それでもオレはめげないぜ! その2
「これで大丈夫だと思います。」
そうオレに笑いかける少女は加藤香澄と名乗った。
彼女はオレの手の包帯を巻き終えた後、「ちょっと待っててくださいね。」と席を立った。
一体全体、なぜこうなったのだろう?
確か、手を噛まれてのたうちまわっていたオレに彼女が真っ青な顔で謝って・・・
そうだ。怪我をさせたお詫びにとか言って、家まで連れてきてくれたんだっけ。
そんでもって今に至る。
今オレがいる部屋は、自分の家とは比べようがないほどきれいに整頓された客間だった。
そして、なぜかオレの傍でジョセフィーヌがうなり声を鳴らしながら、オレを睨みつけている。
何故だ!オレ達はあんなに愛し合っていたではないか。なのに、なぜそんな怖い顔でオレを睨む?
「あの・・・紅茶をいれたんですけれど、どうですか?」
すると、どうだろう!なぜか我が愛しのジョセフィーヌが甘えた声で鳴き、加藤香澄の足にすり寄っていくではないか!!
加藤香澄はジョセフィーヌに微笑みかけた。
「ちょっと待ってて。今、これを置くから。」
そう言うとオレの前に紅茶を置き、オレの真正面に座る。
すると、なんてことだろう!あろうことか、ジョセフィーヌはオレではなく、あの女の膝の上に乗ると、小さい子供のように(実際に産まれてまだ1年にも満たないのだが)彼女に甘えているではないか!!
何故だ!何故、オレよりもあの女を選ぶ!
「認めない!」
「はい?」
突然のオレの叫びに彼女が目を丸くする。
相変わらず、ジョセフィーヌはあの女に甘えている。うお!彼女の頬を舐め始めたではないか!なんてうらやましい・・・・くそ!!
「認めんぞ―――――――――――!!」
叫ぶと、まだ熱い紅茶を口の中に詰め込み、オレは彼女の家を飛び出した。
くそ!口の中が熱いぜ!
やけどしたかも・・・・
ヘタレ主人公の一日がようやく終わりました。
さてさて、次回はどうなる事やら。