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誰かオレに学習能力を! その3

 何とかオレは実に追いつき、一緒に帰ることになった。

 まぁ、一緒に帰るっていても実は徒歩10分の所に家があるのですぐに別れるんだがな。

 ちなみにオレの家までは自転車で40分かかる。結構遠いんだよなぁ。実がうらやましい。

 徒歩の実に合わせて、自転車を押しながら、あいつの横に並んで歩く。

「おい、あの子、金蘭学園高校の子じゃないか?」

 金蘭学園って言ったら、超エリートお嬢様学校ではないか♪

 オレは実が差した方を見て・・・・固まった。

 知ってる・・・・あの顔はここ最近よく見るものだ。

 相手もすぐにオレのことに気がつくと、今のオレには致命傷を与えることができるほどの明るい笑みを浮かべて、こっちに手を振る。

「ご・・・・ご・・・・ごめんなさ~い!!」

 半泣き状態でそう叫ぶが早いか、自転車にまたがると、その場を一瞬で消えてみせるという芸当をして見せた。

 まぁ、実際はものすごいスピードで走っただけなんだがな。



 家に帰って時計を見るとびっくりした。なぜなら、通常40分かかる道のりを5分55秒で帰ってきたからだ。人間の限界を越えたな、とか言う訳の分らん現実逃避をしながら家に入った。


「ふぅー」

 さすがに疲れたので、今にあるソファーの上に寝転ぶ。

「おかしいなぁ・・・」

「兄さんがおかしいのは今に始まったことじゃないじゃん。」

 この無駄に生意気な声はよく知ってる。ああ、知ってるとも。何せあいつが産まれた時から聞いてるからな。

 オレは体を起こすと、声の主を睨んだ。

 案の定、声の主はオレの妹、咲だった。

 現在中学2年生の妹はこの上なく生意気だ。しかも、この偉大な兄を兄とも思っていない。

 睨むオレを無視して、咲はアイスを食べながら、あろうことか、兄であるこのオレの足の上に容赦なく腰をおろしやがった!

 無茶苦茶痛いぞ!

「何しやがる!このくそガキ。」

 怒鳴ってみるが疲れ切ったオレの怒りはあまり妹には通じなかったようだ。咲は涼しげな顔でアイスを食べ続ける。

 う・・・う、学校では実に、家では妹(両親)にいじめられる。泣いていいかなぁ。

 半泣き状態のオレを無視しながら咲は尋ねる。

「で、何がおかしいの?まさか兄さん、テストで赤点でも取ったの?」

「そんなわけあるか!」

 言っとくけどな、誤解されやすいけど、オレはかなり頭が良いんだぞ。

 確かに時々、いや、しょっちゅう・・・・たまに?とにかく、今みたいに実にバカにされるくらいバカな時もある。が、勉強に関しては我ながら良い方だと自負している。

 どれだけ良いかというと、テストで90点以下を取ったことがほとんどないくらいだ。

 どうだ、すごいだろ!バカにされたって、結構いけるんだぜ!

「そうなんだ。ま、兄さんは頭だけは良いもんね。頭だけは。」

 うわ!こいつ、2回も言いやがった。ふざけんな。スポーツだってできるわい。

 でも、こいつにこう言われる理由に心当たりが・・・

 ああ、また涙が出そうだ。

「もしかして・・・兄さん、恋したりしちゃってる?」

 ぐほぉ!

 

 やべ―、今、口から出てはいけないモノが出てくるところだった。つうか、何を言い出すんだ、このくそガキ。無茶苦茶動機が激しい。

 そんなオレをみて、我が、可愛げの欠片もない妹はぷっと噴き出した。

「あはは、まさかね。兄さんが恋だなんて、天変地異があってもあり得ないわ。」

 おい、妹よ。お前は自分の兄をなんだと思ってるんだ?

 咲はアイスが食べ終わり満足したのか、オレの上からどくと、とっとと出ていった。

 一人残されたオレは深くため息をついた。

 未だに両手にはジョセフィーヌとの愛のあかしとして刻み込まれた傷が残っており、包帯が巻かれている。

 最初、これを見た両親はジョセフィーヌに噛まれたことを話すと大笑いした。いや、大笑いという言葉では表現できないほど腹を抱えて笑いやがった。

 今でも、この包帯を見るたびに笑いやがる。くそ!なんてひどい親なんだ。

 ふと、頭に浮かんだのは先ほどの香澄ちゃんの驚いた顔だった。

 いや、まぁ、あんな奇行をしといて驚くなって方が無理なんだろうけどさ。

「はぁー、何やってるんだろ、オレ。」

 男だろ!しっかりしろ!!

「よし、明日こそは香澄ちゃんにちゃんと謝罪して・・・」

 ジョセフィーヌとの交際を認めてもらうのだ!!

 なんか、間違った方向に走っている気がするが、気にしない。

 オレは決意を新たにソファーから起き上がろうとして・・・・見事に落ちた。


さて、捺矢の運命はいかに!

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