姫は王子の隣に
俺は今、瀬戸涼太と共にあるカフェにいる
何故、このような状況になったかというと…
数時間前…
「放課後空いてる?」
「…空いてるけど…体調大丈夫なの?」
「…え?…ああ、全然平気!今はピチピチの魚のように元気だよ!」
「ピチピチの魚って…殺されるじゃねえかよ」
「あはは!とりあえず、空いてる?」
「ああ、空いてるよ」
「じゃあ、ちょっと寄り道しね?」
そう言われ、放課後歩いていると見つけたのがこのカフェだ
とてもこじんまりとしていて、お店の中は年代物と今を組み合わせたような様式になっている
「…俺さ…好きな人いるんだよね」
「…え?」
男二人でカフェに入って話す内容が恋話かよ!と心の中でツッコむ
「…ああ、そうなの…?ちなみに誰?」
「……俺のことプールで助けてくれた子」
「ああ…あの子ね、名前は知ってるの?」
「…ううん、知らないんだよね…探してはいるんだけど」
「そうなんだ…で、どうすんの?」
「……どうしようかなって…」
…それか〜この先どうすればいいか分からないから俺に聞きたかったのか…!乙女かよ!
「とりあえず…何か頼む?」
そう思い、何か頼もうと店長に聞くと在庫が切れているらしく時間がかかるとかなんとかと言っていた
「……待ってる間、何しようか?」
「…俺、あの本読んどくわ」
手に取った本は“人魚姫”そんな趣味が…と思ったが、本棚を見ると確かに読みたいと思う何かがある
俺は“シンデレラ”の本を取り、読み始めた
継母とその子供に虐められていたシンデレラという子が王子様と結ばれることを夢見て一生懸命に働く
そして、その努力が水の泡となりそうになるが魔法が使えるお婆さんに魔法をかけて貰い、王子の元へ行き夢が叶うというものだ…
なんか、俺の好きな人みたいだな
「長い間お待たせしてしまい申し訳ございません。お料理が出来ましたのでお召し上がり下さい」
もうそんなに時間が経ったのかと思い、瀬戸涼太の方を見ると同じような表情をしており、集中して童話を読んでいたことが見受けられた
「…涼太の好きな子は…何が好きなんだ?」
「………考えてみる」
「…涼太、お前が勇気を出して俺に恋話したから俺も言うよ」
「恋話をしたからって…もっと言い方あるだろ」
「…俺、生徒会長のことが好きなんだ」
そう、ずっと…ずっと…誰にも言わなかったが、何度も何度も心の中で想っていた人
始業式で彼女を見た時に一目惚れをし、その日から彼女を目で追い、彼女が友人から仲間外れをされていること、家庭環境が大変なことを徐々に知っていった
どうしたら仲良くなれるのか…と何度も考えたが思い付かず今に至っているのだが…
「…それは知らなかった」
「うん、誰にも言っていないからね。で、どうにかして仲良くしたいんだけどどうしたらいいかな?」
「……何かプレゼントしたら?」
「プレゼント…でも!どうやって渡せばいい…」
「うーん…」
「お兄さん達、何か悩んでいるの?」
下の方から声がして目を向けると、小学生くらいの男の子と女の子がいた
「…このお兄さんがね、好きな子にプレゼントしたいらしいんだけど…ヘタレでプレゼントできないらしくてね」
「ヘタレじゃねぇよ!」
「ふーん、そうなんだ!じゃあ、ハルに渡して貰ったら?」
「それいいじゃん!女の子が女の子に渡す方が怪しまれないで済むって!」
こいつ…自分のことじゃないせいかめちゃくちゃ楽しんでいやがる
「店長さん!ここの近くに女性にプレゼントできそうなお店ありますか!」
そんなこんなで来たのが専門店
近くに女性物の専門店があると店長さんが言っており、流れで来てしまうという…
「服のサイズも靴のサイズも分からないな」
「ほんとだよ…どうすれば…」
すると、お店の中に生徒会長を仲間外れにしている同級生がいた
それに気付いた俺に察知し、涼太はすかさず話しかけに行く
「あ!君!生徒会長と仲良いよね!」
「…!?…えっと、まあ…そうですけど…」
「靴のサイズって分かるかな?この間、生徒会長の靴汚しちゃって!お詫びしないといけなくてさ!ついでに、服のサイズも分かるなら嬉しいんだけど…」
「えっと……大体、この靴のサイズと同じくらいだったと思います。服もこのくらいのサイズを買ったら無難かと…」
彼女は目の前にある靴と服を指さしながら教えてくれた
「ありがとう!」
彼女は疑いの目を向けたままだったが、少し経つと嬉しそうな表情をしていた
流石、性格が悪いだけある
涼太の話を信じ、汚された友人を嘲笑ったのだ
「ふう…とりあえず、買えそうだね」
「汚れ役サンキュー、お前のこといい奴って広めとくな」
「それはサンキュー」
涼太のお陰で、彼女に似合いそうな靴と服、そして髪飾りなどを含めた飾り物を買い、俺の貯金は底をついた
「うし!とりあえず買えたし、カフェの店長さんに預かって貰って、ハルちゃん?に渡してもらおう!」
その後、なんとかハルちゃんと生徒会長をバッティングさせ、プレゼントを渡してもらい、ついに出掛けるところまで成功した
「…俺さ…友達になりたいんだ!仲良くなりたい!お願いします!」
「……」
少しの間、沈黙が続きこれは駄目かと自分の中で落ち込む…
すると…
「…お願いします」
俺は嬉しくて嬉しくて堪らなかった
俺の為に汚れ役を演じてくれた友人、プレゼントを渡してくれたハルちゃん、カフェの空気を作ってくれた店長さん…ありがとうございます!
俺は必死にバイトをし、貯金を貯め、大学卒業後、彼女にプロポーズをした
まだまだお金は足りないけれど君を幸せにすると誓うよ




