81/81
エピローグ
赤い色は何の色だろう。
トマトの色?郵便ポスト?連想ゲームの進め方は無限大だ。
喉の奥が美味しいものを食べたあとみたいで、口角は自然にあがる。
夜も更け辺りは闇なのに、それさえもシックで美しくみえる。
それは、きっと幸せだから。
命を表し、危険を示す。本気の思いと激情を伝える。
赤い色は、本能を司る色なのかもしれない。
誰かが死ぬときの赤は悲しい。
けれど見ていて心が動く。
その色にはなぜだか魅了された。
赤い色を遠ざけて、自分はフツウだと思い込んだ。
好きを嫌いと誤魔化して、騙し騙しやってきた。
丸テーブルにある、白い花の髪飾りが見つめ返してくる。
赤い色は、嫌い。
でも、嫌いになんてなれなかった。
長い間お付きあいいただき、ありがとうございました!
ここまで長くなってしまったのを読んでもらい、本当に嬉しいです。