壁は高いぜ・・・その4
とにかく、うるさく吠え続けるジョンを何とかするため、香澄ちゃんはリードを取り出すと奴の首輪に取り付け、その紐を近くの木の枝(太そうなやつ)に結び付けている。
ちなみに、道中リードをつけていなかったのかというとそうではなかったらしい。どうやらジョンのヤローがオレを見つけた瞬間、暴れに暴れまくってその結果、紐が切れたのだという。
どんだけすげー力を持ってるんだ?まだ、子犬だろ。
そうか、そうか。そんなにもオレ達のデートを邪魔したいのか。
ちらりとジョンが繋がれている方を見ると・・・うわーい、なんかものすごい形相で睨んでるよ。
というか、睨みたいのはこっちだっつーの。
ようやく結び終わったらしく、香澄ちゃんがこっちに戻ってくる。むー、まだ俯いてるよ。まったく、気にしなくてもいいのに。
内心で苦笑しながら彼女の顔を覗き込んで見ると・・・・・真っ赤だ。
えーと、これは、その・・・・やばくないですか?こう、ムラムラしてくるんですけど。
やべー、我慢の限界がきそう。なんとか話題転換をしなくては!そこで、頭に浮かんだ言葉を口に出す。
「そ、そう言えば、なんでジョセ・・じゃなくてジョンも一緒なの?」
自分で言っといてなんだが、本当に何で一緒に来たんだろう?は!まさか、オレと二人っきりのデートは嫌だったとか?
あ、ありえる・・・というか、それしか考えられない。うぉー、ごめんよ、香澄ちゃん。どうか、嫌いにならないでくれーーーー
今度はオレの方が半泣き状態だよ。
「あ、いえ、最初はちゃんと私一人で来るはずだったんです。」
あれ?そうなの。
目を丸くして首を傾げるオレに香澄ちゃんは頷いた。
「でも、ジョンが無理やりついて来て・・・」
それで結局一緒に来ることになったということか。クソ!なんて奴だ。ご主人様たちのデートの邪魔をしようなんて。往生際が悪いぞ!
腹が立って来て、オレはジョンを射殺さんばかりに睨みつける。ジョンの方も負けじと睨み返してくる。って、犬がライバルってどうよ。
「でも、なんだか嫉妬しちゃいます。」
「へ?」
今、何とおっしゃいました?
「ジョンはきっと捺矢君が好きなんです。」
はい!?
回を追うごとに捺矢の脳内変態度が上がっている気が・・・いや、もともとか。




