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第100話 あなたと合体したい

言葉は知っているが、元ネタは知りません

 シャワー上がりにトイレへ寄ったのだが、そこでもアニカはやらかしてくれた。


「モナカくん、ボク久しぶりに立ちションしてみたいんだ」

「……それをどうして俺に言う?」

「雰囲気だけでいいんだ。だからその……後ろから摘まんでもいいかな」

「はい?!」

「いいのかい? やったあ!」

「その〝はい〟じゃない!」

「じゃあダメなのかい?」

「当たり前ですっ。これ以上マスターを(けが)さないでください」

「なんでタイムが応えるんだよ」

「マスターの身体はタイムのものです。だからタイムの許可が必要なんですっ」

「〝必要なんです〟、じゃねーよ。もう、今更だからな。そのくらいいいよ」

「ありがとうっ!」


 ということで、アニカは大満足でトイレから出た。

 対照的にタイムは不満が爆発しそうである。

 ……これから毎日こうなのか?

 エイルとの平穏な日々が失われてしまった。

 そして3人してエイルの部屋へ入った。

 タイムは久しぶりに定位置(左肩)にいる。

 シャワー室では大きく(6頭身に)なっていたが、どうやら時子(ときこ)さんの前では常に小さい(3頭身の)ままで居るつもりのようだ。

 部屋に入ると、エイルが時子さんの髪の毛を()いていた。


「……なんでこっちに来るのよ」

「なんでって、寝るため?」

「うちは時子と寝るのよ。モナカはアニカと寝るのよ」

「……聞いてないぞ」

「今言ったのよ」

「モナカくん、アニカさんと一緒に寝るんですか?」

「そういうことみたいだな」

「そうじゃなくて、女の子と一緒に寝るんですか?」

「……あ」


 もうね、シャワーと一緒ですよ。

 エイルと何処に行くにもなにをするにも共に過ごしていたから忘れていたけれど、一応、男と女だったんだよね。

 俺としてはエイルがアニカに代わっただけだ。

 既にシャワーで洗礼は受けたからな。

 特に気にも留めていなかった。


「今更だな。今までだってエイルと一緒に寝てたし」

「そうなんですか?!」

「俺もね、できれば()めたいところだけど。結局魔力が関係しているから、どうにもならないのさ」


 時子さんに詳しく説明し、一応の納得をしてもらった。

 ただ、「おまるじゃダメなの?」と言われたときは、焦った。

 なにしろ「その手があったのよ」と、エイルまで同意しかけたからだ。

 「サンプルが取りやすいのよ」と半ばおまるが決まりかけたとき、「ボクがちゃんと面倒見ますから、それでいいでしょ」とアニカに救ってもらえた。

 〝世話するから飼ってもいいでしょ〟的な流れに感じたのは、気のせいだと思いたい。


「同じ部屋なのは分かったけど、同じベッドで寝る必要は無いんじゃないの?」

「俺もそう思ったんだけど、エイルが強引でさ」

「そうなのよ?」

「〝そうなのよ?〟って、忘れたのかよっ」

「女の所為にするのよ、男らしくないのよ」

「あのなあ……はぁ。もういいや。じゃあアニカ。俺は床で寝るから」

「ええ?!」

「エイル、俺の分の布団はあるか?」

「……毛布しかないのよ」

「マジか……」

「〝一緒に寝よう〟って約束したじゃないかっ。酷いよモナカくん」

「モナカくん、そんな約束したの?」

「う……それは外泊の時の話だったんじゃないのか?」

「関係ないよっ。〝一緒に寝る〟ことが大事なんだからっ」

「そうなのか?」

「そうだよっ」

「……わかったよ。男に二言はない」

「ありがとうっ」

「時子さん、気にしないでもらえると助かる。俺たちは一緒に寝るだけで、それ以上でも以下でもない」

「えっ、そうなのかい?」

「当たり前だよ。エイルともそうだったんだから」

「ええっ、一年間なにもなかったのかい?」

「なにもないよっ」

「エイルさん、モナカくんは役立たずなのかい?」

「……なんでうちに話を振るのよ」

「役立たずってなんだよ。ちゃんと護衛業はしてるぞっ」

「はぁ。2人ともお子様だなぁ」


 くっ。こいつ、精神年齢が一番年上だと分かった途端にこれなのか?

 普段の子供っぽい言動とかは演技だとでも?

 そう思っていると、不意にアニカが耳打ちをしてきた。


「男の人の身体を全身で堪能できると思ったのになぁ。残念だよ」

「なっ!」

「アニカさん! そんなことタイムが絶対許しませんからねっ!」

「ボクはもう経験することができないからね。だったらせめて受け入れることを楽しまないとって思ったのさ。モナカくんとなら、ボクは構わないんだよ。その気になったら、いつでもいいからね」

「いつでもよくありませんっ。タイムで間に合ってますっ!」

「そっちだったのかい?」

「そっちもこっちもない! そんなこと言うなら、約束は無しだっ」

「酷いよモナカくん!」

「酷くないっ」

「……わかったよぅ」

「全く、そういうことは他を当たってくれよな」

「モナカくんだから、そう思ったんだけどな」

「ん?」

「あはは、なんでもないよ」

「アニカさん……」


 ぽつりと呟いたアニカの言葉は、タイム以外に聞こえることはなかった。


 まったく、アニカの暴走には困ったものだ。

 普段は大人しい分、ギャップがあって違和感しか感じない。

 確か8歳で転生して、今は16だから、24か。

 ……大人だ。

 成人していると、そのくらいは当たり前なのだろうか。

 お子様な俺には分からない。

 そういえば、〝あなたと合体したい〟なんて言葉もある。

 大人はみんなそういうものなのかな。


「おやすみ」

「おやすみー!」

「「おやすみなさい」」

「おやすみなのよ」


 俺たち3人はエイルの部屋を出て――


「なんでタイムちゃんも出て行くの?」


 またややこしくなるな。


「タイムがマスターと一緒に寝るのは当たり前ですっ。時子とは違うんですー」


 なんでそこで時子さんが出てくるんだよ。

 以前話した俺の身体のことに補足する形で軽く説明し、納得してもらった。

合体はいつになることやら

……あるのか?!

なので、次回はベッドシーンです

嘘は言っていない

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