、思ったから動いた。竜を目の前で見ろ。感覚のレベルだった。

「ハァ、ハァ。」

地響きする地面を踏みしめ走る。

走る。遠くの小さかった竜の姿がどんどん大きくなっていくにつれ、地響きも大きくなっていく。

「ハァ、ハァ。」

竜はどうやら獣人達の村へ向かっているらしい。

そこに続く、広い広場で僕と竜は対峙した。

「これが……竜……!?」

圧巻、だった。

自分が豆粒にも思える程の大きな巨体。

自分に恐怖を抱かさせる様な出で立ちと、その赤い眼光。

「グオオォォォァッッ!!」

そして、空気が震える程の咆こう。

(――来るっ!)剣を構える。

ジークから教えてもらった構え。

自分よりも強い相手に対しての、静の構え。

(あれだけデカいんだ。

動きのモーションもデカいはず……!?)思考が止まる。

気付けば体が吹っ飛んでいた。

木に体を打ち付けた。大きな衝撃が今になって感じられた。

「カ…ハッ……!!」

尾によって吹き飛ばされたらしい。

疾すぎて、目に見えなかった。

(何本かイッたか……!?クソッ……!!)体の状態を確かめる。

動ける。闘える!決意を新たに、ふらつきながらも立ち上がった時、何処かから声が聞こえた。

「人間っ!退け!!」

僕の方に駆けてくる影があった。いや、正しくは竜に向かって。

「オオォォォッッ!!」

その影は、オオカミだった。竜に飛び付き、あの硬そうな体に噛み付いた。

「グゥゥゥゥッ!?」

竜は苦悶の表情を浮かべ、暴れ回った。オオカミは地に降り立ち僕の方へ来た。

「何をしている!?早く退けっ!!」


「オオカミが……喋った!?」


「そんな事はどうでもいい!退かなければ死ぬぞ!それでもいいのかっ!?」


「……死なないさ。」

オオカミに、僕はそう言い放った。

自分でも何故こんなことを言ったのかわからない。

「僕は……負けない。」

僕の本能が、そう言っていたからなのかもしれない。

「そうか……なら手を貸せ。我はコイツを止めねばならん。今は少しでも手勢が欲しい。」

オオカミはキッと竜を見た。睨むかのように。

「……君の名前は?」


「何故、名を聞く?このような状況で?」


「戦いを共にする相手の名前ぐらい、知っておくのは礼儀だとある人から言われたものでね。」


「フン。我が唯一、心を許した人間も同じ事を言っていたな。我が名はフォルテ。汝が名は?」


「僕の名前はリア。リア・ハルスレット。……ただの人間の剣士だ。」


「……っ!フッ。行くぞ!汝の命の保障はせぬからなっ!!」

僕達は竜に向かっていった。

フォルテは右に。僕は左に。それぞれ左右から攻めかかる。

「リア!背中に寄生している甲殻虫を狙え!あれが全ての元凶だ!!」


「あ、ああ……。でも何でそんな事を……」


「それは後で言う!今はコイツを……ヴェズインを助けるんだ!!」

フォルテが叫ぶ。

ヴェズイン、それがこの竜の名前らしい。

僕はヴェズインの背後にまわった。

フォルテの言った通り、ヴェズインの背には何か虫のようなモノが取りついていた。

「キチ、キチチッ……」

その虫は嘲笑っているみたいだった。……見ているだけでムカついてくる。

「ハァッ!」

虫を突き刺すために剣を振り上げる。

「右だっ、リア!」

尾が横薙ぎに向かってくる。とっさに剣を下げ、その尾撃を防ぐ。

「くぅっ!!」

やはり力の差がありすぎる。軽く仰け反る。そして尾の追撃が僕を襲う。

「バカがっ!クッ……!」

フォルテが僕を助けるために、尾に噛み付く。

「ガァァァァッ!!」

フォルテの助けによってなんとか切り抜けられたが、今度はフォルテが危ない。

尾に噛み付いたまま振り回されている。

「フォルテ!」


「いいから汝はその虫を倒す事にだけ集中しろ!今からスキを作る!」

フォルテは地に降り立ち、なにやら呪文のようなものを唱えた。

「エル、オル、レイゼ、グランディス。」

フォルテが何やら呪文のような言葉を連ねる。すると地面が隆起した。

「ゲイン、オルガ!!」

大地が触手のように伸び、ヴェズインの体の自由を奪う。

「今のは……魔術!?そうか……!」

これで何故彼が言葉を喋る事ができるのかわかった気がする。



……彼は魔族だ。

しかも、とびきり能力の高い上級の者だ。



「今だ、リア!」





「うん!」




僕は再び、あの虫に向けて剣を突き付けようとした。



今度こそ、のハズだった。



「キキキキキッ。」




虫が奇声を発し、その緑色に妖しく光る目を開いた。



その虫の脚が伸び、僕の胸を鎧ごと貫く。



「えっ――」




目の前には嘲笑う虫がいた。

頭の中がどんどん真っ白になっていく。

死に近づいている。

それがわかる。景色が、音が、感覚が。全てが無くなっていく――

キャー!リアがぁー!……はい、久々の更新?です。ここで切る予定ではなかとでした。さすがに課題がしんどいです。冬休みが嫌いになりそうです。んじゃま、残り半分を越えたグラディエイターをよろしくぅ!

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