表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

赤鬼の大仁

一部

小さい頃から気が強く、無鉄砲な大仁という男がいました。京都では、有名で皆その男を「赤鬼の大仁」と呼んでいました。。気が強い難しい彼ですが、友達の太田秋吉、大杉雅吉は大仁のことを尊敬していました。春の近づきを感じる日でした。京都に大名が通るとき大仁は大名の道の前に出てしまったのです。大名は言いました「我は百万石の大名である、其方のような庶民が前に出るな」その後大仁の運命が変わることが起きるのです。大名はその村に大量の課税をしました、それは村人からしたらとばっちりであります。村での大仁の立場はなくなり、また大仁の友達であった二人も村での立場がなくなっていきました。大仁は信濃国に住む場所を見つけるために大仁、太田秋吉、大杉雅吉3人で旅に出ました。2〜3日歩いたのでしょうか遠くからでも見える異様な山が見てたのです。大仁は言いました。「俺は絶対にあの大名に復讐してやる身分なんて関係ない、あの山を超えた先に新しい国を作ってやる」と意気揚々と言います。秋吉も言いました「俺はあの村に奥さんも置いてきてしまった、俺は本当にこんなことしてよかったのか」付け加えるかのように雅吉も「俺は子供を置いてきたまだ三歳の小さな男の子だ、俺だけ村を出ていいのか」大仁は二人の話を聞いていません。なぜなら彼はいや僕はその時夢だけを追って人の気持ちを考えることができませんでした。それを今でも後悔しています。秋吉は言います「この目の前にある山が浅野山だ、この山は昔修行僧の修行場所として使われてたらしい。」雅吉は言います「もし地獄にいったなら俺は息子と奥さんを置いてきた事を懺悔するよ」大仁は馬鹿にするように言います「何言ってんだ地獄なんかあるわけないだろ」と話しながら歩いていくと一つの大きな道が前に出てきました。真っ暗な道で奥はキラキラ星のように光っています

二部

ひんやりとした風が大仁たちの横を通った矢先目の前がキラキラした天国のような場所に変わりました、そこは羽が生えてる人がいたり、美味しそうな料理が置かれていました美味しそうな料理の匂いを感じたくらいでしょうか、前に男か女かわからない容姿が整っている天人が現れました。天人は言います「ここは天道であります。美味しい料理、綺麗なこの世の娯楽が全て集まっている場所であります」大仁達は疑いましたが天人の姿を見て信じて良いと思いました。旅の疲れなのか、はたまた天道に来たせいか、なぜかわかりません。それを聞いて秋吉は言います「私たちは旅の間美味しい料理を食べておりません、美味しい料理をいただきたいのです。」大仁は言います。「さすが村一番の食いしん坊だな」そうして三人は満腹になるまで食べつくしました。食べ終わったら、天人が言いました。「この前あなた様のような方が来ていらしてましたよ」と悟すかのように言うのでした。

三部

その後すぐにまた冷たい風が吹いたのです。そうすると三人は戦に出ていました、あれだけ満腹まで食べたのに一瞬で腹が減っていきます、地面は鉄骨のように硬く周りにはボロ雑巾のような服を着た人が歩いています。ボロ雑巾の男がこちらに歩いてきて聞きます。「君達は何をしにこの修羅道に来たのだ、ここは争いの場所今ちょうど今晩の飯を奪い合っているのだ」と自慢気に言ってくるのです。大仁達は皆百姓の平凡の出であります。戦の仕方なんて分かりません。戦が始まります、ホラ貝の甲高い音が聞こえてきます。大仁達は足が震えていました。大仁は新しく国を作るというヒビが入っている分厚いガラスのような夢があります、当たり前の話ですが新しい国を作るにはこの時代戦はなくてはならないものであります。昔の私は夢は大きく中身はないのですからプルプルと足が震えてたきたのです。ホラ貝の甲高い音がなり終わったすぐ、あの冷たい風が吹いたのです。

四部

気づくと3人はハエになっていました。目の前は故郷の村になっていたのです。そうすると、とてもいい臭いがしてくるのです。近くまで飛んでいくとそこには死んで腐ったフナが横たわっていました、人間の時だったら見向きもしない物ですが、ハエになった私たちはご馳走の様でした。一口、二口、三口を食べる時にはもう虜です。がむしゃらに食べます、ただ食べるのです。生物というのは本来欲求で動くものなのです。ぶーんぶーんと一匹のハエがこちらに寄ってきて話しかけてきました。「君達もハエになっちゃった人だね、ここは畜生道といって人から虫と落ちた人が来る場所なのさ」雅吉が言いました「ハエまで落ちてきたのか俺たちは」と三人が落ちこんでいる時でした。向こうから人間の姿の大仁達が歩いてきたのです。人間の大仁は顔をひきつった顔で見下すようにこちらを見てきたのです。もちろんハエになった私達だって感情はありますし、守りたいプライドや夢があります、ですが今ハエになっている私達では何もできないのです。それが自然の摂理なのでしょう。この屈辱を感じていた時にあの冷たい風が吹くのでした。


第五部

三人は人間に戻りました。戻ったのも束の間周りには痩せた人間たちがウロウロと這いつくばっているのです。目の前に頬骨と肋骨がくっきりでている痩せた鬼がいました。鬼は大仁達のことギョロっと見て言いました。「また人道の者がここまで落ちてきたのか全く困ったものだ」大仁はすぐに問いました。「あなた様はなぜここにいるのですか?あなたはは誰なんですか?」鬼はめんどくさそうにいうのです「私はこの餓鬼道を監視している餓鬼というものだ、ここにくるやつは自分の事しか考えずに落ちに落ちてきた野郎ばっかだ。だから相手に困っているのだ。」秋吉は言いました「俺たちは大丈夫なのか、生きて元の世界に戻れるのか流石に俺も精神的におかしくなってくるよ」当然のことでしょう。大仁のせいで村から追放され大切な家族を置いてきた二人にはとっくに限界だったのです。この時の私は友に言ってはならないことを言ってしまうのです「ここなどただの通過点にしか過ぎないのだ。俺の信濃国に行く理由はあの大名に復讐するために行くのだ、この野望についてきたお前達は俺言うことを聞いて俺に忠義を尽くすべきだそれが友であろう。」この言葉は秋吉と雅吉にとっては殺されるより恐ろしく三人は別の方向に進んでいく暗示でした。ずっとあぐらをかいて聞いていた餓鬼が言います。「お前らはここより下に落とされるべきだ、下にいってこい」餓鬼がそう言った瞬間大仁達の周りに冷たい風が吹いたのでした。

第六部

三人は茫然と立ちすくみました。周りは真っ赤に染まって沸騰してるかのように曇がぐつぐつしていました。まさに地獄、大地獄であります。雅吉は言いました「どうするのだ大仁、お前のせいで故郷にも帰れず子供にも会えないのだ!」大仁ギラついた目で雅吉を見ながら叫ぶように言うのです「お前が村人からの嫌がらせを我慢して子供と妻を最前に考えるとするなら村に残っただろうだがお前は俺にまついてきてしかも今じゃ俺が悪だと罵っているがお前が一番の悪じゃないのか?」秋吉は黙って二人の言い合いを見ていました。その目には大粒の涙を流しています。そうすると目の前に白髪の年寄りの男が現れて言いました「見直しが必要」細胞が思い出すあの冷たい風が吹いた。

第七部

「初めましてみなさん私は天道に身を置いている天人でございます。ここ天道は美味しい料理、綺麗な自然この世の娯楽が全て集まっているところでございます」この言葉を聞いた瞬間に体の全細胞が思い出し、また絶叫したのです。無言を貫いていた秋吉が鉛のように重い口を開けて言います「俺はもう大仁のことを友とは思わない。一人で勝手にやらせてもらう。」すぐに雅吉も言いました「俺も同じだお前らとは話さない」大仁は呆れたように言うのでした「いいさお前らが死んでも夢を諦める気はない。好きにしろ」天人は大仁達に冷や水をかけるかのように言いました。

「二周目楽しんでください」

そして冷たいか風が吹いたのです

第八部

「久しぶりだな庶民元気にしてたか?お前らの村は大量の課税で苦しんでいるようだな」修羅道に移った時先に大名がいたのでした。大仁からしてみたら自分を陥れた天敵であり復讐の的であります。大仁は言いました「私はあなた様に復讐するために村を出たのです。絶対にあなたを許すつもりはありません」大名は頭に響くほどの声で笑っています、それは村を侮辱する行為であります。もちろん秋吉や雅吉も許すことはできません。大名は言いました「お前らはこれから死の道に進んでいくだろう、新しい場所に行けたとしたらまた会おう。」煙のように消えていきました。大仁の夢は続いていくのでした。そして生まれ変わりの世界畜生道に行くのです。

冷たい風が吹きます

第九部

風が吹き終わった後大仁は蛇になっていました。茶色の蛇の鱗で目はガラス細工のような透き通っている丸であります。するとピヨピヨと二匹の雀がこちらに飛んでくるのです。大仁は無意識に雀に食らいついたのです。一匹の雀は逃げることができましたがもう一匹は大仁に食べれてしまいました。大仁の口には紅色の血がびっしりと付き周りには紅色の雀の羽が周りに落ちています。大仁は満足しました。本当に美味しかったのです。もう一匹の雀を食べようとした瞬間に冷たい風が吹いたのです。気がつくと大仁の目の前に雅吉がいました。雅吉が言いました「まさか大仁が大蛇なんて、なんてことだお前本当は俺らが雀だったこと知っててやったのだろう!」雅吉が顔を真っ赤にし今でも噴火するかのような顔で激怒しているのです。大仁は自分の周りを見渡すと紅色の血が顔にベッタリとついた秋吉が倒れていたのです。大仁は理解したのです。自分の二人しかいない友を食べたいという欲だけで殺しそして友の肉を美味しいと感じてしまったことに。大仁は言いました「あぁ神様お願いです。我が友秋吉をどうか、どうか助けてください。私はなんでもいたします。なんの罰でも受けますだからどうかどうか」大仁は懇願したのです。ですがここは畜生道。神はなんと残酷なのでしょうか助ける事はしません。大仁は嗚咽しながら泣くのでした。大仁と雅吉の泣く声が畜生道全体に轟いたのでした。そして無惨にも冷たい風が吹いたのです。

第十部

秋吉が死んだ後大仁と雅吉は沈黙し続けました。何も話せなかったのでしょう。雅吉の顔は涙が出尽くし生きる希望を見出せていません。大仁も目を閉じると村の頃の三人の思い出が蘇ってきます。三人でうさぎを狩りに行った日、秋吉が結婚をし祝賀を開いて酒をたらふく飲んでいる日様々な思い出が頭の中を風のように過ぎていくのです。秋吉が死んでから3〜4ヶ月間沈黙し何も食べず何も飲まずいました。肋骨は出て痩せ細っています。そうするとドスドスといった餓鬼の足音が近づいてくるのです。「まだいるのか、友一人殺してどういう気分なんだお前は」大仁は一言も話しません。いや話せないのです。そうすると雅吉は震えた声で言いました「私を殺してください、もう限界なのです。楽になりたい、楽にさせてくれませんか」と餓鬼に渇望するのです。大仁は四ヶ月ぶりに口を開け頬の筋肉の動いているのを感じながら言いました。「雅吉が死んだなら私だって死ぬ、死んで三人で天国でお酒を飲むんだあの日みたいに‥」餓鬼は笑いました。「フハハハハ友を殺したくせに、何故死んで楽になろうとしているのだそもそも自分を殺した相手と酒なんて飲むわけなかろうだが雅吉は別だ俺が特別に殺してあげよう」と言って縦5メートルの分厚いハンマーを持ちました。大仁は餓鬼に飛びつくように言いました。「やめろ、やめてくれ雅吉がいなくなったら俺は、俺は」餓鬼が言いました「じゃあ楽になれ」雅吉の首にハンマーが当たる鈍い音が大仁の耳を貫きました。大仁は頭を地面に叩き続けました。バシバシという音からベチベチと徐々に鈍くなっていき大仁の頭の周りに紅色の水たまりができています。あと数回ぶつけたら死ぬくらいの時です。死なないようにするかの様に冷たい風が吹いたのです。

第十一部

額は紅に染まり目は生きる力がありません。友を失ったせいか、髪の毛は白くなり顔にシワが増えていきました。そうするとトコトコと大仁にそっくりな白髪の年寄りが歩いてきて言いました「過去の自分に一言かけてみなさい。」そうすると冷たい風が吹き一番最初の地獄道に来たのです。目の前には秋吉と雅吉、大仁が言い合いをしていました。白髪の大仁は決意しました。復讐する夢ではなく友を大切にし村を守る人になる夢に。決意した瞬間目の色は変わり、言い合いしている大仁に言いました。「見直しが必要だ」とそうすると温かい風が白髪の大仁を包み込みました。気がつくとあの真っ暗で奥がキラキラした道の前にいました。「大仁早く行こうぜ」「秋吉いそぐな、全く困るやつだ」と死んだはずの秋吉と雅吉が生きているのです。ウグイスの鳴く音が春の訪れを感じさせます。大仁は大きな声で親友二人に言うのでした「俺やっぱ村に帰りたいんだ、やっぱり帰らないか?」秋吉と雅吉は一瞬ポカンとしてすぐ言いました。大仁の目には大粒の涙が浮かんでいます。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ