表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/39

さっそく失恋!? その2

「そんで、恋してた犬は別の人に買われた上に、実はオスで、終いには噛まれたってわけか。」

 次の日の朝、オレは大親友の実に昨日のことを話した。そして、すぐに後悔する。

 同情してくれるかと思いきや、我が親友はバカにした目でオレを見つめてくるではないですか!


「バカだとは思っていたが、ここまでバカとは思ってなかった。」

「うるせえーよ。くそ!なぜだ。オレ達は確かに愛し合っていたのに・・・」

 嘆き悲しむ俺に親友は冷たい。数学の教科書を開いて、勉強してやがる。

 しかも、奴は、問題を解きながら「種族どころか性別まで違えば、もはや一方通行どころじゃないな。」とか言いやがった。

 なんてひどい友達だ。親友ならここはなんか慰めてくれるところだろ!

 なのにこいつは・・・

「そもそも、俺たちはいつから親友になったんだ?」

 とかほざきやがる。

「くそ!あの子がジョセフィーヌを買うまでは確かに両想いだったんだよ。」

 会いに行けば、温かくほえられた。触ろうとすれば、よく手を引っ掻いてくれたもんだ・・・

「その結果が、その右手の包帯か。というか、どう贔屓目に見ても、その犬に嫌われているようにしか思えないが。」

 バカな!そんなはずはない。

 おのれ・・・これも、なにもかもはあの子がいけない!オレが買うはずだったジョセフィーヌを先に買いやがって。しかも・・・しかも・・・・

「なんで、あの子には甘えた声で泣いた揚句、ぺろぺろ舐めて、オレには噛みつくんだよ!一体、これはどういうことなんだ!」

 は!まさか、これが世に言う『浮気』というやつか。


「ジョセフィーヌの浮気者~」

 オレは窓を開けると、大声で叫ぶ。

 オレの背後がうるさい気がするが、気のせいだ。

「お前は、だから、バカなんだよ。よく考えてみろ。オスならヤローより女の子の方がいいだろ。お前だって、どんなに可愛い顔をしてるやつでも、男だったら『愛してる』って言われたくないだろ?」

 確かに、実の言うとおりだ。だが、そう簡単には割りけれない。

「初恋だったんだ・・・」

 オレは窓に腰をかけ、ため息をつく。

 なにやら、実が「犬より人間にしろよ。」とか呟いた気がするが無視だ。

「ジョセフィーヌ・・・

 オレは生まれて初めて、『初恋は実らない』という俗説が本当であったことを痛感したのだった。

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ