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あの日の青を、もう一度。

作者: 語読ひまり

あの日々はまだ、青かった。



何をするのにも、一度ためらっていた。

踏み込んでしまえばどうってことない、なんてことも分かってはいた。

それでも怖かったのだ。まぁ、仕方のないことだろう。

どれもこれも経験が浅く、自分を信じれなかったからこそ。

今となっては消化のように挑戦し、分類する日々だが。



昔は早く大人になりたいとよく願ったものだった。

子供から見た大人の世界はかっこよくて、自由で、鮮やかで、毎日様々な色にあふれている、そんな世界だった。

しかし、今になってしまえばあの日々に戻りたいとさえ思う。

コバルトブルーに染まったエネルギーは今の自分にはもうないもので、ひどくうらやましい。



人間というのはどうしようもなく醜くて、それでいて美しい生き物だ。

人間が醜いのもを見るとき、時に美しいと感じてしまうのは自分たちも醜いとわかっているからであろう。


人間はいつだって無い物を欲しがる。

長く共に過ごせば悪い点だけが浮かび上がるようだが、どうも遠くのもの見るときには見えなくなってしまう。

今だってそうだ。

あれほどまでに美しかった色の数々は、今や私の目を使い物にならないものへと変えていく。

美しい一色の世界は願ってもないことだが、当時の私たちには地味で飽き飽きするものだった。



青い世界はもう待てど暮らせど帰っては来ない。

せいぜい出来るとしたら遠い過去へと思いを馳せることだけだが、

これが存外に私の心を朗らかに照らした。

あの時の成功が、失敗が、黒歴史が、巡り巡って今私を支えていると感じた日はとても嬉しかった。



しかし、そんな青がまだ私にも残っていた。

これほどまでにうれしいことがあっただろうか。

望む一歩に葛藤する心。

うじうじと停滞を望みながらも早く進んでしまいたいという矛盾。

消えてしまった色がもう一度戻ってきたような心の波に私は思わず笑みをこぼす。

あぁ、物理的な一歩ならばこんなにも簡単なのに、心の成す一歩はなんてもどかしいのだろう!

目的は一つ、避けようのない道があるのにもかかわらず別の方法を模索する。

わかっているはずなのに体が動かない。思い通りにならない己の体に憤りを感じることはあれど、歓喜を覚えることはなかった。

それが今はどうだろう、体の奥底からも熱が伝わってくるような興奮に見舞われるとは!

私はその興奮に押されるかのように歩みを踏み出す。

靴を脱いで踏み出す、その一歩、



あの日の青を、今もう一度感じた。



『あの日の青を、もう一度。』fin.






♢♢♢



《続いてのニュースです。》

《OO県OO市にて、女性の遺体が発見されました。》

《警察は現場付近の高層ビルに女性のものと思われる靴が並べてあったことなどから、自殺とみて捜査を進めています。》

《続いてのニュースです...》


わかりにくくてすみません、解説入りますね。

といっても説明も苦手なんですが、


まず青いころというのはもっと若いころ、つまり学生時代。まぁ高校生や中学生をイメージしてもらえれば。

そんなころに主人公が挑戦しようとしていたのはりすかやOD。早い話、無理やりやませようと思って失敗したのがこれです。

そんな主人公は大体27歳程度想定で、大人になり、社会に飲み込まれてしまった後に再び青、つまり挑戦にためらう心を取り戻します。

いったい何への挑戦かはわかりやすい誘導だったかと思いますが、自殺ですね。

無事に社会へと飲み込まれてしまった主人公は自殺願望を持ち始めたのです。

最後、一歩踏み出したのは挑戦への一歩と策の外への一歩を掛け合わせたかった残骸です。


というわけで、大まかな解説は以上です。

皆さんできれば、アドバイス等あればうれしいです。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました!

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