やっぱり『あいつ』はバカだった
「ああ、そろそろあいつが来るころだな。」
「あいつ?」
女神がボクを引き取りに来た日、ペットショップの店長(名前は忘れた)がにやりと笑った。
「良かったな。これから面白いもんが見れるぞ。」
女神が不思議そうな顔で首を傾げた時、
「おじさん!ジョセフィーヌを買いに来たぜ!」
げ!また来た。って、買いにって何を?買いにって。
は!ま、まさか、女神じゃなくて、あの変態の所に売られるんじゃないよね?
ボクは潤んだ瞳で女神を見つめる。でも、女神の瞳はボクではなく、あの変態を映している。
「あ、ちょうど今、売れちゃった。」
語尾にテヘっという言葉がつきそうな口調で店長が笑う。
「あとね。あの子、オスだから。」
その言葉に変態はショックを受けていた。
ちょっと待って!本気で今までメスだと思っていたのか?
「・・・・・ぬぁにーーーーーーーーーーーーー」
・・・・・・・本気だったらしい。
ただの変態だと思ってたけど、どうやらただのバカのようだ。
「面白いからほかっといたんだけど・・・本当にメスだと思ってたんだねぇ。」
は、は、はって、ちゃんと訂正してよ!
しかし、この悲痛な叫びは誰にも届かない。
「で?」
「で?」
「ジョセフィーヌはどこ?」
「そこ。」
ちょっと、指を指さないで!という心の叫びは誰にも通じず、変態がすごい形相で見つめてきた。
「ジョセフィ~ヌ~」
なんか、空飛びながら向かって来るのですが…
怖くなったので、今日もまた、奴の右腕に…
ガブリ
「?・・・・○☆ΘΣ△□!!」
ふん!ボクに触れていいのは女神だけなんだから。
ペットショップの店長の名前は静寂貞春です。覚えている人はいるでしょうか?