意外な真実 その5
「私、好きな人がいるんです。」
「はひ!?」
突然の告白に、オレは目を丸くした。
ちょっと待て!誰だよ、そいつ。今すぐオレの前に出てこい。そしたら100発殴るだけで勘弁してやる。
「でも、その人、全然私のこと、見てくれなくて・・・」
「それは酷い男だね。」
香澄ちゃんという素晴らしい女の子がいるのに見ないなんて・・・それって、男としてどうよ。
「それに私、いつもその人の前で失敗しちゃうんです。」
どうやら、ジョンがその思い人とやらに噛みつくのを止められないらしい。
香澄ちゃんが悲しそうな顔で話してくれた。
だが、香澄ちゃんには悪いが、ジョンには『ナイス!』とほめてやりたい。
「このままじゃ、好きになってもらうどころか嫌われるんじゃないかと思って・・・」
それが怖くて実に相談したという。
「どうも、実君はその人と友達だそうでうまく仲を取り持ってくれるって・・・」
へぇ―そうなのか。実の友達ねぇ。あいつ、オレ以外に『友達』なんて呼べる奴がいたのか?
どうも、あいつは人を信用しないからな。表面上は『友達』として付き合ってても実際は違うって場合が大量にあるはずだ。
そんな奴の『友達』ねぇ。
ん?なんか引っかかる・・・・一体何だ?
だが、思考はすぐに香澄ちゃんの言葉で断ち切られた。
「でも、やっぱり無理でした。しかも、今日はこんな大ケガを負わせちゃって・・・私のことなんてもう、嫌いですよね?」
床が濡れている。もしかして、泣いているのか?
というか、もしかして、香澄ちゃんが好きな男って・・・・
「ごめんなさい、小杉さん。ごめんな・・さい・・・ごめんなさい・・・」
でも、と顔をあげた彼女の顔は涙にぬれていてぐちゃぐちゃだ。それでも、オレは彼女が可愛いと思ってしまった。
恋をする一人のきれいな女の子だと。
「私は、あなたが好きなんです。」
あとちょっとで終わる予定なのに、なかなか進まない・・・・
でも、今のところ順調に行けばあと2話で終わる予定なので、もう少しお付き合いください。