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第2話 見つからない梟

 そうして放課後に集まった私と男友達のAとB、そして幼馴染のC子は、夕焼け色に染まり始めた雑木林の前に立っていた。


 今回の発案者であるAは懐中電灯やカメラといった大荷物を持って意気込んではきたものの、他の人間は半信半疑であり、あくまでちょっとした肝試しだろうと(たか)(くく)っていた。

 せいぜいそれらしいフクロギを見つけたら証拠を撮ってさっさと帰ろう。そんな話もしながら、薄暗い林の中を探索していく。


 1時間ほど雑木林の中を手分けして周ってはみたものの、収穫は片方だけの手袋やキーホルダーといった落とし物ぐらいで、目的のフクロギを見つけられない私たちは既に飽きてしまっていた。

 その頃は秋が近いこともあって、日が落ちるのも早くなってきている。

 恐らくあと30分もしないうちに、こんな明かりも無い林なんてあっという間に暗闇になるだろう。

 どうする。もう帰ろうぜ。思わずそんな声が上がる。


 正直私は最初から噂なんて信じていなかったし、早く帰りたかった。

 だけどこの話を持ってきた男友達のAは諦めきれなかったのか、焦りを浮かべた表情でもう少し続けようと主張する。

 ……と思ったら、どうやら探索中に大事なネックレスをどこかに落としたらしい。

 寂しくなってしまった首元をさすりながら、苛立たしげに辺りを必死で探している。


 ……馬鹿馬鹿しい。

 私は家の用事があるから、と嘘をついて帰ることにした。

 カナカナカナ、という(ひぐらし)の声を背に、私に便乗してきた女子のC子と雑木林を後にする。

 所詮(しょせん)、怪談話なんてこんなもんだよね、と笑い合いながら。



 ……Aの悪口を語りながらのんびりと歩いていると、辺りはすっかり暗くなってしまった。

 途中で方向の違うC子と別れ、小走りで我が家へと入る。

 いつも通りの夕飯を家族と共に()り、団欒(だんらん)の時間を過ごしているうちに、就寝する頃にはフクロギのことなんてすっかりと忘れ去っていた。


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