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テトラタワー

子供の頃から不思議に思っていた。

どうして男の子と話しちゃだめなんだろう?どうして仲良く遊んだらだめなんだろう…。

仲間外れにして可哀想だった。

同じ人間なのに…。

何故彼らは奴隷なんだろう?


遥か遠い昔…この世界は滅んだ。

…いいえ、滅びかけた。

レーザー兵器は人も街も焼き払い、核兵器は美しい自然を破壊した。

山や森や動物達は地上から消え去り、大気は汚染され私達の惑星は死の星となった。

火の海となった地上の灰が空を覆い尽くし、光の届かない暗黒の世界。

救ってくれたのはアンドロイド達だった。

僅かに生き延びた人達を地下深く避難させ保護してきた。

機械人間の彼らは巨大な放射能除去装置を世界各地に造り、何百年もかけて地上の空気を浄化してくれた。

汚染された大地を耕し苗を植え育て、失った緑を…山を…森を取り戻していった。

気の遠くなる長い年月をかけアンドロイド達は死の惑星に命を蘇らせた。

今から3000年前の話。

「それから更に2000年、今の繁栄した世界に至るって事よね。私が知りたいのは人類が滅びる前…戦争前の世界が知りたいの。何故戦争になったのか?何故オトコは奴隷なのか?…いつから?私達が知る歴史はアンドロイドの記憶。…私はそれ以前の記憶が知りたい…」

知らない過去に何か大切な記憶が隠されている気がしてならない。

「私も亜梨沙さんに同感です。アンドロイド達は過去の歴史を私達に伝えようとしません。…意図的に隠しているのでしょうか?」

「アンドロイド達に都合の悪い事でもあるのかしら?」

「わかりません。でも…過去の事が分かれば未来に向かって私達がやるべき事が分かるかもしれません。…亜梨沙さん、今度の長期休暇を利用して歴史遺産を探しに行きませんか?私達の手で…埋もれた歴史を見つけましょう!」

と言って彼女は微笑んで見せた。

真面目な結菜とは正反対の私だけど、歴史に興味があるのは一緒だ。

「面白そう!旅行も兼ねて行こ行こ!」

彼女に出逢えて本当に良かった。


夕方私と美玖は浮遊バスに乗り込み大学を後にした。

目指すは最近完成したテトラタワー。

地上2000メートルで1万人が暮らす超巨大タワー。

高層ビルが建ち並ぶメガロポリスの中でも一際目立つ異形なビル。

浜辺によくあるテトラポットみたいな四本足の変わった形だ。

「400階だって…よく造ったわね」

「そろそろ着くよ美玖」

バスステーションがある20階に私達は到着した。

「凄い人ね」

テトラタワーは様々な交通の拠点として沢山の人達で賑わっていた。

「とりあえず何か食べよ」

レストランで食事し色んなショップを見て歩いた。

男性アンドロイドと手を繋いで歩く女性達。夜景を観ながら食事する人達。

アンドロイドに食事は必要ない。

人間ではないから。

アンドロイドは彼女の好みに合わせシステムを変更出来る。

背の高い男性が良ければ身長を。

体格がよい男性なら筋肉を。

一緒にスポーツを楽しみたいなら身体機能を。

寂しがりやな女性には優しさを。

子供が欲しい女性には精子を提供する事も可能だ。

アンドロイドは自身の体内で人工の精子を作り女性が望むなら子作りに協力する。

すみれとジェイの子供が私。

だから私の髪はジェイと同じ金色。

アンドロイドとの間に生まれた事に疑問はない。

だってこの世界には私達しか居ないのだから。


私と美玖は5階にある娯楽フロアでしばらく遊んで過ごした。

面白いのが電磁スニーカーを履いてスピードを競うレースや特殊スーツを着てのバトルゲーム。魔法も使えて楽しい。

次に向かったのは地下10階にある歓楽街エリア。

20歳未満の立入禁止区域だから身分証が必要になる。

下のフロアに行くほど人の往来も少なく、無人のパトロールドローンが音もなく飛んでいる。

座り込み疼くまる身なりの汚いオトコ達もいる。

何かトラブルでもあったのか、女性とアンドロイドが奴隷のオトコに罵声を浴びせ殴る蹴るの暴行をしていた。

どうやら女性のドレスがオトコに触れたらしい。

「行こ…亜梨沙」

通り過ぎる時…血反吐を吐いて倒れる奴隷と目が合った。


私と美玖が今夢中なのはこのフロアにあるクラブで踊る事。

真っ暗なホールを照らす色鮮やかなレーザー線。

響き渡るダンスミュージック。

天井から壁から大量のミストが吹き出し会場を霧で包み込む。

水着に着替えて踊り狂う女性達。

このミストには美肌効果とダイエット効果があり女性に大人気。

私達も持参したビキニに着替えミストを浴びながら踊った。

身体が熱く火照り始める。

意識が薄れ理性が消えていく。

女性に人気の一番の理由は…興奮する事。

ミストの媚薬効果により身体が…股間が疼いてくる。

今日で3回目。

1度体験したら止められなくなった。

暗闇とミストの霧の中…見ず知らない相手と抱き合い踊り狂う。

気に入ったパートナーがいれば連れ出して消えていく。

相手は女性だったりアンドロイドだったり様々。

気が付くと若い男性アンドロイドが私を抱き締めて踊っていた。

「君は昨日も居た。今日の相手は僕で良いのかい?」

思考能力なんかもう無い。

アンドロイドなんか誰でも同じ。

「いいわよ」

「僕はこのテトラタワーの住人。部屋に行こう」

頭の中にミストの媚薬が入り込んで霞んでくる。

早く気持ち良くなりたくて…たまらない。













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