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「ん~~~、おぃひぃなぁ~」
小柄な少女が、昼下がりの大通りを歩きながら、頬をぱんぱんに膨らませて幸せそうに声を上げた。
年の頃は成人したばかりの15~16歳、平均よりかなり低めの身長に、桃色のショートボブ、冒険者らしき革を中心とした動きやすそうな服装で、腰には短剣を差していた。
旺盛な好奇心を表すような大きな瞳が、次の獲物を探して、くりくりと動いていた。
すれ違う人々も屋台の主人も、そのあまりにも幸せそうな様子を微笑まし気に眺め、釣られて買い食いに走るもの、ここぞとばかりに声を張り上げて商売にいそしむものと、一帯を盛況にさせていた。
だが平和な光景の中にも不穏な影が差す。
幼い容姿に不釣り合いに大きな双丘が揺れる様に、邪な感情を抱いた3人組の男達があとを尾けていた。
「よう姉ちゃん、いい食いっぷりだなぁ。」
「ふぇ?」
少女が振り向くと、どう見てもまっとうな生き方をしているとは思えない人相の男が3人、ニヤニヤとした粘り気のある笑顔で話しかけてきた。
「見たところこの街は初めてだろ?俺たちは地元だからよ、安くてうまい店を教えてやるぜ」
「ほんとっ?この街は何を食べてもおいしくて、ついつい食べすぎちゃったからおサイフが寂しくなってたところだったんだぁ。そんなお店があるなら助かるよっ!どこにあるの?」
男は笑みを深め、続けて言う。
「地元の人間じゃなきゃちぃと分かりづらいところにあるから、連れてってやるよ」
「わー、おじさん親切だねぇ。ありがとう!」
人を疑うことを知らないような満面の笑顔で少女が答えると、男たちは目を合わせて頷きあった後、少女を路地へと連れて行くのであった。




