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一目ボレ ~オレと『彼女』の奮闘記~  作者: 亜里沙
番外編1 ~オレの願望と立ちはだかる壁~
28/39

壁は壊せば通れるハズ・・・

「いっつぅ・・・」

 危機一髪とはこのことか。オレは何とか自分の体を下にし、香澄ちゃんを守ることができた。ただし、背中と頭を打ったのか激痛がする。

 とりあえず体を起こそうとしたが、右手首に激痛が走り失敗した。どうやら軽くひねったらしい。

 まぁ、そんなことは些細なものだ。重要なのは香澄ちゃんが無事かということだけだ。

「香澄・・・大丈夫か?」

 どうやら無事な左手で体を支え、彼女の顔を覗き込む。すると、突然香澄ちゃんが怒った顔でオレを睨みつけた。

「『大丈夫か?』じゃないわよ!!大丈夫じゃないのは捺矢の方じゃない!」

 あまりの怒りように茫然とした。えーと、オレってなんか香澄をここまで怒らせるようなことしたっけ?

 でも、怒った顔も可愛いなぁとおもうオレは相当イカレてきたかなぁ。

「右手、怪我したんでしょ。私が無事でも捺矢が怪我したんじゃ意味がないじゃない!そんなの、嬉しくない。」

 うぉ!気付かれてた。でもさ・・・

「それでもオレは香澄に怪我がなくてよかったと思ってるよ。」

 心の底から、と心の中で付け足しておく。

 ん?そう言えば今・・・・

「捺矢って・・・初めて呼び捨てにしてくれた・・・よね?」

 その言葉に香澄ちゃんの顔がまるでトマトのように真っ赤になる。

 泣いたり怒ったり赤くなったり・・・本当に可愛いなぁ。

 恥ずかしそうに真っ赤になった顔を背ける香澄にオレは何とか左手だけで起き上がり、彼女の耳元に口を近づける。


「もう一度、呼んで。」


 その時の香澄の顔はすごかった。

 これ以上無いくらいに真っ赤になり、なんだか火でも拭きそうだ。触ったら火傷しそうなほど赤い。

 しばらくの沈黙の後、ゆっくり彼女が口を開く。

「捺矢・・・・・・・・・君。」

 ガク・・・

 こらこら、ちょっと待とうね。何で結局『君』付けなのさ!

「ちゃんと名前、呼んで。」

 もう一度彼女の耳元で囁いてみる。

 しばらくの間、香澄は真っ赤になった顔をオレの胸に押しつけ隠していたが、やがて小さい声で「捺矢」とオレの名前を、しかも呼び捨てで呼んでくれた。

 ヤバイ。嬉しすぎる!!ニヤニヤが止まんねー

 しかも香澄は可愛過ぎだし。そろそろ限界だな。さっきもおあずけを喰らったし。


「香澄。」

 オレが名前を呼ぶと、彼女の体がわずかに震えたがそろそろと顔をあげ、オレを見つめる。

 真っ赤な顔に潤んだ瞳。誘われている気がするのは気のせいか?

 まぁ、いい。オレは左手で彼女の顎を持つ。オレの意図がわかったのか香澄はそっと目を閉じた。

 そして、ゆっくり互いの顔を近づけ、触れるか触れないかという時・・・・


「ただいまー!マイ、スイートリトルハニー❤お父さんが帰ってきたよー」


 

 固まった。

 そろそろっと声のした方へ首を回すと、部屋の入り口にアロハシャツを着、サングラスをした、ごっつい顔というかそっち系の顔の中年男性が立っていらっしゃいました。

 と、とりあえず一言。

「お、お邪魔してます。」

 

 そして待つこと数瞬・・・・

「てめぇー!うちの娘に何手ぇ出し手やがるんじゃーこのボケが!東京湾に沈めたろうか!!」

 うわぁー見た目も声もやくざって感じっすねぇ。とか頭の片隅で思いながら、オレは天高く、お空の御先祖様の所まで吹き飛ばされたのでした。


「捺矢君!!」

 香澄ちゃんがオレの名前を呼ぶのが聞こえてくる・・・なんか、凄まじいおっさんの怒鳴り声と一緒に。

 オレの敵はまだいたのか・・・・かなり手強いぜ。

 ああ、オレはいつになったら心ゆくまま、香澄ちゃんと過ごせるのか・・・

 

 次回に続く!! 続く・・・よね?

 

結局、二人とも呼び名が戻ってしまいましたねぇ。

さて、これにて番外1は終了です。

でも、『一目ボレ』は一応まだ続きます。

感想、ツッコミ、要望などなどなどがありましたら拍手の方からよろしくお願いします。

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