第58話 暗殺執事召喚
とある世界にて
王女の葬式が終わり、数か月たったころ
「セリオスさん!」
「ん?おや、どうなされましたか?○○様方」
彼は王女の亡き後の整理を終え、荷物をもって歩く中、若い男女たちが彼に近づく
「セリオスさん、執事を辞めるって聞いたぞ!」
「居ても立っても居られなくて」
今話しかける彼らは亡き王女のご子息とお孫様であり、最初に話した長男こそ現国王その人
「ほほ、私にさん付けなど、陛下には恐れ多い」
「いやいや、まだ即位したばっかの国王だし、俺たちにいろんなことを教えてくれたセリオスさんにさん付けするなってのが無理だよ」
「そうですわ、たとえどんなに地位が高くなろうとも、今までの恩を忘れたりしませんもの」
長女は亡き王女を思わせつつ、気品がある姿を見せる
「そうですか、ところでなにか御用があったのでは?」
代表して長男が話し始める
「もう執事を辞めるってな、ひどいじゃないか、しれっと消えるみたいに」
「失敬、挨拶をしないをはいけませんでしたな」
「全く、俺たちは礼を言いたかったんだ、母さんに協力してくれたこと、俺らにいろんなことを教えてくれたこと」
「口で感謝を伝えるんもいいが、こういう時はプレゼントがいいって母さんが言ってたからな」
すると後ろから亡き王女の孫、現国王の息子である皇太子殿下が後ろから何かをもって歩いてくる
「セリオスさん、今までのお疲れ様でした。そして僕たちから感謝の気持ちにこれを」
渡された木箱、中身を空けてみる
「ふむ?これは、懐中時計?」
中には派手やかな装飾が施された懐中時計があった
「………………ありがとうございます、いい時計をいただきました」
「喜んでくれてよかった」
そのまま少し話をし、まだ幼いお孫様たちに行かないでと懇願されつつ、彼らと別れた
屋敷の出入り口
その前で彼は今までの出来事を思い出していた
「ほほっ、いろいろありましたなぁ」
心のどこかに、まだここにいたいという気持ちがあるかもしれない
だが彼はドアの取っ手に触れる
彼の中には彼女の最後の言葉
『あなたは好きなように生きなさい』
『あなたにも、私みたいに幸せになってほしいの』
彼女の言葉を無下にすることはできない
彼女の遺言に従い、彼はドアを開ける
「いってきます、○○様」
開けて一歩を進んだ瞬間、魔法陣が浮かび上がり、素早く彼を包み、そして消えた
チリリーン
ドアについているベルだけがなる
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そして黒森たちがいる世界
「今日はケーキを買ってきたぞ~~」
「「「いえーーーい!!」」」
龍錬たちがいるVtuber事務所マーシャルコード
その休憩室にて、この世界の住人である黒森龍錬、土御門正弥、土御門鏡花
そして異世界人である魔王 ディシア、聖騎士長 ガガル、エルフの狙撃王 ティティル
それらが一つずつケーキが配られ、おいしそうなケーキを前によだれを垂らすほど
「じゃあいただきます」
「「「「「いただきま~」」」」」
ままで言った瞬間、休憩室にいつもの魔法陣が展開される
「っ、また来たかの」
「今度はいったいどのような相手が来るのやら」
「へ~~、こっちではこんな感じだったんだ」
異世界人はケーキを置いてすぐに立ち上がる
一応武器を構え、どんな相手でも対処できるようにする
煙が晴れ
「おや?ここは一体?」
そこには外行きの格好に大きなカバンを持つ男、オタクである正弥はセバスチャンという単語が出てくるくらい執事、それも40代、50代のイケおじ
執事はきょろきょろと周りを見回し、目の前にいる6人に話しかける
「ええっと、失礼ですがここは一体どこでしょう?私は確かお屋敷から出たばかりのはずでしたが」
その所作はアニメに出てくる執事を超える気品がみえるほどであり
ドタイプである鏡花さんは赤面しだした
代表して龍錬が返答する
「ええっと、そうですね」
4回目とあってそこまで驚きはないけれど、どんな人物かわからない状況だと
「おそらくいろいろわからないこともあるでしょうが」
「とりあえず、ケーキいります?」
突然の返答にポカーンとする老執事
「………………ほほ、いただきましょう」
とりあえず流れに身を任せることにした老執事
龍錬の返答にうなずき、招かれた椅子に座った
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俺は彼の前に座り、この世界のことなどを聞かせる
「なるほど………………ここは私のいた世界とは別の世界…ですか」
ショートケーキを口にしつつ説明を聞く老執事、食べ終えた後に紅茶を口にし、持っていたハンカチのようなもので口をきれいにする
身を整えた後、彼が話しだす
「ご説明ありがとうございます、ではこちらの話もさせていただきます。」
「わたくしの名前はセリオス、元の世界では王宮にて執事をさせていただいておりました。」
見た目通りというべきか、執事であることは想像通りだった
「私はそこで40年、私の主人である女王に仕えてきました。」
「先日、その主人が老衰でお亡くなりになりました」
「主人はわたくしに「好きなように生きなさい」と言葉を残しました」
「わたくしはその遺言の意味を探すために、旅に出るつもりでしたが、まさか異世界に旅に出るとは思いませんでしたな、ほほほ」
「なるほどね………」
俺と正弥と鏡花さんはすこししんみりしていた。
ちょっと話を聞いただけだが、すこし感動したような感じだ
まあこの世界の住人だからかこういう話はジーンと感じたりする
「なんというべきk「話はわかったがのう」うぇ?」
俺が言葉をひねり出そうとした瞬間、ディシアが話を遮る
よく見るとディシアとガガルはすこし警戒していた
「なんだよディシア、いきなり遮って」
「まあ待て龍錬」
手で遮り、セリオスさんに話を始める
「私はディシア、おぬしともこことも違う別の世界で魔王をしておったものじゃ」
「っ!?魔王?この年齢で王?」
「まあわしのことはあとで話すのじゃが、おぬし」
「しまっておる暗器について説明してほしいんじゃが」
「「「「えっ!?」」」」
「………おやおや」
ディシアが言葉を放ったあと、セリオスさんは少し雰囲気が変わった気がする
といってもそれは一瞬で、すぐに最初の温和な雰囲気に戻った
「こういったことは怖がられると感じたので話しませんでしたが、逆に不信感を与えてしまいましたね、申し訳ございません」
「ふむ、まあよい、説明を続けよ」
「承知しました、私は執事でことはウソではありませんが、ご主人様を狙う敵を払う暗殺者でございます。」
「暗殺執事!?」
「全然見えない」
「よくわかったわねディシアちゃん?」
「転移してきた最初の一瞬だけ殺意が飛んできたからの、じゃがすぐに殺意を収めてこちらに害する気がないと気づいたからの、何もせんかったのじゃ」
「じゃがそこの説明をしなさそうじゃったのでな、気になって聞いたのじゃ」
「ガガルも気づいてたのか?」
「そうだな、ほんの一瞬過ぎて勘違いだと思ったが、間違ってなかったようだ」
一般人の俺達から見たらただの老執事だが、というか殺気とかわかんないし
「どうやらお二方は相当な強者のようですな、元の世界で私の殺気に気づいたものはいませんでしたので」
「かか、わらわも昔は命を狙われたこともあるからのぉ」
「俺も戦場を生きてきた人間だ、少しでも向けられれば気付きはする」
ディシアとガガルは元の世界では命のやり取りをしてきたらしい、俺達とは違う感覚があるんだろうな
「あら?そういえばティティルちゃんは気付かなかったの?」
「もちろん気づいてたよ、狩りでは気配を把握することが大事だからね」
「さすが狩人」
セリオスが出てきた瞬間はいつもは消えているティティルの弓を手に持っていたが、今はそばにおいてケーキを食べている
鏡花さんと正弥と3人でゆっくりしている
ディシアは圧もなくソファーで寛ぎながらセリオスさんと話す。
「おそらくそなたのいた世界は血を見ることが多い世界じゃったかもしれんが、この世界は平和そのものじゃ、暗器一つだけでこの世界の人間は恐れ縮こまるじゃろうな」
「それは………………なるほど、やはり私がいた世界とはいろいろ違うのですね」
紅茶を口に含み、いろいろ思いふける
「これは、主人の遺言のおかげでしょうか、元の世界のように力を使わず、好きなことを見つけろと」
その後、皆ケーキを食べ終え、一区切りとする。
「さて、セリオスさん」
「なんでしょう?」
「単刀直入に、うちで働きませんか?」
「その後提案お受けいたします、執事として何なりと」
「あぁいや、実は執事としてじゃなくてね」
「おや?」
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〈〈新人デビュー予告!!!〉〉
マーシャルコードのSNSアカウントにてシルエットが公開された




