実のデートをぶち壊せ! その2
とある公園で、なんと香澄ちゃんがオレの愛するジョセフィーヌを連れて立っているではありませんか!
ああ、相変わらずなんて美しい毛並み・・・凛々しく整った顔・・・・って、こら!何でお前はそんなうれしそう中で香澄ちゃんの足にすり寄ってるんだよ!
ちなみに、オレはどこにいるかというと、聞いて驚け、見て笑え!我ら閻魔大王さまの・・・って、違う違う。えーと、なんだっけ。そうそう、オレがどこにいるかだった。気を取り直してもう一回。
聞いて驚け、見て笑え!なんと近くの茂みの中に隠れ、植物と一体化して隠れているのだ!
・・・・・なんか、悲しくなってきたなぁ。まぁ、前置きはどうでもいい。そうこう考えている間に実の奴がもったいつけた様子(脳内の実が「お前の気のせいだ」とかつっこんでるが無視だ)で香澄ちゃんのもとへ向かっていく。
「遅くなったな。」
なんつーぶっきらぼうな言葉。しかーし、香澄ちゃんは極上の笑みを浮かべて首を振る。
ああ、そんな笑顔、実ごときに見せなくてもいいのに・・・
「うんうん。私も今来たところなの。」
うわぁー、月並みなセリフ。って、おい、ジョセフィーヌよ。何故にお前も嬉しそうに尻尾を振ってるんだ?は!まさか、こんな陰険腹黒メガネの方がオレよりもいいっていうのか。
「じゃ、行こうか。」
ん?オイ、コラ、実!!テメェー、何、何気なーく香澄ちゃんの肩に腕をまわしてるんだよ!!
クソ!一番気に食わないのは、これだけ下心丸出しの実に対して『ジョン』の奴が全く怒らないことだ!
オレが香澄ちゃんに触れようもんなら、すさまじいまでの殺気を放ちながらオレを睨みつけ、ついでに噛みつくくせに・・・
って、ちょっっっ!!なんで、香澄ちゃんも嬉しそうなわけ?
いくらなんでも隙がありすぎでしょ。知らない人にはついて言ったらダメって先生に言われてるだろ!!
あ、いや、知らない仲ではないのか?いやいやいや、知らない仲ってなんだよ、オレ。それって、二人がそこまで行っちゃってるってことじゃん。って、そこまでってどこまでだよ!!ああ、もういい加減にしろよ。戻ってこい、オレ!
とか何とかオレが混乱している間、どこからか犬の鳴き声と少女の悲鳴が現実世界では響いていて・・・・
がぶり
えーと、『がぶり』?
なんか嫌な予感がするな―
オレはそろそろと音がした方に首を回す。
おお!なんか、愛しのジョセフィーヌの瞳がオレを見つめてるじゃないですか。あれ?ジョセフィーヌさん、あなた、一体どこに噛みついていらっしゃるんですか?
オレふと偉大な先人が残した『2度あることは3度ある』の言葉を思い出した。
2度あったことは必ずもう1度繰り返されるものだから注意しようね、という意味。
でも、先人様。4度もあった場合はどうしたらいいでしょうか?
いっそ、「3度あることは4度ある」に変えてしまった方がいいのではないでしょうか。
などと、訳の分らんことを考えながら、オレは最近お決まりの、しかも、4度目の悲鳴をあげたのだった。
「聞いて驚け見て笑え。我ら閻魔大王さまの一の子分」
某局の某アニメの鬼たちのセリフです。