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感傷的な何か  作者: みかん
1/1

楽しかった夏の思い出

いろいろ忘れてきているけど、多分こんな感じです。

オチはありません。


照りつける日差しの暑い、ある夏の日。

俺はあの日、日光東照宮を訪れていた。

理由は修学旅行。現地解散だった。

ちょうど昼前くらいだったと思う。

友達のいない俺はいつもなら一人で直帰するんだけど、その日は、せっかく栃木に来ているのにそのまま帰るのはもったいない気持ちになり、近くの観光スポットを探していた。

そこで見つけたのが龍王峡。

昔、両親と車で近くまで行ったことはあるけど、その景色を見たことはなかった。

鬼怒川温泉のもっと奥?

俺一人で行って帰れるかな?

懐には10000円か20000円くらい。

久しぶりの小さな冒険にガラにもなく興奮してた。

ルートを調べた。乗れる電車が全然なくて、先に昼飯がわりに峠の釜飯丼を食べた。

当時は量が少ないなと思ったような気がする。

それから、電車を待って乗った。所要時間はよく覚えてないけど、乗り換えもあったし、結構かかったと思う。

列車の中でずっとひとりで揺られながら、外の景色を眺めて龍王峡へ向かう。

のどかな田舎の風景から、あの鬼怒川に独特な川のそばを崖のように切り立った道路が走っている姿にだんだんと移り変わっていく。

見たことない場所。見たことのない世界。

自分が普段いるような雑多な場所じゃない静かな場所に興奮してた。

鬼怒川温泉駅で、電車の進行方向が違うらしくて一度乗り換えのために降りた。

乗り換えのとき、青い機関車みたいなのが停まりにきて、汽笛の音みたいなのを結構な音で鳴らすもんだから珍しいなぁと思っていたら、すぐそばにいたお兄さんが写真を撮っていた。

そのとき確か駅員さんが叫んでいて、どうやら俺の乗りたい列車が遅れているらしい。

三十分だったか、一時間だったかは思い出せないけど、結構遅れていたような気がする。

無事に帰れるか少し焦った記憶がある。

その後、遅れながら無事に到着した列車に乗った。

時間は十四時くらいだったかな。

列車内には、俺がさっきまで乗っていた列車よりもいっぱい人がいたような気がする。

特に印象的だったのが、少し前の座席に座っていた中学生みたいな女の子達。

みんな育ちが良さそうで、今日泊まる温泉の話をしてた。

俺は今日が終わったら帰らなきゃいけなくて、この子たちとはただすれ違っただけなんだよな、って少し寂しい気持ちになったのを覚えている。

本当は龍王峡駅で降りたかったんだけど、車掌さんが切符を切りに来てくれるらしいと思って待っていたら、龍王峡駅が過ぎてしまった。

というわけで俺は最終的に龍王峡を少し歩いた後、川治温泉で汗を流そうと思っていたので、川治温泉駅で降りるというプランに切り替えた。

川治温泉駅ではなく、川治温泉湯元駅が川治温泉の最寄りっぽかった。

車掌さんがやってきた。切符を見ているらしい。俺は川治温泉駅にも改札があるものだと思って、PASMO(交通系ICカード)で入ったことを告げると、川治温泉駅が無人駅で、改札はないことを知らされた。

その後、どこでどうやって運賃を支払ったのかは覚えてないけど、どこかの駅で駅員さんにICカードを精算してもらったような気がする。

そんなこんなで川治温泉駅に着いた。誰もいない小さな駅だった。

こういう駅に来るのは初めてだったから、駅らしくないなぁと思ったのを覚えてる。

駅を出る。

誰もいないけど、車はけっこう走っていた。

電波が入ったかはよく覚えてない。

川のすぐそばの道を龍王峡のハイキングコースへ向かって歩いて行った。

川の堤防みたいなのもあって、写真を撮ったりもした。

ハイキングコースへ向かうと、川治温泉湯本駅への道のりはけっこうな森のようになっていた。

昔、おばあちゃん家のそばで見たような、背丈の高い杉のような木がひしめいている森だった。

川治温泉まであと何キロという看板が出ていたんだけど、それを見て、山の数キロっていうのはそんなにすぐ行ける距離じゃないと思った俺は、川治温泉湯元駅じゃなくて龍王峡駅の方へ引き返すことにした。

多分電波無かったんだと思う。googleマップで見たら、川治温泉湯元駅の方が近そうに見える。

でももしかして、龍王峡駅への道のりは、ハイキングコースだけじゃなくて公道のそばを行く区間もあったからその分も加味して龍王峡にしたのかもしれない。よく覚えてない。

とにかく、電車で来た道を引き返す。

森の中の田舎道のそばに数軒家があるような道を抜けて、大きめの公道を歩いた。

途中で橋があった。橋から見える景色はまさに日本らしい深山幽谷という言葉のふさわしい光景で、晴れた空に道が一方向に伸びて消えていく。その先にはいくつもの山が重なっていた。

橋の下も吸い込まれそうなくらいに遠い。水が澄み渡っていた。

公道沿いの道をそうやってしばらく歩いて景色を堪能していたけど、しばらく経って公道に歩道がなくなった少し後くらいでハイキングコースに入った。

途中で落石しているみたいなところがあったような気がする。

本当にこんなところを越えていくのかよという気持ちと、クマが出たらどうしようという不安が入り混じって、一定間隔で手を叩いて鳴らすように歩いて行った。

けっこう長かったのを覚えている。

もう使われなくなった苔の生えた取水口みたいなのとかあったりした。紫色の紫竜峡の岩肌とか見えたけど、植物が視界を遮っててあんまりいい写真は撮れなかった。ずっと道行く先に何かがあって飽きなかったけど、歩いてるときずっと自分一人きりだったのもあって、野生動物が怖かったのが一番だったかな。あと、ヒルに噛まれた。2回くらい。靴下についていたのと、出血していなかったから、多分血は与えていないと思うけど、外見が不気味すぎて勢いつけて振り解いたらどこに落ちたか分からなくなってしまった。踏めなかった。

龍王峡駅のそばに着いたのは十七時くらいだった。

龍王峡駅のそばにはまだ人がいた。

というか、人の声が聞こえてきて安心したのを覚えてる。

竪琴の滝を見て、ほのかな夕暮れの金色に染まる龍王峡を撮った。わりと綺麗で気に入っている。

しかし、ここでまた問題が起きた。

駅の場所がわからない。

都会みたいに電車の音がするわけじゃない。

電波も通じない。

近くの売店の人に聞けばよかったんだけど、自分でなんとかなるとか、他人に聞くようなことじゃないと思って聞かなかった。聞けばいいのに。

でも一応、売店のそばの自販機で三ツ矢サイダーを買った。すぐに飲み干した。

そこからしばらく公道を歩き回ったけど、だんだん日が暮れてきて焦る。

とっくにひぐらしの声が聞こえていた、ひぐらしは別に夕方だけに鳴くわけじゃないんだけど。

日も暮れかけたころに、トンネルを見つけた。

青看板があって、道路が鬼怒川市街地へつながっていることがわかったけど、どれだけの距離かわからなかったし、歩いていくのは無謀だ。

あと、龍王峡の英語がリュウオウギエンなのが少し面白かったかな。

このままだと帰れない。確か十八時過ぎくらいになってしまっていたと思う。

龍王峡駅を探しに元の場所に戻ってみると、バス停があることに気づいた。

鬼怒川温泉駅行き。本数はそんなにあるわけじゃないけどもうすぐ来る予定だった。

無駄にスマホのライトを使って、停留所に人がいるアピール。

別に関係なかったと思うけど、無事に乗ることができた。

バスはものすごいスピードで鬼怒川沿い?を下って行った。

バスの中には自分以外にももう一組、若い男女のカップルがいた。

わかっていたけど、バスはどこにも止まらない。

暗闇の中の鬼怒川沿いの道並みは錆びた看板や古い街並みばかりが栄えた昔に忘れ去られた遺物のようで、どこか知らない世界に入り込んでしまったかのような奇妙な非日常だった。

運賃は五百円くらい。

来る時に見た鬼怒川温泉駅が見えて、初めて生きている心地がした。

そこからは一瞬だった。

外も見えない暗闇だったけど、帰る列車がいい列車だったからか、フリーwifiがついていた。

帰りのルート検索。

下今市駅からJR今市駅への徒歩移動を含む乗り換えを急げば、どうやら早く帰れそうだった。

今市駅のホームへ走ると、高校生たちが帰るところのようで、駅に列をなして流れ込んでいた。

俺も駅へ急ぐ。

知らない街の知らない青春がそこにある気がして、少しだけ懐かしい気持ちになった。

電車はしばらくして宇都宮駅へ辿り着く。

俺はその日、とても疲れていたので、初めてグリーン車というものに乗ってみた。

静かな電車の車輪の音と、全く人のいない車内が心地よかった。

まあそんなのも赤羽かどこかで乗り換えする前くらいまでで、東京に近づいたらもうグリーン車は座る場所もないほど混んでて、さすが東京って感じ。

今でもたまに思い出す。

またどこかに旅行できるといいな。











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