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プロローグ
はじめまして。
羽師リンと申します。
拙い文章ではありますが、少しでもお楽しみいただければ幸いです。
深夜の静寂を破り、荒野に轟音が轟いた。
その、上空。
宙に佇む人影があった。
「ふん、こんなものか」
夜闇に包まれその姿は見えず、複数人が重なったようなその声は、老若男女の別も判然としない。
「これでは……足りない。まだ、届かない」
宙に浮いた人影は、さらに上を見上げるように呟く。
「次は…あっちか」
そう呟くと、人影は南の空へと飛び去って行った。
後に残るは、凄まじい破壊の跡を残した荒野と、動くもの一つない静寂のみだった。