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序章

初めまして、夢川とりこと申します。

この作品を読んでいただいた皆さまに楽しんでもらえたらなと思っております。

なにとぞよろしくお願いします。


3/20 文章の修正を行いました。

 むかしむかし、ウィリテイング帝国がまだ王国だった時代。

王国の北西〜北に掛けて鎮座し、足を踏み入れた者を惑わせる“惑わせの森”を開拓するために、当時の国王は開拓騎士団を派遣した。

 騎士団は「たかが森、武力の前に惑うも何もない」と息巻いて森の入り口に到達したが、予定外の状況に見舞われた。

なんと惑わせの森には人が住んでいたのだ。

武器を持ち馬に乗って現れた騎士団に対して、彼らは鎌や鍬を向けて抵抗の意志を示してきた。


「この森は我ら一族を魔物や侵略から守ってきた。他所から来た者たちよ、どうか我らの森に手出しせずこのまま帰ってはくれないか」


森に住む人々の長であろう男が騎士団に向かって叫ぶ。

祈るように、願うように。

騎士団は男の気迫に押され、その場を離れることにした。


 しかし次の日の早朝、再び森へ向かうと大きな斧を取り出して木を切り始めた。

 突然の出来事に駆けつけた森の住人たちは切り倒された木を見て泣き喚き、騎士団に攻撃を仕掛ける者も現れたが、そういった者たちは全て騎士団員によって取り押さえられた。

 騒ぎを聞きつけてやってきた長らしき男は静かに状況を判断し、騎士団に告げた。


「やはり外地の人間は自分勝手なものが多いと聞いていたがここまでとは。同胞を放し疾く失せろ。さもなくば暴風が貴様らを斬り刻まん」


 男が告げた通り、突如として暴風が吹き荒れ騎士団員の鎧に斬られたような傷が入り始めた。

恐怖に慄き始めた騎士団員の背後から女の声が響く。


「我らの王が疾く失せろと申されただろう。」


 恐怖で足がすくんでいた騎士団員全てがアワアワ、バタバタと足を動かし逃げるように走り去っていく。

逃げ帰る途中で騎士団員たちは気がついた。


なぜ“言われた通り”になっているのだ?


 風が吹いて斬り刻まれた(鎧が)

 怖くて動かないはずの足が突然自分の意思に関係なく動いて走り始めた


 魔法か?いや違う

 魔法ならば魔法陣や魔石が必要で、詠唱しなければ事象を操ることはできない

 であるなら自分たちに起こったこれは何だ?


 拠点に戻ってきたタイミングで団員の誰かがぽつりと呟いた。

「じいちゃんが言ってた“言葉の民”なんじゃ…」

「“言葉の民”?なんだそれ」

「郊外の村に住んでる祖父が、代々村に伝わるお伽話を聞かせてくれたことがあって…その中に“魔法陣を使わずに言葉に魔力を乗せるだけで魔法を使える人々”の話があるんです。さっきの奴らがもしそうなら…」

 団員の言葉を受け、団長の男は近くにあった松明を持ち上げ叫んだ。

「奴らが何者であろうと関係ない!俺たちは国王陛下の勅令で森の開拓に来た!我らに下されたい命は森を開拓し、領地を広げ、王国の繁栄を手助けすること!よって義は俺たちの方にあり、奴らは俺たちを阻む敵だ!言葉に魔力を乗せられる?ふざけた話だ。今すぐ伝令を走らせろ。火魔法を扱える魔術師と開拓で切り出した木を持ち帰るための増員を要請すると、国王陛下に伝えに行け」


 5日後、団長の要請を受けて派遣された増援部隊が森横の拠点に到着した。

 団長は作戦を伝える。

「増援要請の承諾に感謝する!これより木の伐採と整地、そして我らの開拓の任務を阻もうとしてくる敵の討伐を開始する!敵は言葉のみで魔法を発動する厄介な奴らだが、発動させなければいい。火魔法の準備にかかれ!俺の合図で森に火を放つ!」


 行動を開始いた騎士団による伐採と整地により、惑わせの森はかつて繁茂していた広さの半分にまで縮小。

 2度にわたる勝手な伐採を止めに来た森に住むものたち(のちに言葉の民と呼称)へ火魔法による粛清。

一部の火魔法が森の木へ飛び火し、一気に燃え広がった。

 粛清を免れた民たちの安否は不明。

 騎士団は拠点を発展させ、ウィルト王国に並ぶ大都市を建設。

 国王を呼び寄せ首都を遷都し、皇帝位に即位させた後王国はウィリテイング帝国と名を改めた。


 騎士団の行動に関して賛否はかなり分かれるが、後世の人々は歴史としてこの事案を学ぶ。

 通称・「火の森戦役」である。


続きを読みたい!と思っていただけましたら、高評価をよろしくお願いします。とても喜びます。

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