出逢い
レストランで楽しく食事会。
亜梨沙「ねぇ…せっかくだからお酒でも飲まない?」
愛「賛成!」
彩水「良いですね。お付き合いします」
私「じゃあ…果実酒にしませんか?パシテアは果物の産地ですから美味しいお酒も豊富です」
亜梨沙「飲も飲も!」
美味しいお酒と料理。
そして大切な仲間たち。
亜梨沙さん…私の親友。
金色の髪が美しい大学一の美人。
明るくて活発で行動力もある。
彼女が歴史研究会に来てくれたおかげで暗い性格の私は変わった。
人付き合いの苦手な私に出来た初めての友達が…亜梨沙さん。
本当に感謝している。
私「亜梨沙さん…いつもありがとう」
亜梨沙「何よいきなり」
私「…何でもないです!」
愛「お酒も美味しくて最高ですね!」
白い髪の毛が特徴の愛ちゃん。
お人形さんみたいに可愛い。
彩水「大丈夫?愛。それ何杯目?」
亜梨沙「5杯目よね愛ちゃん!」
愛「はい!でも全然酔ってませんから!」
彩水「本当に?」
愛「せっかくの旅行なんだから楽しまないと!ねえ先輩!」
2人は同じ学部の先輩後輩。
亜梨沙「後でこの辺歩かない?」
愛「行きたい!」
私「まだ早いですもんね」
こうして私達は夕食後、夜の市内観光に出掛けた。
メガロポリスほどではないけどパシテアも大都会。繁華街は沢山の人達で賑わっていた。
ただ港町だけあって奴隷のオトコ達もかなりいた。
彩水「船乗りの奴隷ですね」
ボロボロの身なりで道端に踞る者。
残飯を漁る者。
病気なのか倒れて動かない者。
私「どうかしましたか?具合でも悪いのですか?」
死んでいるのか…応答はなかった。
その時後ろの方から叫び声がした。
愛「あっ!私のバックが!…泥棒!」
バックを盗んで逃げる中年のオトコ。
咄嗟に追いかける彩水。
私も走った。
人混みをかき分けながら見失わない様に走った。
路地裏に逃げ込むオトコ。
彩水「待ちなさい!」
私「彩ちゃん、これ以上は危険よ!引き返しましょう!」
彩水「でも…」
追いかけるのに夢中で気付くのが遅かった。私達は来てはならない場所に来てしまったんだ。
暗闇に佇むオトコ達。
こちらに近寄って来る。
私「彩ちゃん…逃げよ」
彩水「…あの…バックを持った人来ませんでしたか。…こっちに来たと思うんですけど…」
「知らねぇな」
私は怖くなった。
私「行きましょう…」
その瞬間私達は襲われた。
一瞬の出来事だった。
オトコ達に持上げられ…引き摺られた。
恐怖で声も出ない。
暗闇の中、どこに連れて行かれたも分からない。
必死に抵抗したけどジーンズは脱がされた。
何処かで彩水の叫び声が聞こえる。
私「彩水!」
助けなきゃ!
下着が下ろされたその時だった。
「お前らいい加減にしろ!」
「カ、カズ!帰って来たのか!」
カズ「まったく女と見れば見境もなく襲いやがって!」
「…な、なんにもしてねぇよ」
誰か…来た
助かった…?
カズ「すまなかったな。怪我はないか?」
私「彩水は!」
彩水「先輩!」
無事だった!
ガス「ネロ、よくもこの俺の顔に泥を塗ってくれたな!こんな事をする様な奴らとは行動を共にしねえ!二度とそのツラ見せるんじゃねえ!」
ネロ「わ、わかったよ、もうしねえよ…許してくれ」
まだ20代の若いオトコ。
グループのリーダーなのか、彼の一言で私達は救われた。
私「待って下さい!友達のバック帰して」
ネロ「これか…」
カズ「腐れ野郎が」
ネロ「知らねえよ!あいつらが勝手に…」
ガス「俺の部下が失礼な事をしてしまった。申し訳ない。明るい場所まで送ろう」
私「彩ちゃん…大丈夫?」
彩水「大丈夫です」
カズ「旅行かい?地元の女はこんな物騒な場所歩かないからな」
私「貴方はパシテアの方ですか?」
カズ「俺はエデル島の貿易商人。彼奴らは仕事仲間さ。さてと…ここまで来れば後は大丈夫。すまなかったな。警察に訴えてもいいぜ。罰は受けるさ」
私「いえ…貴方には助けてもらいましたから」
カズ「ありがとう。今度エデルにも立ち寄ってくれ。何もない所だが料理と景色は最高だぜ。じゃあな…」
と言って彼は暗闇の中に走り去った。
これが彼と私達の最初の出逢い。
パシテアに来たのも、愛ちゃんのバックが盗まれたのも…みんな運命だったのかも知れない。
翌日、香織さんと共にナイアス地下遺跡に向かった。
香織「エデル出身ですって?」
私「知ってるんですか?」
香織「遥か南方にあるエデル諸島よ。暑さと湿気に覆われた熱帯の島」
亜梨沙「へぇー…そんな島あったんだ。でも奴隷の身分で貿易商人なんて珍しいわね」
香織「エデルはアンドロイドにとってとても重要な場所。良質な天然資源の宝庫だから沢山の奴隷達を送り込んでるわ。アンドロイドが長い時間島に居られないからある程度の権限は彼らに持たせているのよ」
亜梨沙「何で島に居られないの?」
香織「熱さと湿気…そして潮風による塩害。彼等が嫌う要素がエデルに備わっている。皮肉な話ね。自分たちにとって大切な場所なのに近寄れないなんて」
アンドロイドに支配されない世界で唯一の場所…。
亜梨沙「奴隷達の島…。行って見たいけど…怖いわ」
香織「……」
それっきり香織さんは黙ってしまった。
亜梨沙さんが連れて来たアレスを彼女は警戒しているんだと思う。




