さっそく失恋!? その2
「そんで、恋してた犬は別の人に買われた上に、実はオスで、終いには噛まれたってわけか。」
次の日の朝、オレは大親友の実に昨日のことを話した。そして、すぐに後悔する。
同情してくれるかと思いきや、我が親友はバカにした目でオレを見つめてくるではないですか!
「バカだとは思っていたが、ここまでバカとは思ってなかった。」
「うるせえーよ。くそ!なぜだ。オレ達は確かに愛し合っていたのに・・・」
嘆き悲しむ俺に親友は冷たい。数学の教科書を開いて、勉強してやがる。
しかも、奴は、問題を解きながら「種族どころか性別まで違えば、もはや一方通行どころじゃないな。」とか言いやがった。
なんてひどい友達だ。親友ならここはなんか慰めてくれるところだろ!
なのにこいつは・・・
「そもそも、俺たちはいつから親友になったんだ?」
とかほざきやがる。
「くそ!あの子がジョセフィーヌを買うまでは確かに両想いだったんだよ。」
会いに行けば、温かくほえられた。触ろうとすれば、よく手を引っ掻いてくれたもんだ・・・
「その結果が、その右手の包帯か。というか、どう贔屓目に見ても、その犬に嫌われているようにしか思えないが。」
バカな!そんなはずはない。
おのれ・・・これも、なにもかもはあの子がいけない!オレが買うはずだったジョセフィーヌを先に買いやがって。しかも・・・しかも・・・・
「なんで、あの子には甘えた声で泣いた揚句、ぺろぺろ舐めて、オレには噛みつくんだよ!一体、これはどういうことなんだ!」
は!まさか、これが世に言う『浮気』というやつか。
「ジョセフィーヌの浮気者~」
オレは窓を開けると、大声で叫ぶ。
オレの背後がうるさい気がするが、気のせいだ。
「お前は、だから、バカなんだよ。よく考えてみろ。オスならヤローより女の子の方がいいだろ。お前だって、どんなに可愛い顔をしてるやつでも、男だったら『愛してる』って言われたくないだろ?」
確かに、実の言うとおりだ。だが、そう簡単には割りけれない。
「初恋だったんだ・・・」
オレは窓に腰をかけ、ため息をつく。
なにやら、実が「犬より人間にしろよ。」とか呟いた気がするが無視だ。
「ジョセフィーヌ・・・
オレは生まれて初めて、『初恋は実らない』という俗説が本当であったことを痛感したのだった。