意外な真実 その3
すみません。その1でジョセフィーヌが口輪をつけて一緒に歩いているという話がありましたが、今後の展開を考えた上で『彼女』が一緒にいたことを消しました。
「だって、実君は私の従兄ですから。」
・・・・へ?今、なんておっしゃりました?
オレの耳にはまるで可愛く可憐な香澄ちゃんと陰険腹黒メガネが親戚関係にあるように聞こえたんですが。
「私の母と実君の母が姉妹なんです。家も近いので、昔から仲良くしてくれてるんです。」
マジで!あの実と香澄ちゃんが従兄妹だと・・・つまり何分の一かは血が繋がっているわけで・・・
「ウソーーー!!」
全然似てない!
確かに血が繋がっているとはいえ、兄妹じゃないんだからそんなに似てなくても不思議ではない。
でも、でも、でも。こんな天使みたいな子があんな悪魔の親戚なんて・・・信じられねぇ。
ん?従兄妹ってことは、結婚できるのか?・・・・なにーーーーー!そんなこと許さんぞ!例え、お天道様が許してもオレが許さん。
あー、でも、よく考えたらオレって将来あいつのことお兄さんと呼ぶ日が来るのか?いや、だから従兄妹だって!兄妹じゃないんだから呼ばなくてもいいだろう。ということは、もしかしてあいつとの縁は永遠に切れないのか!?
いやいやいや、ちょっと待て。何考えてるんだよ、オレ。別にオレが結婚するわけじゃないんだから・・・って、結婚!?誰と誰がだよ!オレはあっちの人間じゃないぞ!!オレは女の子が大好きだ!
って、あっちってどっちだよ!女の子嫌いな男いたらやばいだろ。変体じゃん!あ、間違った。『変態』だった。・・・そんなコトはどうでもいい。いや、どうでもよくないけど、とりあえずこれはそっちに置いといて。兎に角、結婚するなら香澄ちゃんの・・・・
「私の、なんですか?」
「ぎょわーほぉーい!」
って、何語だよ。
・・・・・・・もしかして、今の全部声に出してた?声に出してたって事はつまり香澄ちゃんに聞かれてたわけで・・・
「え、えーと、その・・・・」
ヤバイ・・・・非常にヤバイ。何やってんだよ、オレ。本当、バカだよ。いや、バカだけどさ・・・
バカはバカなりにもう少し時と場所と考えてる内容を考えるだろ、普通。もしかして、オレのこのバカさかげんは一生治らないのか?それってまずいんじゃ・・・
「ぷ・・・ふふふふふ。」
突然、香澄ちゃんが笑いだした。関係ないけど、やっぱ、可愛い子は笑う時も上品に笑うんだなぁー
「本当に小杉さんはいい人ですね。」
楽しそうに微笑む香澄ちゃん。
えーと、何がどうなってそんな話になるんでしょうか?
今までの人生、面白い人とかバカとかアホとかヘタレとかそういうことは言われてきたけど、『いい人』は初めてだ。
「心が広いし・・・」
いや、全然広くないぞ。むしろかなり狭いと自負しております。
「それに、今だって私のこと慰めてくれようと必死に色んな事をしてくれますし。」
いや、別に慰めようと思ってやってるわけじゃないよ。これ、オレの素です。
うーん、なんだか、気まずくなってきたぞ。ということで、オレは話を変えることにした。
「そ、そういや、ジョンはどうしたんだ?」
・・・・・しまったーーー!何オレ、今日の悪の根源の一人(いや、この場合一匹か)の名前を出してるんだよ!!バカか?バカなのか?いや、バカなのはわかってたけどさ。それにしてもバカすぎるだろ!!
「ジョンなら小杉さんが診察してもらっている間、家に連れ帰って鎖に繋いできました。」
なんか、少し怒ってる気がするのはオレだけか?
「・・・・・」
「・・・・・」
お互い無言。これはいかん!オレはとにかくこの空気を打破するため、口を開く。
「「あの」」
うわぁー!かぶった。
「ごめん。まず、香澄ちゃんからどうぞ。」
まずも何も最初から話す内容考えてなかったし。
では・・・と香澄ちゃんが恐る恐る口を開いた。
「あの、今日のお詫びを兼ねて私の家に来ませんか?」
今日の意外な事実は・・・ジョンが鎖で繋がれたことかな?
この話はまだまだ続きます。