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第96話 Re:ゼロだから始まる異世界介護生活

 モナカとアニカが言い争っている隙に、エイルは時子(ときこ)を連れて脱衣所へ向かった。


「母さんから着替えを借りてくるのよ。時子は先に脱いでおくのよ」

「あ、うん。分かった」


 時子を先に脱衣所へ入れると、エイルはトレイシーの元へと向かった。


「あれ? 電気消えちゃった」


 真っ暗な脱衣所に残された時子は、電気のスイッチを探したが見つからなかった。


「あれー? 何処ー? ……あ、そうだ」


 暗い中スイッチを探すことは諦め、さっき覚えたばかりの〝ライト〟で明かりを作った。

 壁を照らしてみたが、スイッチらしき物が見当たらない。


「んー、ないなー」


 仕方がないので、〝ライト〟の明かりで我慢することにした。

 そして服を脱ごうと携帯(ケータイ)を閉じたら、明かりが消えてしまった。


「きゃっ。あれ?」


 もう一度明かりを作り、再び携帯(ケータイ)を閉じると明かりが消えた。


「開いてる間しか使えないのかな」


 再度明かりを作り、今度は携帯(ケータイ)を閉じずにいた。

 想像通り、明かりは消えなかった。

 魔法は、携帯(ケータイ)を開いているときしか使えないことが分かった。

 薄暗く照らされた中で服を脱ぎ、カゴに入れる。

 とりあえず下着姿になり、エイルを待つことにした。

 さすがに全裸で待つのは抵抗があったからだ。

 少し肌寒い中、半裸で待つのも結構辛い。

 上着だけ肩に羽織って待つことにした。


「お待たせなのよ」


 エイルが着替えを持って入ってきた。

 すると部屋の明かりが付いた。


「あ、点いた」

「なにがのよ?」

「電気だよ」

「電気のよ? あのよ、ここは元素世界じゃないのよ、電気なんて無いのよ」

「え?」


 電気が点いたのに、〝電気がない〟と言われた。

 それはどういう意味なのか、時子にはよく分からなかった。

 雷の魔法とかが無いってことかな。

 そんな風に考えた。


「その、電気……いえ、明かりはどうやって点けるんですか?」

「……点いてるじゃないのよ」

「いえ、今は点いてますけど……」

「時子には点けられないのよ、気にしないのよ」

「ええ?! どうしてですか?」


 困惑する時子を無視し、エイルは持ってきた上着を広げて時子の肩に合わせる。


「大きさのよ……大丈夫みたいのよ。下のよ……こっちもいいみたいのよ。母さんのだから少しおばさんくさいのよ。我慢するのよ」

「そんなことないです。素敵な寝間着ですね」


 服の大きさを確認し終えると服を脱ぎ、シャワー室へと入った。

 そして時子はモナカ同様、〝シャワーが出ない〟〝泡立たない〟〝泡がすぐ消える〟という現象を突きつけられることになった。


「なんなのよこれ」

「なるほどのよ。モナカと同じなのよ。身体の方はどうなのよ?」

「へ? ひゃっ! いえ、自分で洗えますからっ」

「さっき見せたのよ。泡が維持できない時子のよ、無理なのよ」


 時子の腕を持ち、泡の付いたタオルで(こす)る。


「泡立たなくても、垢擦りならできます!」


 肩から腕に降りていき、指の間もしっかりと洗う。


「それじゃ綺麗にならないのよ。ちゃんと洗うのよ」


 両腕が終わると、今度は首回りから鎖骨へと洗っていく。


「赤ちゃんじゃないんだから自分ひゃうっ! 何処触ってるんですかっ!」

「大丈夫なのよ。甥っ子で慣れてるのよ」

「甥っ子と時子じゃ年が違いまはうっ! やっ、ん」


 甥っ子には無いはずの膨らみも、タオルをよく泡立てて円を描いてマッサージするように、下から持ち上げるように洗っている。


「ふむ、身体の造りはうちと変わらないのよ?」


 マッサージを終えると、汗が溜まりやすい膨らみの下部分も、片方ずつ持ち上げてきっちりと洗う。


「そりゃ、あんっ。時子もエイにゃっ! さんと同じ、ひゃっ。女の子なんですわっ! ら」

「こっちはどうなのよ?」


 お腹を優しく撫でるように洗う。


「こっちもそっにゃ! おにゃう……じですよぅ。あ、ダメ! 時子、背中弱いんだかにゃー!」


 タオルを使わず、泡の付いた手を滑らせるように背中を洗う。


「今のうちに慣れるのよ。これから毎日なのよ」

「毎日?! あっ、ちょっ、ホント、そこはっっっはははははは!」


 背中を洗い終え、脇の下から脇腹へとタオルを滑らせていく。


「当たり前なのよ。女の子は清潔第一なのよ」


 お尻を下から持ち上げるように、マッサージしながら洗う。


「それはそうなくっ、ですけど……ちょっ! さすがにそこは自分でありゃにゃー!」

「安心するのよ。お姉さんがちゃんと綺麗に洗ってあげるのよ」

「にゃー! にゃー! ()めるにゃー!」

「暴れないのよ! 大事なところが傷つくのよ!」

「大事なときょろだきゃりゃ自分でやー! いーやー!」

「甥っ子で慣れてるのよ、大丈夫なのよ」

「甥っ子と時子のは構造にゃ! 違うのー!」

「じゃあ姪っ子で慣れてるのよ」

「〝じゃあ〟ってなんですっ……あっ、やん」

「うるさいのよ。細かいことを気にする女はモテないのよ」

「モテなくて構いませんっ! 時子には先輩が居るんだからっ」


 時子がそう言うと、エイルは洗う手をピタリと止めた。


「はぁ、はぁ……エイルさん?」

「先輩のよ、モナカのことなのよ?」

シャワーシーンはまだまだ続きます

次回はちょっとだけシリアスです

エイルの超理論をお楽しみください

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